全長100mの「渋谷横丁」も圧巻...「宮下パーク」は“まったく新しい商業施設”だ

全長100mの「渋谷横丁」も圧巻...「宮下パーク」は“まったく新しい商業施設”だ

  • Business Journal
  • 更新日:2020/10/26
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RAYARD MIYASHITA PARK

ショッピングセンターは新型コロナウイルス感染拡大により大打撃を受けている。消費者の意識や行動が変容するなかで、リアル空間として今後どのような役割を果たしていくか問われている。そのうえ、郊外には施設が乱立し、集客をめぐる競争はますます激しくなり、淘汰されるところも目立ち始めた。

国内のショッピングセンター数は2019年末時点で3209に上り(日本ショッピングセンター協会調べ)、飽和状態といわれており、ここ5年間だけでも289カ所増えた。施設間の競争はより厳しさを増しており、地方都市の中心部では百貨店の撤退が相次ぎ8月「そごう徳島店」「中合福島店」も閉店した。

そうした状況のなかで、大都市の都心立地で成長を担保しようとする狙いで、新たなブランドを立ち上げる動きが活発化している。東京・渋谷区と三井不動産が進めてきた整備事業で、宮下公園が公園と商業施設、ホテルが一体となった立体都市公園として生まれ変わった。7月28日開業した「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤードミヤシタパーク」は、渋谷駅周辺エリアをつなぐ全長約330mの低層複合施設だ。

三井不動産の公園一体型の商業施設「レイヤード」ブランドの1号店。年齢や性別問わず誰もが訪れ、楽しむことができるパブリックスペースである公園と、商業施設を一体化して運営を行うことで、新しい価値と体験を訪れる人に提供する。

施設面積は約2万3864平方メートル。物販・サービス44店舗、飲食・食物販28店舗、合計72店舗で構成され、街の賑わいだけでなく公園の緑を感じられる開放的な歩行空間、施設全体を覆う緑の天蓋も設けた。

特徴的なのが全長100メートル、約1000 平方メートルのフロアに飲食店19店が集積する「渋谷横丁」。東京・恵比寿のシャッター商店街を再生させた「恵比寿横丁」などを手がけた浜倉的商店製作所の浜倉好宣代表がプロデュースし、24時間営業で、路面店が軒を並べる路地の雰囲気を醸し出しながら、賑わい性を演出している。

北は北海道から南は九州・沖縄まで地域のソウルフードなどを提供する地方特化飲食店をはじめ、全国のご当地ママが営むカラオケスナック、元力士がつくる力士めしが楽しめる店も誘致した、独特なリーシング。

コロナ禍にもかかわらず、早くも渋谷の新たな人気スポットとなり、若者を中心に多くの人が訪れており、屋上の公園スペースも連日くつろぎの場として利用されて多くの人が訪れている。

物販は、世界初の「LOUIS VUITTON(ルイヴィトン)」のメンズ フラッグシップストアやロニー・ファイグ氏が手がけるアパレル「KITH」初のインターナショナル旗艦店となる「東京ストア」が出店。2009年にカナダでスタートしたプレミアムアウターブランド「MOOSE KNUCKLES(ムースナックルズ)」とニューヨークで生まれたニューヨークスタイルのラーメン店「KUROOBI(黒帯)」は、日本初上陸店舗。

トップパティシエ高木康政氏による全面監修のもと、素材や製法にこだわった「プレミアム キットカッ ト」を提供する「キットカット ショコラトリー」は1号店。スターバックス も、ファッションデザイナーでミュージシャンの藤原ヒロシ氏が監修した、海外のガソリンスタンドを店舗デザインのコンセプトにした、まったく新しいスタイルの店舗を出店している。

こうした新業態を投入することで目新しさをアピールしながら、演歌アーティストやDJのパフォーマンス、スポーツなどさまざまなイベントも開催し、エンターテイメント性を高めて、シブヤの新たな“たまり場”を目指そうとしている。

「RAYARD Hisaya-odori Park」

9月18日には名古屋の久屋大通公園に2号店となる「RAYARD Hisaya-odori Park」がオープンした。広々とした芝生広場で空や緑を感じながらくつろぎの時間を過ごしたり、グルメやファッション、スポーツなど多彩なジャンルが揃った店舗で食事や買物を楽しんだりすることができる空間に仕上げた。

また、公園をより楽しめるイベントやアクティビティの提供や積極的な情報発信により、さまざまなコミュニティをつなぐ役割を担うと同時に、自然環境が有する多様な機能を活用し、地域の魅力・居住環境を向上させる公園を目指そうとしている。

テナントゾーンは限定グルメから体験アクティビティまで35店舗で構成され、名古屋初出店22、新業態5店とここでも目新しさを打ち出し、公園内の芝生でゆったりくつろぎながら飲食を楽しめるよう、多くの店舗でテイクアウトメニューを用意している。

今後、大都市における公園の再開発で、三井不動産のレイヤードブランドの活用が各地で見られそうだ。

「エムズクロス」

一方、三菱地所は、新しい都心型商業施設ブランド「エムズクロス」の展開をスタート。9月1日、東京・渋谷に1号店を設けた。「エムズクロス神宮前」は、東京メトロ「表参道」駅から徒歩 1 分、延床面積約410平方メートル、地上2階建ての小型施設。1 階には、豊富な生地・デザイン・価格からスーツを仕立てるオーダーメイドスーツ専門店「GINZA グローバルスタイル・コンフォート表参道店」を誘致した。

創業90年を超える老舗生地問屋の仕入れネットワーク網を生かして、業界最多の5000種類以上の生地と10型以上のモデルを展開し、リーズナブルな価格からオーダースーツを販売する。

2階には女性専門のクリニック「ピンクリボンブレストケアクリニック表参道」が入居、夜間・土日も診療、オンライン診療も導入し全員女性スタッフで、乳腺科・婦人科診療と検診を行う。

「エムズクロス」には“街が発展する動機(Motivation)や活動(Movement)を生み、多様な交流(Cross)が行われる場にしたい”という思いを込めており、今後、首都圏を中心に、立地特性や時代のニーズを柔軟に取り入れ、新たな交流・価値創造を提供していく。

すでに都内に複数の用地を取得しており、都心エリアを中心に積極的 に開発を進めていく予定で、立地に合わせたテナントリーシングによる施設づくりが行われていくものと考えられる。

三井不動産は「ららぽーと」ブランドを全国に16カ所、三菱地所も「MARK IS(マークイズ)」を横浜、静岡、福岡に展開し、広域型商業施設に力を入れてきたが、今回、相次いで都心立地の小型タイプを開発、立地を創造し、ブランドの多様化、事業領域の拡大を図ろうとしている。

地方の中心都市と大都市という構図のなかでは、商業施設はこれからますます大都市の比重が高まり、立地に応じて今回のように多様な施設が展開されていくと思われる。新型コロナにより、地方都市が見直されるなかで、地方の都市部において新たな立地創造とバリューを提供できる商業施設の開発も必要とされている。

そこでは「共生」「共感」「共創」「共同」といったキーワードによる新たなスキームでの施設づくりが求められるようになるだろう。

(文=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー)

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