田中陽子ほか、元ヤングなでしこが、代表に返り咲く一歩を踏み出した

田中陽子ほか、元ヤングなでしこが、代表に返り咲く一歩を踏み出した

  • Sportiva
  • 更新日:2018/02/14

なでしこジャパンを強化する一方で、その予備軍の底上げも欠かせない。

4年ぶりに復活した合宿”なでしこチャレンジ”では、U-23カテゴリーより上の年代で、招集される機会が激減してしまう選手層にもスポットが当てられた。集められたメンバーには、所属チームで核になる選手や、これからの見込みがありそうなフレッシュな選手、その中にはかつてアンダーカテゴリーで世界と互角に戦った選手の名前も多くあった。

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チャレンジ合宿に参加した成宮唯(左)と田中陽子(右)

そのひとりが、田中陽子(24歳・ノジマステラ相模原)だ。U-17世代から代表の常連で、将来を有望視されてきた。だが、2013年のなでしこジャパンに初招集されるも、なでしこの組織的なサッカーの中で居場所を作ることができなかった。

ノジマでは、確かな技術と攻撃センスを武器にチームに貢献。昨シーズンは、最後のタイトル争いとなる皇后杯で、惜しくも敗れはしたものの、チーム初となる決勝進出を果たしている。今回はその活躍が認められての招集となった。

中身の詰まったトレーニングで、彼女はあるテーマを見つけた。

「相手の逆を取るっていうのは、相手が食いついてきてくれたらできるけど、(状況が)落ち着いているときに自分から仕掛けるというのが難しくて、できている気がしないんです(苦笑)」

チームでは前に前にとボールを動かすサッカーに身を置く。しかし、なでしこチャレンジで男子高校生とトレーニングマッチをした際、全く前にボールを運ぶことができなかった。

「あえて”止まる”というか。でもタイミングが悪いと相手も止まってしまう。そのタイミングが難しい……」

これまで動きの中でプレーすることを最優先としてきた田中にとって、一度”止まる”という概念はなかった。これは守備にも通じているという。

「相手に強く(当たりに)行って、そこで止まって相手がかわしてきたときにもう一度素早く動き直す――ここも同じ”止まる”タイミングが重要」

もちろん、流れを止めないこれまでの彼女のプレーは揺るぎない個性である。そこへ真逆の”止まる”プレーが加われば選択肢は無限に広がる。

「女子では、そういうプレーをする選手はあまりいないので……やるしかないですね!」

とてつもなく厳しい野望ではあるが、その表情は実に楽しそうだった。

5日間のメニューで選手たちに衝撃を与えたのが、日程の中盤に組まれたセレッソ大阪ユース(高校1年)とのトレーニングマッチだった。

フィジカル、戦術、技術すべてにおいて太刀打ちできる相手ではなかったのだが、ワンサイドな展開の中、左サイドから中へ切り込んでシュートまで持っていったのが成宮(なるみや)唯(22歳・ジェフ千葉)だった。このチーム唯一のシュートは、常に自陣で相手の脅威にさらされながら、わずかな隙を突いての攻撃だった。

「(攻撃を)イメージして入ってはいました。でも、パス&コントロールだったり、球際の甘さを痛感しました……」と悔しさを滲ませた成宮。彼女もU-17世代ではチームを牽引する存在だった。サイドからドリブルで侵入して狙いすますシュート――。一連の流れるようなプレーはキレがあり、成宮特有のものだ。U-23世代では高倉麻子監督の指導も受けていたが、なでしこチャレンジの場はそれとは明らかに違うと成宮は言う。

「より世界レベルを意識したトレーニングになっています。リーグでたまたま”許されている”プレーを意図的にできるようにしなければいけないと思う。一瞬の駆け引きで相手を抜くっていうプレーは勝負できる感覚はありました。ゴールへ向かうファーストタッチはもっと精度を上げていきたいですね」

次々に課題と成果への言葉が続く。おそらく、日々自問自答しながらしっかりと整理がついているのだろう。成宮にとって、この5日間はかなり刺激的なものになったようだ。

この2人とは異なり、U-17世代から高倉監督のもとで戦ってきた秘蔵っ子とも言えるのが杉田妃和(ひな/21歳・INAC神戸)だ。2014年FIFA U-17女子ワールドカップ(コスタリカ大会)で世界一になり、続く2016年FIFA U-20女子ワールドカップでは、2大会連続のゴールデンボール(最優秀選手)を獲得した実績を持つ。

しかし、ともに戦った長谷川唯(日テレ・ベレーザ)、籾木結花(もみき ゆうか/日テレ・ベレーザ)らがなでしこジャパンへ定着しつつある中、杉田は後塵を拝している。これまで高倉監督とともに戦った時間があるからこそ、新たな成長を見せ続けなければならない厳しさもある。

「カテゴリー別のときは自分たちで考えて自由にプレーする感じでしたが、トップレベルになると、あるレベルまで達するために細かいところまで求められる。ボールを持った時の幅の持ち方やタイミングっていうのは、これまで自分が考えていたのと違う部分もあって新しい発見でした」(杉田)

ボランチというポジションは、なでしこジャパンでもタレント揃いだ。杉田がなでしこジャパンで戦うレベルに上がるには、もう一段階、二段階のステップアップが必要だが、彼女の持つポテンシャルの高さは高倉監督も認める。

この3人に共通しているのは、自身の課題に対してとても貪欲に取り組みながら、常に目の前の目標として”なでしこジャパン”を現実的に据えているということ。この3人のみならず、まさに”なでしこ予備軍”である意識を強く持った選手たちがこれまでになく多かったことが、今回のプロジェクトをかつてないほど濃密なものにした。

「自分はまだまだ足りないということを感じながら、それでもやってやるというエネルギーを感じました。やってよかったと思います。やっぱり、なでしこリーグを強くしてほしい。ここにいる選手たちがそのカギを握っているんです」と高倉監督。

種は蒔いた。あとは選手たちがいかなる実をつけるのか。リーグでのパフォーマンス次第では、なでしこジャパンへ引き上げられる選手もいると指揮官は明言している。下剋上を果たす選手が出てくれば、なでしこジャパンに新たな風が吹くことは間違いない。

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