2日、政府与党は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定しました。
今回の総合経済対策では、「持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済」への変革をするために、以下の取組となっています。

出典:内閣府
その経済対策の施策の一つ(上図:1)として、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するための一時的な措置として「1人4万円の減税」、住民税非課税世帯への「7万円の給付」を行うということです。

出典:NHKより
減税は早ければ24年6月ごろをめどに実施される予定ですが、一年以上も物価高が続いて来年の春ごろは少し遅すぎるのではないでしょうか。
物価高による実質賃金の目減りで家計はひっ迫、また、給与から引かれるものが多く手取りが増えないのも現状。
一般的にサラリーマンが受け取れる給与(手取り額)は、総支給額の「70~80%」といわれています。
40代になると介護保険料が引かれたり、結婚して扶養する家族が増えると税金が安くなったりと、給与から引かれる金額は年齢や家庭状況によって人それぞれ違います。
そこで本記事は、ご自身の手取り額がおおよそいくらになるのか、そして手取りを増やす方法について解説しています。
これから貯蓄・資産運用を行い方には一助にもなりますので最後までお付き合いください。
年収400万円~2,000万円までの手取り額の推移
グラフは、年収400万円から2,000万円までの年収が100万円増えるごとの手取り額の推移となります。
計算にあたっての条件は、
年齢:会社員35歳(独身)
所得控除:給与所得控除・基礎控除・社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)
としています。
※なお40歳以上は介護保険料が追加

グラフ全体の高さが「年収」です。
そこから「税金(所得税・住民税)」「社会保険料」が引かれたものが手取り額(黒色)となります。
年収の伸びに対して、手取り額の伸びは明らかに鈍化していることがわかります。
それはなぜか、
その理由は「所得税」にあることがわかります。
所得税の税率は「累進課税」で、5〜45%の7段階の区分となっており課税所得が高くなると段階的に税率が増えていく仕組みとなっています。
一方、「住民税」や「社会保険料」も所得税ほどではありませんが年収が増えるほど負担する金額が増えているのがわかります。
つまり、住民税や社会保険料ももちろん増えていますが、
とくに「所得税の増え方が顕著」なために手取り額が年収ほどには増えないのが実態です。
手取り額と手取り率
年収と手取り額の間になぜ金額差が出るのか、具体的に数字を使い詳しく見ていきましょう。
下表は、年収400万から2,000万円まで、年収が100万円増えるごとの「手取り額(税金・社会保険料を引いた額)」、そして「手取り率」です。
実際にはほかの所得控除(扶養控除・生命保険料控除など)があるケースがほとんどのため目安としてご参考にしてください。

税金・社会保障教育「 税金・保険料シミュレーション(https://www.mmea.biz/simulation/calculation/) 」より計算
手取り額となる税金・社会保険料の「内訳」を見ると年収が低いときは社会保険料のほうが高いのがわかります。
しかし、年収が増えるたびに税金と社会保険料の差はなくなり年収1,000万円を超えると税金の方が高くなっているのがわかります。
さらに税金を詳しく見ると、年収1,300万円を超えると、年収が100万円増えるたびに所得税が30万円以上も増えているのがわかります。
一方、手取り率も年収が増えれば増えるほど「税金・社会保険料」の負担増となるため当然のことながら手取り率が下がっているのがわかります。
大まかな手取り額を知りたい方は、年齢や家族構成などといった細かな条件を反映させる必要がありますが、一般的に年収の「70~80%」になるといわれています。
手取り額はいくら増える
ここで気になるのが、年収が100万円増えると手取り額は「いくら増えるか」です。
年収400万円が年収500万円になったときは、手取り額は75万円増えています。しかし、その後は年収が増えるにしたがって手取りの額は少なくなっていきます。
年収1,400万円を超えると手取り額は約50万円しか増えていません。残りの半分は「税金・社会保険料」ということです。
つまり、年収が増えれば増えるほど「税金・社会保険料」の負担も増えるため手取り額がそれほど増えないのです。

税金を取り戻し、手取り(お金)を増やす
年収が増えても手取りが増えない、そして近年の物価高、少しでも生活を豊かにするためにも税金を取り戻し手取りを増やすことが必要です。
そこで、その対策を3つに絞ってお伝えします。
1:所得控除の活用
私的年金制度の一つ「iDeCo」。
毎月一定の掛金を支払い自身で商品を選んで運用し、資産を形成することができます。積み立てた掛金は、全額が所得控除の対象となり税金を減らすことができます。
2:支払う税金を非課税
来年から始まる「新しいNISA」。
通常は20.315%の税金がかかる投資の利益が非課税となる税制優遇制度です。手取りの金額が直接増えるわけではないですが税金がかからないぶん効率よく増やせます。
3:給与以外で収入を増やす
現物資産となる「不動産投資」。
投資用不動産を購入し、それを貸すことで家賃収入を得たり、または物件を売ることで売却益を得ることもできます。
また、インフレ対策としても有効です。
モノやサービスの値段が上がると相対的にお金の価値は目減りします。その点、インフレになると「家賃の上昇」や「売却時は高く売れる」ことが期待できる資産となります。
上記は一例です。
ご自身が受けられる控除や資産運用を上手に活用し、お金の不安を解消していきましょう。
まとめ
年収が増えても「税金」「社会保険料」も高くなるため、手取り額も同額に増える分けではないことがお分かり頂けたのではないでしょうか。
とくに所得税は累進課税であり、年収が高い人ほど税率も上がる仕組みのため支払う税金が多くなります。
また、近年の物価高の影響でお金の価値が目減りしていき一向にお金は増えません。
つまり、このまま対策を講じずにお金の置き場所を変えずにいると、多くの税金を支払うことになります。
そうならないためにも、
「税金対策やインフレ対策」として、また「将来の安定した生活を送るため」、自身の資産を守る手段として「資産運用」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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FP習得後、300人以上の人生設計をお手伝い。その経験を活かしてnoteでお金のアレコレを徹底解説中です。ご自身に合った正しいライフプランをオーダーメイドで検討してみませんか?詳しい話を聞いてみたい方は、お気軽にTwitterよりDMをお送りください!
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