AIの進化で〝一人一人にドラえもん時代〟がやって来る!?

AIの進化で〝一人一人にドラえもん時代〟がやって来る!?

  • @DIME
  • 更新日:2017/10/12

■AIベンチャーの肖像「カラフル・ボード株式会社」

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AIの浸透で社会が急速に一変すると言われる今日、AIベンチャー企業の創業者は、どんな近未来をイメージしているのか。

カラフル・ボード株式会社。

“SENSYは人の感性(センス)を理解する、パーソナル人工知能”。まず、SENSYのアプリをダウンロード、→チャットを通して自分の好みの服装をAIが学習、→ひとりひとりの好みを学習したSENSYが約5000社の提携先の80万アイテムの中から、あなた好みの服装を次々に提案、購入も可能というサービスを無料で提供している。一方で企業向けには膨大な情報をAIが解析し、確度の高い需要予測やマーケティングを提案し対価を得ている。

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代表取締役CEO、渡辺祐樹(37)は学生時代、人工知能の研究室に所属。営業マン、企業のコンサルを経てアパレル業界の在庫問題から、AIを使い需要予測やマーケティングの提供を考案し、起業のきっかけをつかむ。14年11月にSENSYを発表すると、ダウンロードは数万に及んだが、資金枯渇で、会社の口座の預金残高が2万9千円と5桁の時もーー。

●精度を増すAI

「SENSYはお金をもらうアプリではないから、ユーザーが増えるとサーバーコストが月額100万円ほどになって。エンジニアも増員しなければならず、開発コストもうなぎ登りでした」

――AIが注目される昨今、お金を出してくれる先は、比較的簡単に見つかるのでは?

「ベンチャーキャピタル数社と話を進めたのですが、資金枯渇で内心ヒヤヒヤでも、僕らの描くビジョンはIPO(新規上場)とかではない。僕らのやろうとしていることに興味を持ってくれて、一緒に新しいビジネスを作ろうと考えてくれるところということで」

15年4月、ACA株式会社運営のファンドによる1.4億円の資金調達に成功。会社の危機を脱すると同時に、渡辺の思い描いたビジネスは軌道に乗りはじめるのである。

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「現在、提携先は5000ブランド。各アパレル起業からデータをもらい、それをユーザーに提供しているのですが、そこを入り口にして企業と深い関係を築いていく戦略です」

17年4月、カラフル・ボードは総額8億円の第三者割当増資を発表した。主な引き取り先ははるやまホールディングス、TSIホールディングス、VINXの3社。この3社とは業務提携も締結している。

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「はるやまのお客さん200万人の一人一人にSENSYを作り、稼働させています」

紳士服を扱うはるやまは16年11月、AIを使い顧客の好みを解析し、その好みを反映したDMを送付したところ、従来より58.7%も来客数が増え、2000万円以上の売り上げ増に繋がったという。

「TSIもお客さん一人一人にAIを作り、次にどんな商品を買うかを予測して、企画中の商品を買う確率を計算します」

TSIは37のブランドを持ち、約1400店舗を運営する。導入したAIが販売データを解析し、細かく需要予測を算出することで、不良在庫というアパレル業界の大きな課題の解決を提案していく。

「今、SENSYのアプリのダウンロードは20万人ほどです。スマホのユーザーとはるやま、TSI等、業務提携した企業から得られる数百万人分のデータが一体となり、ビッグデータを取り込み、AIの精度は高まっています。ユーザー一人一人には、より好みに適したファッションを提供。企業向けにはより確度の高い需要予測や、マーケティングを提案していく」

洋服だけではないと、渡辺の話は続く。

「伊勢丹ではワインコーナーでタブレットを使ったサービスを提供しています。ワインを飲んだ感想をタブレットにインプットすると、その人の味覚をAIが解析して、お客さんの好みのワインを提案してくれる。この9月に発表したアプリは、飲んだワインを記録する機能が付いていて、甘みの点数とかを入れていく。その記録をAIが解析し、店のワイン棚をスマホでスキャンすれば、自分にあったワインを勧めてくれるサービスです」

さらにチャットを通して、その人の好みの旅行先を提案するサービスも考案中だ。

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「売上げは前年比で5、6倍。おおむね計画通りです。ファッションの他に、将来的に人間が24時間の中で関わるコンテンツ全部を、パーソナルAIのSENSYに取り入れたい」

●一人一人にドラえもん。

――さて、生活に必要なコンテンツを取り込んだパーソナルAIが、社会に浸透したとして、近未来はどんな社会になるのか。

「一人一人がドラえもんを持っている社会。日常生活でドラえもんが、自分好みのものを全部マッチングしてくれる。近い将来、人との出会いも、アプリの機能に取り入れたいと考えています。気の合う友達を探したり、仕事上で必要な人との出会いをスムーズにしたり。偶然だったものを必然に変えていきたい」

―― 一人一人がドラえもんを持つ未来、人間はのび太のようなイメージですか?

「のび太かどうかはその人次第ですが、AIの提案を拒んでもいい。選択するのは人間です。ただ、解決策や必要なものにいち早くたどり着けるので時間の節約になり、時間を有効活用できて濃密な人生を過ごせるはずです」

――近い将来、自分で考え行動できる汎用型AIが社会に浸透すると言われています。

「AIに感情の搭載を許すかどうか。感情に基づいた行動をAIに許すと、自律的に進化をしていき、人間がコントロールできなくなる可能性があります。機械と人間の区別がなくなる。例えば人間と同じような感情を持ったAIに愛情が湧いたり。機械を止めることは人間を殺すのと同じだみたいな」

――AIの人権みたいな論議が巻き起こる?

「そんなことを考えると、やはり人間との境界を保ったまま、進化して行く方向がいいのかと……」

だが、なにごとも進化の前に戸は立てられないと、渡辺祐樹はそう言いたげでもあった。

AIの進化は日進月歩目。早晩、感情や思考を持った汎用型AIが社会に浸透するであろう。より便利な社会へと変貌を遂げるのは確実である。より便利になるということは、人はより考えなくてもいい世の中になっていくという一面もある。パーソナルな人工知能が行き渡った近未来、果たして“節約できた時間を有意義に使い、より濃密な人生を過ごそう”と思えるかどうか。どうも筆者はのび太型のような気がする。

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取材・文/根岸康雄

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