「僕は彼女の金ヅルでした」若すぎる女子に“釣られた”男の異常な結婚

「僕は彼女の金ヅルでした」若すぎる女子に“釣られた”男の異常な結婚

  • 女子SPA!
  • 更新日:2021/01/13

ぼくたちの離婚Vol.18 パパはナンパ師 #1】

◆子煩悩のナンパ師

No image

大平正太さん(仮名/30代)とは、週末の昼下がりに筆者自宅の最寄り駅で待ち合わせた。改札に現れた正太さんは、こざっぱりした真面目な営業マンといった風体で、小さな女の子の手を引いている。彼の娘、芽衣ちゃん(仮名/5歳)だ。

「今日は芽衣も僕も楽しみにしてたんですよ。よろしくお願いします! この駅、降りたことないんですけど、なんかいい雰囲気っすね~」

快活で愛想が良く、底抜けに明るい。それが正太さんの第一印象だった。

正太さんのことは、筆者が長年懇意にしている女性編集者に紹介してもらった。彼女が大学時代に所属していた体育会系サークルの同期だそうだ。数年前に離婚の報が同期内で駆け巡った際には、皆が心を痛めたという。当時、芽衣ちゃんがまだ1歳だったからだ。

しかし、目の前の正太さんに悲壮感は微塵も感じられなかった。彼に「稲田さんに、あげるものがあるんだよね?」と促された芽衣ちゃんは、人懐っこい笑顔で「はい!」と紙袋を手渡してくれた。呼びつけたこちらが恐縮してしまうほど高級感のある、箱入りの洋菓子だ。

筆者の自宅に到着すると、正太さんは芽衣ちゃんをヘッドフォンでお気に入りのDVDに集中させた。そのテキパキしたやり取り、優しく丁寧な言葉遣いから、正太さんが子煩悩であることが伝わってくる。実際、紹介してくれた女性編集者も「正太は娘をものすごく可愛がってるんですよ」と言っていた。

しかし取材開始早々、正太さんの言葉に面食らった。

「こないだ銀座でナンパした37歳の女性と、ゆうべ遅くまで六本木で飲んで、そのまま千葉の彼女の自宅に行って泊まったんすよ。今朝は超早起きして僕の実家まで戻り、両親に預けてた芽衣をピックアップして来ました。ははっ(笑)」

◆10代の女の子から「会いたい」のメッセージ

泊まったということは、つまりそういうことだ。聞けば、正太さんは大学時代からナンパが趣味で、結婚期間中と彼女がいる時を除いては、毎週のように街に出るという。正太さんの口から「ワンチャン」「お持ち帰り」「セフレ」という言葉が次々飛び出す。「真面目な風体の子煩悩パパ」とのギャップが激しすぎる。

ただ、正太さんが芽衣ちゃんの母親と出会ったのは、ナンパではない。彼が20代後半の時のこと。

「僕は釣りが趣味だったので、特にアクセス数を集めようとかいう意図もなく、まったりと釣りをテーマにしたブログを書いていました。すると、女の子から個別メッセージが届いたんです。それがナオミ(仮名)でした」

正太さんはブログで顔出しをしていなかった。釣りの話題以外に明かしていたプロフィールは、性別と年齢程度。なのに、なぜかナオミさん(仮名)のほうから「会いたい」と言ってきたという。

◆美人局かもしれないと思ったけれど…

当時のナオミさんの年齢を聞いて驚いた。詳しくは書かないが、なんとまだ10代の学生。ごく一般的に言えば、20代後半の男性が恋愛対象にはしない年齢だ。“年端も行かぬ少女”と言ってもいい。ところが、なんと正太さんはナオミさんに会いに行ってしまう。

「何度目かのやり取りで送ってもらったプリクラ写真が、めっちゃ可愛かったので(笑)。でも信じてほしいんですが、僕、ロリコンではありません。過去に交際した女性も普通の年齢でしたし、むしろ歳上が好みです」

No image

※写真はイメージです(以下同)

それは37歳をナンパしたことからもわかる。しかし、なぜ?

「当時は彼女もいなかったし、ナンパもうまく行っていない時期だったので、つい……。美人局(つつもたせ)かもしれないと多少は警戒しましたが、魔が差したんでしょうね。僕の家から電車を乗り継いで3時間、X県のY町。超さびれた街です」

筆者も聞いたことのある名の町だった。工場労働者が多く住む地域として、メディアに取り上げられたこともある。

「ところが、会ってみたら顔が完全に詐欺で、全然可愛くなかった(笑)。写真をかなり盛ってたんです。めっちゃケバくて、化粧が厚いんですよ。年齢は申告通りでしたが」

一緒にご飯だけ食べて帰ろうと考えていた正太さんだったが、思いのほかナオミさんと仲良くなり、最後には手をつなぐまでになった。しかも、次回会う約束までとりつけてしまう。

「押しに弱いんですよね、僕(笑)」

◆彼女の実家で強引に…

2度目はナオミさんの家に招待された。

「はっきり言って、かなり貧乏な家でした。小さな一軒家でしたが、とにかく粗末で、築年数も半端ない。生活レベルは部屋を見て大体察しました。典型的な貧困家庭という感じです。ナオミの家だけでなく、Y町のこの地区全体が貧しいんですよ。近所のシャッター商店街には、昼間から座り込んで缶チューハイを飲んでる人が何人もいました」

ここは、そういう地域なのだ。メディアで取り上げられた時にも、たしかにそういう切り口だったと筆者も記憶している。

「ナオミは四姉妹の末娘。なんとかの子沢山というやつです。上の姉ふたりは10代で結婚して既に家を出ていたので、ナオミの両親と、3番目の姉と、ナオミの4人暮らし。僕が行った日には、近所に住んでいる上の姉2人も来てくれて、7人で夕飯を囲みました」

食べ終わって正太さんが帰ろうとすると、今日は泊まっていったらと家族ぐるみで引き止められた。娘よりうんと歳上で初対面の“(この時点では)男友達”を泊めようとする親も親だが、正太さんは断りきれず、泊まることにする。その夜のこと。

「ナオミの部屋で布団を2つ並べて彼女と寝ていたんですが、突然ナオミが僕にキスしてきました。そして体を求めてきたんです」

◆「私は年の差なんて気にしない」

正太さんは徹底的に拒んだ。相手はまだ10代。しかも廊下を挟んだ部屋には両親や3番目の姉も寝ている。

「ナオミは“法に触れる年齢”ではありませんでしたが、さすがに気が引けたので『僕が警察に捕まるから、絶対にダメだ』みたいな言い方をして拒絶しました。するとポロポロ泣き始めるんです。私は年の差なんて気にしないと。どれだけ言っても引いてくれません。結局、僕が折れてしまい……。もちろんゴムは使いましたが……」

No image

幸か不幸か、ナンパが趣味の正太さんは、いつ「ワンチャン」があってもいいように、常にコンドームを持ち歩いていたのだ。

「それから遠距離交際がはじまりました。月に1度か2度、片道3時間かけて彼女の住む街に行き、家に泊まってセックス。ロリコンの噂が立たないかどうか、常に震えてましたよ。ははは(笑)」

正太さんは、なぜか明るく話し続けた。

◆家族でカネの貸し借り

「付き合ったはいいんですけど、ナオミとは最初から性格が合いませんでした。気分のアップダウンが激しくて、ガンガン詰めてくるかと思えば、ものすごいわがままを言って泣きじゃくる。だけど彼女のほうがずっと歳下だったので、僕はずっと我慢していました」

ふたりの間にはケンカが絶えなかった。原因の大半はカネだ。

「ナオミはカネ遣いがめちゃくちゃ荒いんです。僕は毎月1~2万円くらい貸していましたが、全然返してくれない。それで僕が返してくれと言っては、揉める。その繰り返しでした。ナオミは交際中にとある事情で学校を辞め、ファストフード店と居酒屋を掛け持ちしてバイトしていましたが、バイト代を何に使っていたのか、さっぱりわかりません。ちなみに実家には1円も入れてませんでした」

その家というのが、また異常だった。

「ナオミの家族は、家族同士でカネの貸し借りをしていました。父親はろくに働かない酒浸りで、家族に暴力を働くクソ野郎。ナオミもよく殴られていたそうです。母親も暴力を受けていたそうですが、依存心が強くて夫から離れられない。家はローンを組んで買ったものだそうですが、たまにガスが止まるほどの貧乏でした。毎月のローンが払えず、僕がその一部を払ったことも何度かあります」

ちなみに、当時の正太さんは一人暮らし、毎月の給料手取りは20万円。月1~2度の往復交通費に加えて月1~2万円をナオミさんに渡し、ローンの肩代わりまでしていては、当然家計がもたない。そのため正太さんは、週末を使って引っ越し手伝いなどのダブルワークをはじめた。

◆「貧乏って、そういうことなんですよ」

それにしても、不可解だ。正太さんはナオミさんとは性格が合わず、結婚もしていないのに彼女の実家に金銭的援助までしている。弱みを握られているわけでもなし、一方的に連絡を断てばそれで関係は切れるのに、なぜそうしなかったのか?

「うーん、なんでしょうね。僕、押しに弱いんですよね(笑)」

正体さんの口からまたも出た、“押しに弱い”という言葉。

「家族はともかく、ナオミがカネ目当てで僕と付き合っていることは、早い段階でわかりました。歳上で普通に働いていて、定収入のある男だったら、誰でもよかったんでしょう。ナオミは釣りなんてもちろん興味ないですし。それこそ釣り糸をたくさん垂らして、最初に引っかかったのが僕だったんだと思います。ははは(笑)」

No image

ひとしきり笑ったあと、正太さんは表情を戻し、向き直って言った。

「そうでもしないことには、あの家から逃げ出せないと踏んだんでしょうね。あのスラム街みたいな近所と、荒れ放題の家の中を見て、よくわかりました。貧乏ってそういうことなんですよ。ナオミは、早々と結婚して家を出たふたりの姉みたいに、早くここから逃げ出さなければと焦っていました。

ナオミにとって僕は金ヅルでしたけど、自分を家から出してくれる切り札でしたし、おそらく父親代わりでもありました。娘を殴る父親なんてね、ほんと……ありえないですよ。ナオミの性格は最悪でしたけど、それだって家庭環境のせい。貧乏ってね、そういうことなんですよ」

「貧乏ってそういうこと」と2度も重ねる正太さん。そこで思い出した。正太さんを紹介してくれた女性編集者の言葉を。

「正太、大学2年の時にお父さんがリストラされて、大学の授業料が払えないから大学辞めなきゃいけないかもって言ってきたんです。当時はサークル同期の間で大騒ぎになりました」

しかし取材中、このことは正太さんの口から一切語られなかった。

◆子供が欲しくなった

芽衣ちゃんが「パパー」と正太さんを呼ぶ。トイレに行きたいようだ。正太さんが「ちょっとすみません」と話を中断し、手を引いて連れて行った。パパと手をつないで嬉しくなったのか、機嫌よく小躍りする芽衣ちゃん。戻ってきた正太さんは言った。

「女の子なんでね、何か悪さした時、どこまで強く叱っていいかわからないんですよ。僕、ほっとくと言い過ぎちゃうんで。反省してます」

しかし正太さんが芽衣ちゃんを厳しく叱りつけている場面を、まったく想像できなかった。それほどまでに芽衣ちゃんは正太さんに心を許し、懐いている。

その芽衣ちゃんの命がナオミさんのお腹に宿ったのは、今から6年前のことだ。

「ナオミは最初からずっと、子供が欲しい、欲しいと言っていました。子供を作れば結婚できる。結婚すれば家を出られるからです。ただ、僕はずっと拒んでいて、避妊は絶対に怠りませんでした。ナオミが母親になるにはさすがに若すぎましたし、関係もうまくいっているとは言えない。だけど、しばらくしたら僕も子供が欲しくなっちゃったんですよ」

その時点でも、まだナオミさんは10代の“少女”だった。

<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>

※続く#2は、1月16日に配信予定。

【稲田豊史】

編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。

【WEB】inadatoyoshi.com

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加