【復刻】秋山翔吾×秋山幸二 西武で活躍した「2人の秋山」特別対談

【復刻】秋山翔吾×秋山幸二 西武で活躍した「2人の秋山」特別対談

  • 西日本スポーツ
  • 更新日:2022/06/23
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西武の秋山翔吾外野手と西日本スポーツ評論家の秋山幸二氏による「初の対談」が実現した。西武で活躍した現役時代に走攻守に高い能力を示した秋山氏と、それを受け継ぐように同じポジションで4年連続フルイニング出場を続ける秋山。「2人の秋山」がリーグ優勝した今季の活躍、プレースタイル、2011年の同期入団で、ライバルでもあるソフトバンク柳田悠岐外野手のこと、将来の夢などを語り合った。 (聞き手、構成=久保安秀、松田達也) ※2018年12月26日付紙面から 数字などは当時。

◇    ◇    ◇

秋山氏「まずはリーグ優勝おめでとう」

翔吾「ありがとうございます。ただ、CSでホークスに負けてしまったんで来年また頑張ります」

―お互いの印象から

翔吾「自分が新人の時、秋山さんはソフトバンクの監督だった。オープン戦で土井(正博)打撃コーチ(当時)に『同じ名前だからあいさつしてこい』と言われて、それが初めて。名前をお借りしているという感覚だった」

秋山氏「おれが入団したころ、プロ野球界に秋山という名前はいなかったんだ。ちょっと前、大洋ホエールズに秋山登さんがいた。それから阪神の秋山拓巳か。そういえばドラフトの時はおまえを見ているんだ。指名リストに載っていた」

翔吾「聞いたことがあります」

秋山氏「当時の詳しいことは…ナイショなんだけど(笑)。いい選手なのは分かった。打撃は完成されていたしね。足もあるし、守備もいい。一方、柳田は…未完成というか。まあそれはいいか。今は2人とも活躍してるし(笑)。他球団との関係で2人とも指名できないと思っていた。でも、結局どっちも打率で3割5分以上打っただろ。すごい選手。大したもんだ」

―「西武の秋山」という共通点については

秋山氏「やりにくい部分があったんじゃないか。どうしても比較になる」

翔吾「打撃では右と左が違うからあまり比較されなかったんですが、守備と足は先輩や首脳陣によく言われました。秋山さんなら、もっとできるぞとか」

秋山氏「足か?」

翔吾「自分は盗塁がイマイチで…」

秋山氏「思い切りがないんじゃないか。行っちゃえばいいんだ。俺なんかどんどん走って失敗して怒られた。まあ、おまえは責任感が強いようだから」

翔吾「失敗するとチームに迷惑が…」

秋山氏「今の選手はみんなまじめ。チームのことを先に考える。俺たちの時代、チーム内でも先輩が後輩に教えることはなかった。『なんで教えなきゃならないんだ、おれの働き場所がなくなるじゃん』と。自分が成績を残せば、チームにプラス。それが今はチーム、チームになっている」

翔吾「チームが勝てばいいという思いが強いのか」

秋山氏「例えば、無死二塁で右打ちのサインが出ていなくても、自分で考えすぎて変な打ち方になる選手もいる。サインが出てないということはヒットを打てということ。右打ちのサインが出れば、チームのために自己犠牲しなきゃいけない。自分で考えすぎることはない。それを考えるのは、監督、首脳陣なんだよ」

翔吾「例えば次の(4番の)清原(和博)さんに『盗塁するからな』なんて言わなかったんですか」

秋山氏「キヨはファーストストライクを打たないから、その前に走っちゃう。当時のコーチに『打って走って守れる選手になれ』と言われた。もともと走るのに興味はなかったけど、そこから走るようになった」

―今年は西武が10年ぶりにリーグ優勝。秋山選手の活躍をどう見ていた

秋山氏「打線を引っ張る存在だね。あれだけ中軸に打点が多いのも1、2番の出塁率があるから。投手が3、4点取られても野手がバタバタしない。点を取られるなら取らないと、という集中力があった」

―一方で、CSでは秋山選手は不振だった

秋山氏「CSで内角を意識しているのが、すごく分かった。ここ(内角)を攻めてくるんじゃないかと思っているように見えた」

翔吾「配球が内角に偏るかなとは思っていたので」

秋山氏「投手は打者を崩しにくる。自分から、わなにはまらないようにしないと。内角を意識しすぎるとポイントも前になるし、真ん中の球も打てなくなる」

―短期決戦には独特の難しさがある

秋山氏「何を考えてやっていた?」

翔吾「特別なことは考えていませんでした。状態も悪くなかった。周囲が打っていて乗り遅れた感じはあった。それで焦った部分もあった」

秋山氏「おれは日本シリーズが好きだった。始まる前はMVPか優秀選手を必ず取るぞと考えていたよ」

翔吾「そこまでは考えられませんでした。そもそもの発想が違いました…」

秋山氏「よし、CSで何割打とう、何打点挙げようとか、そっちの方が前向きじゃん。チームが勝てばいい。それは漠然としている。でも自分は何試合でどれだけ打つか。そういうのをはっきりさせた方がいい。そうなれば、勝ち試合でも負け試合でも自分の打席にこだわる。そうすれば結果がついてくる」

翔吾「チームのために、自分の姿勢を見せていかないといけないという意識もある」

秋山氏「自分はプロとしてお金をもらっている。だから、ファンの皆さんに喜んでもらう。それが仕事。守備でも走塁でも、見せて、それを楽しんでもらうことが大事。お客さん、見てくださいと。練習で見せることはよくやっていたよ。キャンプとか試合前のフリー打撃とか、スタンドにボーンと大きいのを打ったり、外野から矢のようなライナーを投げて、お客さんが沸くじゃん。人に見られていると手を抜けなくなるからね。ただ、自分のための大事な練習は室内にこもってやっていた」

翔吾「自分にはない考え方です。そこまで自信はないというか」

秋山氏「だからこそ、練習するんだ。若いときは、どうやって試合に出るかばっかりだったろ。チームのことを考える余裕もなくて。今は、成績を残しているから。見せるという意識も必要だ」

翔吾「(2015年に216安打を放って)プロ野球新記録をつくったときは、何も考えずに野球をやっていました」

秋山氏「そうだろ。もっともっと高みを目指せばいいんだ。チームのことは監督やコーチが考えればいい。自分は自分のことを一生懸命やればいい。責任は監督が取るんだから」

―打撃についてもお互いの考え方に違いがある

翔吾「ホームランはヒットの延長ですか?」

秋山氏「人によって違うけど、俺はホームランは狙って打った。その失敗がヒットだった。練習では、いつもスタンドに入れることを意識していた。最初はホームランを狙って、2ストライクからはヒットでいいと思えば三冠王も取れたかな。俺は追い込まれてもホームランを狙っていた。だから三振が多かったんだ。ホームランというのは甘いところしか打てない。難しい球もヒットを打つことはできる。でもホームランは遠くに飛ばさないといけないから、自分の形を崩されないようにしないといけない。イメージして、配球を読んで崩されずに打てば、ホームランになる。でも簡単じゃない」

翔吾「狙って打ったホームランはないんです。自分にとってトリプル3で一番難しいのはホームラン。秋山さんは打率ですか?」
秋山氏「そうだね。打率は求めていなかったから。そういう意味では自分がどうなりたいかだ。これからどういうプロ野球選手になりたいのか。イメージはある?」

翔吾「入団したときは秋山さんの名前も意識して、トリプル3が目標と言っていました」

秋山氏「できる、できないは単なる結果。選手としては自分の目指すところを求めて練習していかないと。今季は本塁打数も増えただろ」

翔吾「ホームランの数が伸びている理由は分からないんです。ただ、ホームランが増えると、打率が下がる。打撃練習でも、その感覚と手応えを求めてしまうので。そうなると体の前で打つ。その分はボールを前に置く意識になって、空振りも増えてしまう」

秋山氏「どういう選手になりたいかが大事なんだ」

翔吾「もう一度、3割5分を打ちたいです。柳田はあれだけ振って飛ばして打率も3割5分。やっぱり負けたくない。柳田に何か一つでも勝ちたい。それは打率かなと。秋山さんはホームランを求めていたということですね」

秋山氏「ダイエーに来て腰が痛くてフルスイングできなくなった。ホームランが打てないから、今年は3割を狙うぞと。そうすると打てるんだよ(笑)。ただ3割打っても面白くなかった。だから翌年、またホームランを求めたんだ」

翔吾「2000安打は通過点ですか」

秋山氏「目標ではなかったかな。周りが喜んでくれたから。おまえは、3000安打を打つという意識でやった方がいい。毎年、3割5分を最低にすればやるべきことが見えてくる」

翔吾「高い目標です」

秋山氏「おれは毎年40本を打ちたいと思ってやってきた。5年目に40本打って、それを基準にした。計算するじゃん。シーズン3試合に1本打てばいいとか。ということは12打席に1本。そのつもりでカレンダーに丸を付けたよ。今月は少ないなとか」

―秋山選手はメジャー挑戦への思いもある

翔吾「メジャーでやりたい気持ちはなかったですか?」

秋山氏「ダイエー移籍1年目でFAを取ったけど、制度もなかったし、腰も痛めた。福岡ドームのフェンスの高さが、低く打つ俺の打球と合わなかったんだ。もっと高く遠くという意識で足を上げて打つようになったら腰を痛めた。体が万全だったらね。20、21歳の時アメリカでプレーしてメジャーはレベルが高いと自分の中で思っていた。アメリカの野球は面白いよ。おまえはどう?」

翔吾「今回の日米野球が自分の中の基準。やれるかな、という思いはあります」

秋山氏「若い頃、アメリカのマイナーリーグに行って、ここでやってみたいと思ったよ。最初は1軍で活躍したいと思っていたけど、途中からメジャーで通用する選手になりたいと思った。昔はメジャー情報って、新聞に記録が少し載っているだけ。アメリカで一緒にやった選手の成績は気になった。グレン・デービスが10本打っているなら、俺は8本は打てたなとか。カンセコも打ってるなとか」

翔吾「そうやって言われると、まだ現実を見てないのかな…」

秋山氏「イチローも松井(秀喜)もメジャーに行って、タイミングの取り方が変わった。間の取り方とか。そういうのを自分で考えて臨機応変にやれるか。俺はいい投手と対戦するときは、ワクワクしていた。どう打つか、どうしのぐか考えるだけで、自分を成長させてくれる」

―秋山選手は4年連続でフルイニング出場。この先の活躍については

秋山氏「今年は大きなけがはなかったね」

翔吾「オープン戦に少し肘を痛めた時期がありました」

秋山氏「ごまかしながらやるのも大事。休まずに試合を出るつらさはある。その中でも結果を残さないといけないから。ただ、引き出しはできるし、必ず自信になるし、将来に生きる。みんな多少のけがはある。きついんだよ。それでも試行錯誤しながら結果を残すことで技術も上がるし、精神的に強くなる」

―最後に秋山選手にメッセージを

秋山氏「今は44、45歳までやれるイチローという見本がある。40歳になっても若手に負けないとか、そういうのを見せてほしい。記録は一年一年だけど、シーズン200本打てば、3000本もいける。来年は200安打だな。メジャーを目指すなら、もっと打たないと、技術を上げないと、という思いでいれば、もっと練習をするようになる。そうやって自分を高く売る結果を残せばいい。スター選手が活躍した方が、プロ野球界が盛り上がる」

翔吾「ありがとうございます。頑張ります!」

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