米男子ゴルフでキャメロン・スミスが34アンダーの新記録で優勝した理由

米男子ゴルフでキャメロン・スミスが34アンダーの新記録で優勝した理由

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  • 更新日:2022/01/15
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Ⓒゲッティイメージズ

3位マット・ジョーンズでも記録更新の32アンダー

6~9日までハワイ・マウイ島のカパルア・プランテーションコースで開催されたゴルフの米男子ツアー2022年初戦となる「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で松山英樹は通算21アンダーで13位だった。

優勝したのはオーストラリアのキャメロン・スミス。4日間の通算34アンダーは、2003年大会でアーニー・エルスがマークした72ホールでの米ツアー最多アンダー記録(通算31アンダー)を更新するビッグスコアだった。

さらに今大会では2位のジョン・ラーム(33アンダー)と3位のマット・ジョーンズ(32アンダー)もエルスの記録を抜いていた。これだけのビッグスコアが生まれた理由は何だったのか。

マウイ島西部の高級リゾート、カパルアにあるプランテーションコースは、米男子ツアーのトーナメントが開催されるコースでは最もフェアウェー幅が広い。3年前に約9カ月もかけてフェアウェーとグリーンの芝を張り替えたことでコンディションは良好。さらに大会期間は天候にも恵まれたことが好スコア続出を後押しした。

スミスはシーズンの平均飛距離では87位だが、今大会では4日間の平均飛距離が全選手の中で4位(302.6ヤード)だった。2位のラームも3日目に打ち下ろしの18番パー5で401ヤードを記録するなどして平均飛距離は10位と、飛ばした選手が優勝争いを演じた。

フェアウェーキープより飛距離重視

日本でゴルフ中継を見ていたり、レッスンを受けると「スコアメークのためにはティーショットでフェアウェーキープすることが大事」と耳にする機会が多いと思う。ラフよりもフェアウェーから打った方がグリーンに乗せる、あるいはバーディーチャンスに付けられる確率が高いのは言うまでもないからだ。

だが、ウッドやアイアンで刻んでフェアウェーから7番アイアンで打つのと、ドライバーで多少曲げてラフに行っても、ピッチングウェッジで打てる距離まで運べば確率はそう変わらない。

まして、ドライバーでフェアウェーをとらえることができれば、刻んだ状況よりもかなり短い距離からグリーンを狙えるのだからバーディーチャンスに付ける確率はグンと高くなる。ドライバーで打ったら必ずラフまで曲がるわけではない。それならよりグリーンに近づいてチャンスを増やすことにトライするのが近年の米ツアーのトレンドだ。

大型ヘッドに違和感ない世代

大会ではトップ10のうち8人を20代の選手が占めた。これは現代の大型ヘッドドライバーを物心ついた時から使っていることでサイズへの違和感がなく、飛ばしに必要な性能をフルに発揮できるスイングが身に付いている(染み付いている、の表現でもいいかもしれない)ことを意味する。

現在、プロが使ったり市場に出回っているドライバーのほとんどはヘッド体積がルール上限の460㏄だ。このサイズのドライバーが登場したのは2005~2006年ごろなので、20代の選手だと最初からこの大きさを使っていることも考えられる。

ちなみにゴルフ史に残る大ヒット作「グレートビッグバーサ」(キャロウェイ)が発売開始となったのは1995年だった。当時の売り文句は「従来のステンレス(メタル)ヘッドより50㏄以上も大きい250㏄」。これからわずか10年ほどでヘッドの大きさは倍近い460㏄へと大型化していったのだが、この急激な変化に戸惑う選手も少なくなかった。

その一人がタイガー・ウッズだ。大型ヘッドの特徴は「スイートエリアが広がり、やさしく飛ばせる」こと。一般ゴルファーにとってありがたいことも、トッププロにとっては「操作性が低くなり、球筋を操りにくい」というデメリットになることもある。

実際にドライバーが400㏄を超えたあたりから、ウッズが素振りでしきりに球筋をコントロールするスイングをしようとしているシーンを見かけるようになった。メジャー15勝のうち12勝は2006年以前に挙げている。怪我や加齢といった要素もあるとはいえ、ドライバーの大型化が必ずしもウッズのゴルフに合っていなかったといえるのではないか。

これに対して、20代の選手はゴルフを始めた頃から460㏄を使っているのだから「ドライバーとは、こういうもの」という感覚。その前の世代が抱くようなサイズの変化による違和感とは無縁でゴルフをしてきた世代が性能の進化による飛距離アップの恩恵を最大限に受けてスコアにつなげるということが如実に出た。

冒頭に書いたように、米ツアーで最もフェアウェー幅が広いコースなので、若い選手ほど気持ちよく飛ばし、気持ちよくバーディーチャンスに付けて、パットも決めていたということだ。時代が変わったことを象徴するようなリーダーズボードになった。

松山英樹は通算21アンダーで13位

ところでこの大会には松山も出場していた。日本で開催されて優勝した昨年10月の「ZOZOチャンピオンシップ」以来となる試合の結果は通算21アンダーの13位。4日間のパーオン率は86.11%(72ホールで62回成功)で、優勝したスミスと同じ。出場選手の中で5位タイだった。

ところがパーオンしたホールでの平均パット数はスミスの「1.548」に対して松山は「1.726」。1ホールあたり「0.178」の違いは些細なものに見えるかもしれないが、これにパーオンしたホール数(62)をかけると約11ストロークもの差になる。

実際のデータを見ても、4日間トータルのバーディー数はスミスが31で松山は22。イーグルはスミスが3で松山は1という結果に現れている。

とはいえパットの調子はちょっとしたきっかけで劇的に改善することもある。約2カ月半ぶりの試合だったにもかかわらず、アイアンやウェッジの切れは素晴らしかっただけに今週の「ソニー・オープン」での好結果に期待したいところだ。

《ライタープロフィール》
森伊知郎(もり・いちろう)横浜市出身。1992年から2021年6月まで東京スポーツ新聞社でゴルフ、ボクシング、サッカーやバスケットボールなどを担当。ゴルフではTPI(Titleist Performance Institute)ゴルフ レベル2の資格も持つ。

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森伊知郎

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