「5月から皇太子がいなくなる」という事実が意味すること

「5月から皇太子がいなくなる」という事実が意味すること

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/04/26
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昭和でも平成でも、天皇と皇太子が両輪となって公務に当たる姿は、我々にとって当たり前の光景だった。だが、次の時代は違う。しばらく続く皇太子の「不在」から、様々な問題が浮き彫りになりそうだ。

有資格者は悠仁さまだけ

4月30日に天皇が退位し、翌5月1日に皇太子が新天皇に即位する「代替わり」まで、いよいよ1ヵ月あまり。

その日は、新たな天皇が誕生すると同時に、この国から「皇太子」という存在が消える日でもある。

「新たに皇位継承順位第1位となる秋篠宮が新皇太子になるのでは」と、思うかもしれないが、それはあり得ない話だ。なぜなら、皇室に関する各種事項を規定した『皇室典範』には、「皇太子」という立場が以下のように定義されているからだ。

〈皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という〉

ここで言う皇子とは、天皇の「息子」を意味する。つまり、皇位継承順位とは関係なく、新天皇の弟である秋篠宮は、皇太子となることはないのだ。

そして、新天皇の子は長女である愛子さまだけであり、皇子はいない。仮に愛子さまが一般人と結婚し、新天皇に孫が生まれたとしても、それは「女系男子」となるため、〈皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する〉と定めている皇室典範の下では、皇太子を名乗ることはない。

いまのところ、皇太子になる可能性が残されているのは、秋篠宮が天皇に即位した場合の悠仁さまのみだ。

では、秋篠宮はこれから何という名称で呼ばれるのか。それは、単純に皇位継承順位第1位の皇族を指す「皇嗣」だ。

そもそも、皇室典範には、「天皇の弟をどう称するか」についての規定は存在しない。そのため、'17年6月に公布された『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』において、苦肉の策として、用意されたのが、この皇嗣という呼称だった。(全国紙皇室担当記者)

皇太子に愛子さま以外の子がなかなか生まれないなか、こうした状況が訪れることは時間の問題だった。

だが、秋篠宮の立場についての具体的な検討が行われぬまま時が過ぎ、事ここに及んで慌てるようにして新たな呼称を探したというのが現実だ。

とはいえ、「皇太子という立場の不在そのものは、特に大きな問題ではない」と語るのは、皇室に詳しい評論家の八幡和郎氏だ。

「皇太子と皇嗣を区別するのは、あくまで日本における呼び名の話であり、英語の敬称は皇太子と同じ『クラウン・プリンス』とするようですし、フランス語だと両方とも『プランス・エリティエ』と称するので、海外で公務にあたる上では、何ら違和感は生じません。

そもそも、日本の歴史上、皇太子がいない時代というのは、決して珍しいことではない。たとえば、昭和の場合、現在の天皇陛下が生まれるまでの7年間は皇太子不在の時期が続きましたが、それで何か不都合が起きたということはなかった」

実際、特例法では、秋篠宮を皇太子と実質的に同格で扱うことが定められている。

たとえば、儀式にあたっては従来、皇太子のみが身にまとうことを許されてきた袍を着用することや、皇太子の証しである「壺切御剣」を授与されることも決まっている。

同時に、皇嗣となる秋篠宮の皇族費や警護の待遇も大幅に上がる。

皇室ジャーナリストの久能靖氏が言う。

「これまで、皇太子殿下と秋篠宮殿下の待遇には大きな差がありました。たとえば、'18年度、天皇・皇后両陛下と皇太子ご一家のための費用である『内廷費』は3億2400万円が計上されていたのに対し、秋篠宮ご一家に支給される金額は6100万円に過ぎませんでした。

しかし、今後、秋篠宮殿下が皇太子殿下に準ずる役割を担われるにあたって、これまで以上にご公務が増え、職員を増員する必要もあるため、秋篠宮殿下ご本人に対する予算は、3倍になることが決まっています。それでもまだ内廷費とは開きがあるとはいえ、大きな変化でしょう」

新天皇と秋篠宮の負担

また、5月から新たに秋篠宮家に仕える職員「皇嗣職」は51人に決まった。これは、現皇太子に仕える東宮職とほぼ同規模で、現在の秋篠宮家に配置されている24人からは大幅に増える格好だ。

さらに、秋篠宮家の警護も手厚くなる可能性が高い。これまで、天皇・皇后の護衛は皇宮警察の『護衛第一課』が、皇太子ご一家については『二課』が、その他、秋篠宮を含めた皇族方は『三課』が担当していた。

今後は皇太子という立場がなくなることで、その分の人員が秋篠宮家に割り振られると考えられているのだ。

こうしてみると、秋篠宮を「実質的な皇太子」とする準備は、着々と進んでいるようにもみえる。

だが、体裁や予算をいくら整えても、いざ今後の「皇太子不在」の皇室を現実的に考えてみると、いくつもの問題が浮上してくる。

「やはり、最大の懸案は新たに公務を引き受ける皇族の数が減少していくことでしょう。本来であれば、これまで皇太子殿下がやってこられた公務を、秋篠宮殿下がすべて引き継がれるのが理想です。

しかし、実際は秋篠宮殿下ご自身もすでにたくさんの公務を抱えていらっしゃる。それで、すべてを引き受けることが難しいということで、紀子さまや眞子さまにも割り振り、なんとかこなそうとしているわけです」(前出・久能氏)

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すでに、代替わり後、現在の天皇・皇后は一切の公務から退くことが決まっている。

つまり、これまで、天皇・皇后、皇太子・雅子さま、秋篠宮・紀子さまの3者で分担してきた公務を、皇太子という立場の不在で、新天皇家と秋篠宮家の両家で背負うことになるのだ。

秋篠宮の真意は?

こうした新天皇家や秋篠宮家の負担は、これから増えることはあっても、減ることはない。

現在、皇室には天皇・皇后のほかに16名の皇族方がいるが、今後長期にわたって公務を遂行できる若い男性は、秋篠宮の長男である悠仁さましかいない。まだ12歳にして、悠仁さまは想像を絶する重圧を抱えているのだ。

小室圭さんとの婚約が暗礁に乗り上げている眞子さまを始めとした女性皇族は、結婚されれば皇室を離れてしまう。

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今後、皇室典範の改正により女性宮家が創設され、佳子さまや眞子さまらが皇室に残ることがない限り、悠仁さまが結婚し、子供が出来るまでの間、皇族の数は減少する一方だ。

このままでは、現在の天皇と皇后が全霊をかけて守り続けてきた「開かれた皇室」の維持が難しくなってくる。

もうひとつ、皇太子のいない時代は、「誰が将来的な皇位継承者にふさわしいのか」という根本的な問題も浮き彫りにする。

「新天皇と、皇位継承順位第1位の秋篠宮殿下の年の差はわずか5歳しかありません。仮に、新天皇が現天皇の年齢まで位につかれていると仮定すると、次の代に引き継ぐのは今から26年後になる。

その時点で、秋篠宮殿下はすでに79歳とかなりのご高齢になっていますから、ごく短期間でまた退位されることになるかもしれない」(前出・八幡氏)

そもそも、現在の天皇が生前退位を望んだのは、高齢となったことで、「象徴としての務め」に支障が出ることを避けるためだった。それを考えると、70代後半で新たに天皇位につくことは、この「お気持ち」と矛盾する行為になりやしないか。

「くわえて、退位や即位にともなって行われる行事には莫大な費用がかかり、国民生活にも大きな影響が出る。

秋篠宮殿下は、大嘗祭の予算を天皇家の私的活動費で賄うことを提案されたことからわかるように、皇室にまつわる行事や祭祀に大規模な国費を投入することには極めて消極的です。

ご自身が、ほんの数年の間、皇位につくために、それだけの国家的な予算と労力をかけることには到底賛成されないでしょう」(前出・宮内庁関係者)

「愛子天皇」の可能性

こうした事情をふまえると、将来的に秋篠宮が天皇になることを望まなかった場合に備えて、現段階から秋篠宮の「次の天皇」について考えておく必要がある。

そして、それを大きく左右するのが、新天皇のたったひとりの子である、愛子さまのお立場だ。

〈皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる〉と定めている現在の皇室典範に則れば、愛子さまも結婚の暁には、皇室を離れることになる。かつての紀宮さま(現・黒田清子さん)のように、皇族ではなくなるわけだ。

だが、愛子さまと清子さんの置かれた立場には、重大な違いがある。すなわち「兄弟の有無」だ。清子さんには、皇太子と秋篠宮という、今上天皇の血を受け継いだ2人の兄がいた。ところが、愛子さまの場合は、新天皇の直系の血を引く唯一の子女であり、その代わりは誰もいない。

それは同時に、愛子さまが新天皇・皇后の一挙手一投足を一番間近で目にする存在になるということだ。生活における所作から、公務での立ち居振る舞いまでを、両親の姿からじかに学ぶことになる。

「秋篠宮さまはかねがね、『自分は天皇になるための教育を受けていない』と語られてきました。ですから、秋篠宮ご夫妻だけで『将来の天皇』を育てようとするのには、難しい点があります。

いっぽう、現・皇太子さまは、天皇の長男として幼少の頃から帝王学を教えこまれてきた。そういう父の姿を目の当たりにしてきた愛子さまのほうが、より天皇の立場に馴染みやすいのではないかという考え方も当然ある」(前出・全国紙皇室担当記者)

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現在は天皇、皇太子ともに男性皇族だけが即位できるものと定められているが、それはあくまで明治時代に皇室典範が制定されて以降の、わずか130年の決まり事に過ぎない。日本の長い歴史をたどれば、女性皇太子、女性天皇は確かに存在している。

こうして、ルールが時代とともに移ろって来たことを考えれば、いずれ、新天皇の子である「愛子皇太子」「愛子天皇」への待望論が出てくることは、想像に難くない。

愛子さまも17歳になられ、そう遠くない将来、結婚適齢期を迎えることになる。一度、皇室を離れて民間人になってしまえば、後から皇族に戻ることは難しい。

「美智子さまは、紀宮さまが民間に嫁いでも大丈夫なように、さまざまな教育を行っていました。

愛子さまについても、現行制度のままいずれ皇室を離れるのか、それとも、女性天皇・皇太子が容認され、皇位継承権を得るのかによって、施すべき教育の内容がまったく変わってきます」(前出・久能氏)

秋篠宮の後の皇位継承者は悠仁さまになるのか、それとも、愛子さまになるのか。いずれにしても、いままでのように悠長に構え、問題を先延ばしにする時間はもう残されていない。

戦後、初めて訪れる「皇太子のいない時代」は、この国の皇室のあり方に様々な波紋を投げかけることになる。

「週刊現代」2019年4月6日号より

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