斜陽の大型モール、打開策は「モール」外し?

斜陽の大型モール、打開策は「モール」外し?

  • WSJ日本版
  • 更新日:2018/01/13
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間もなくオープンする米バージニア州のボールストン・クオーターは、3つの階に延べ36万平方フィート(約3万3500平方メートル)の売り場面積を誇る。買い物客はアディダスのスニーカーから亜鉛サプリまで、ありとあらゆるものを見つけられるはずだ。ただし施設内で「モール」の文字を見かけることはないだろう。

以前はボールストン・コモン・モールとして知られていたボールストン・クオーターは、改装オープンを機に名称が変わる。その目的は、モールである事実をあからさまに示さないことだ。

施設のリブランディングを担当したマーケティング企業ゴールド・ドッグ・コミュニケーションズのジーン・コメンデラ代表は、「モールを非モール化する必要があった」と話す。そのため「パビリオン」や「ギャラリア」など、モールを少しでも連想させる名前は当初から除外されていたとも明かす。

米国ではショッピングセンターの経営者らが施設の入り口やフェイスブックの公式サイト、そして企業の資料などからモールの文字を消し始めている。不動産コンサルティング企業JLL によれば、2014年以降に改装された90の大型モールのうち、17施設は名称からモールが外された。

オハイオ州パーマにあるパーマタウン・モールは今、ザ・ショップス・アット・パーマだ。同じくペンシルベニア州メディアのグラニット・ラン・モールは、プロムナード・アット・グラニット・ランに変わった。マサチューセッツ州ハノーバーのハノーバー・モールも、ハノーバー・クロッシングに生まれ変わっている。

これら施設の所有者たちは、敷地内に緑を増やして屋根も撤去し、新たな物件として再構築したため、名称の変更は自然な流れだったと話す。改装されたモールは窓のない四角い店舗のまわりに長方形の駐車場がある過去のものとは違い、ジムやオフィス、レストラン、そしてアパートやホテルが敷地内に建設されている。

バージニア州のボールストン・スクエアにもモールの定番チェーンである百貨店メイシーズがテナントとして入るが、アパートやイベント会場も建設されることになっている。

ボールストン・スクエアの所有企業フォレスト・シティーで開発部門のシニア・バイスプレジデントを務めるウィル・ボーゲル氏は、今の施設はショッピングだけでなくさまざまな体験やエンターテインメントを提供すると指摘。モールという言葉ではその性格を十分に表せないと話す。ボールストン・スクエアが目指すのはニューオーリンズのフレンチクオーター地区のようなポジティブな雰囲気だという。

友達を誘う時は今も「モールへ行こう」

カリフォルニア州リッチモンドにあるヒルトップ・モールは今もメイシーズや同業シアーズをテナントに持つが、名称はザ・ショップス・アット・ヒルトップに変えられた。名称変更を決めたのは施設を買収した不動産企業LBGリアル・エステートで、今後はアパートやオフィスを敷地内に追加する予定だ。

だが毎週のようにヒルトップを訪れるメリッサ・エバンスさん(64)は、新たな名前がばかげていると話し、「友達のクリスティーンを誘う時は、今もモールへ行こうと言う」と続ける。

LBGのマネジング・パートナー、ダグ・バイスウェンガー氏は、それでも「リブランディングは極めて重要だ」と話す。同社は何年も前から近くの高速道路に設置されている出口の標識も「ヒルトップ・モール」から変更するよう請願を続けている。

ティーンエイジャーが放課後にフードコートでたむろするような時代が終わった今、モールのマーケティングをすることは容易ではない。国内ではモール開発は1970年代にピークを迎え、その後は右肩下がりの状況が続く。

不動産コンサルタント企業トランスウエスタン・コマーシャル・サービシズで小売り部門のマネジング・ディレクターを務めるニック・ヘルナンデス氏は、「『モール』という言葉自体にどこか70年代の響きがある」と話す。

看板の掛け替えでは解決しない

一方、21のモールを所有するペンシルベニア・リアル・エステート・インベストメント・トラストのジョー・コラディーノ最高経営責任者(CEO)は、名前ではなくより魅力的な施設にすることに専念すべきだと話す。同社の21施設中、18施設は今も名前に「モール」がつき、コラディーノ氏は「『モール』が呪(のろ)われた言葉だとは考えていない」と続ける。

不動産調査企業グリーン・ストリート・アドバイザーズによれば、全米でも高い質を誇るショッピングセンターにはミネソタ州ブルーミントンにあるザ・モール・オブ・アメリカ・イン・ブルーミントンなど今も「モール」の名称を使っているものが多い。

ニュージャージー州にあるザ・モール・アット・ショート・ヒルズを所有するトーブマン・センターズのビル・トーブマン最高執行責任者(COO)は、名前を変更することは長年蓄積されてきたブランド認知や価値をわずかな見返りのために手放すことになると話す。

モール以外の名前を付ける際、英国風なつづりを使うことも流行中だ。ミネソタ州のノールウッド・モールはザ・ショップス・アット・ノールウッドに名前が変わったが、つづりは「Shops」ではなく「Shoppes」が採用された。

週に一度はザ・ショップス・アット・ノールウッドを訪れるコリー・ホールズさん(48)は新たなつづりについて、「なんだか必死すぎる気がする」と話す。

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