コロナ禍でますます恋愛格差が広がる?マッチングアプリ調査から見えた未婚化の原因と解決策

コロナ禍でますます恋愛格差が広がる?マッチングアプリ調査から見えた未婚化の原因と解決策

  • MONEY PLUS | くらしの経済メディア
  • 更新日:2021/05/02

2020年は新型コロナウイルスによる経済不安の影響からか、1月から10月までの妊娠届の件数が前年同期と比べて5.1%が減少しました。婚姻件数も前年に比べて減少しています。この傾向は2021年も続くかもしれません。

なぜ未婚化・少子化に歯止めがかからないのでしょうか。マッチングアプリでどのくらいの人が結婚に至るのでしょうか。国内最大級の恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」などを展開する株式会社エウレカは2020年11月、「Pairs少子化・未婚化白書」を発表しました。この白書の内容と、オンラインセミナーでの議論を紹介します。

「適当な相手にめぐり会わない」

内閣府が発表した「令和元年度 少子化社会対策白書」では、「いずれ結婚するつもり」と回答した未婚の18歳~34歳の男女は男性85.7%、女性89.3%にも及びました。一方、25歳~34歳の未婚者に結婚していない理由を問うと、男女ともに「適当な相手にめぐり会わない」(男性:45.3%、女性:51.2%)が最も多いという結果でした。

結婚相談所やマッチングアプリのように、「適当な相手とめぐり合うための出会いの創出」が、未婚化・晩婚化の解消のための重要だと考えられます。相談所に足を運ぶことが難しいコロナ禍では、ますますマッチングアプリの存在感は大きくなっていくでしょう。

同社の調べによると、2016年には恋活・婚活マッチングアプリの利用者は40人に1人だったものの、2020年には20人に1人と倍増しました(※)。

※ Match Group 自社調査 (2016、2020) 18−59才の男女 2016年11,576人 / 2020年15,729人

同社代表取締役CEOの石橋準也さんは、「過去1年以内に結婚した」と答えた調査対象者のうち約4%の人が「Pairsで結婚相手を見つけた」と回答した(※)と話します。もはやマッチングアプリで出会って結婚することは、マイノリティでも恥ずかしいことでもない時代に突入したようです。

※エウレカ自社調べ。調査対象者 18~59歳の既婚男女10,919名の回答から集計 実査期間:2020年9月7日~9日

「結婚しても大丈夫なのか」という不安

「Pairs少子化・未婚化白書」では、日本における未婚化と恋愛離れの実態把握、要因の考察により、恋愛・結婚しやすい環境を作り出すためのヒントを探っています。

オンラインセミナーで、中央大学文学部山田昌弘教授は、「日本人にはリスクを避けたい意識が強くあり、結婚に少しでも不安があるとためらう傾向」を分析しています。

山田教授は、「昭和時代に主流だった職場結婚は、互いの学歴や職業、性格、収入まで事前に分かっていたから安心して交際でき、結婚に至ることができた。現代では、職場や地域での結婚が減少したのに、偶然の出会いはハードルが高い」と話しました。

その理由は、相手の情報を知らない状況で交際を始めるのは、リスクが伴うと考える日本人が多いから。リスクが少ない相手とコストをかけずに出会う機会が減少していることが、非婚化に大きく影響していると解説しました。

また、若い男性の雇用化が不安定化したのに、女性には「男性が家計を支える」という考えが根強くあるとも指摘。さまざまな点で「結婚して大丈夫なのか」という不安が婚姻率を低下させていることを分析します。

若者に“見栄”が足りない

オンラインセミナーでは、石橋さん、山田教授に加えてジャーナリストの治部れんげさん、マーケティングアナリスト・若者研究家の原田曜平さんをゲストに迎えてトークセッションが行われました。治部さんは、現代の若者全体におけるコンプライアンス意識や真面目な考え方の高まりから、相手から少しでも「NO」があれば追いかけることが少ない点を指摘。若者は出会いの場を設定されることで、相手を好きになってもいい、追い求めてもいいと安心できるようです。

原田さんは“見栄”の存在を挙げます。恋愛や結婚は消費と同じように、活発化するにはある種の“見栄”が動機として必要なんだとか。

「他人への見栄や世間体を気にすることで消費欲が刺激されていましたが、ここ30年くらいでそれがすっかりなくなりました。近年はインスタ映えなどで少しずつ“見栄”に対する欲は回復していますが、結婚という場にも新しい動機を作っていく必要があると思います」(原田さん)

さらに、「決断がない男性が多いから悪い」と考える女性が多いことも指摘。「恋愛や結婚の最終決断を男性がするという共通認識が問題。男女は対等であるべき」と語りました。これに対し、山田教授は「女性が積極的になったほうが成婚率は高いというデータもあるので、『決断力がない男性が多いからみんな結婚できない』とは言い切れない」と話しました。

コロナ禍で恋愛格差が広がる?

新型コロナウイルスの感染拡大によって、リアルで人と出会えなくなっています。お互いをこれから知っていこうとする恋活や婚活にこのコロナ禍が大きな影響を及ぼしています。

原田さんはこうした状況に「恋愛強者だけがコロナを気にせずに人と会って恋愛をし、一般的な男女はオンライン婚活も活用できず、『そこまでして出会いたいと思われたくない』という自意識も働いてしまっている」と解説しました。

自宅にいながら異性と出会えるオンライン婚活は、コロナ禍が長引く中で活発化しています。しかし治部さんによると、婚活に限らずオンラインは自分の考えを上手に言語化できる人だけが活躍でき、発言が苦手な人にはかなりハードルが高いそうです。

「オンラインだとしても、いろいろな人が前に出ていける機会があればいいと思います。また、参加するための言い訳や口実も必要ですよね。マッチングアプリのように趣味や専門性の高い仕事など、コミュニティがたくさんあると参加しやすいし、価値観が近い人と出会えるのではないでしょうか」(治部)。

国の「産めよ、増やせよ」だけでは効果はない

最後のトークテーマは「政府のデジタル改革が未婚化対策に与える影響」について。政府の未婚化・少子化対策にはまだ改善の余地があります。

治部さんはこの点について、経済的不安とジェンダー規範を指摘しました。「現代は男性一人が家計を支えるのは無理。とにかく政府には経済対策を求めます。若者の意識だとかは関係ない。男性が稼ぎ、女性が家庭を受け入れるという固定観念を捨てるように啓蒙し、教育や企業広告などで発信すべき」と訴えました。

ジェンダー規範をぶっ壊せ

山田教授も「正社員男性とパート主婦を当たり前にするのではなく、さまざまなパターンを支援してほしい」と、多様な家族の在り方を認め、支援する仕組みを訴えます。

治部さんも「若くて元気なお母さんが常に家にいることを前提とした制度があると、多様な家族は生まれない。少子化対策より本質的に大事なのは個の尊重。個人が生きたいように生きられる安心感を国が担保しなければ」と求めました。

ネットには、結婚した後に家事育児の負担から、不仲になる夫婦の情報が溢れています。こうした情報に触れ、結婚に消極的になる人も少なくないでしょう。

男性が家族を一生養う時代は終わり

ジェンダー問題に詳しい治部さんにこの点を聞くと、男女ともに意識改革が必要だと語りました。

「男性が家事育児を一切やりたくないならいっぱい稼ぐべき。自分の遺伝子を持った子どもを産ませ、家事育児も担ってもらうのは安いものではありません。一方で女性も、父親世代のように、男性が一生家族を養うのは難しいことを自覚すべき。『大丈夫。いざとなったら私が稼ぐから」と言えるくらい好きな相手と結婚することが大事」

新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、リアルな出会いが減少し、未婚化や少子化はますます進みそうです。マッチングアプリや結婚相談所などでの能動的な出会いにも、結婚に前向きになれるようなさらなる工夫が必要でしょう。

同時に政府も安直な少子化対策ではなく、ジェンダー規範の見直しや個の尊重などを進める政策も必要です。今回のオンラインセミナーでは、今の日本が抱えている未婚化や少子化の複合的な問題が浮き彫りになり、そして新たな解決策の方向性が垣間見えた気がしました。

(秋山悠紀)

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