昆布茶市場は飲用需要の停滞を料理用途がカバー

昆布茶市場は飲用需要の停滞を料理用途がカバー

  • 日本食糧新聞電子版
  • 更新日:2020/10/18

日本独自の嗜好(しこう)品であり、屈指の伝統産業でもある昆布茶市場が需要期を迎えている。「最古のインスタント飲料」として古くから親しまれている同市場だが、近年では料理向け需要の拡大に伴い、消費構造が大きく変化。安定市場として金額ベースでは長く50億円前後の規模を維持しているが、飲用需要の停滞を料理用途がカバーする構図が続いている。

新型コロナ影響で家庭用は伸長も業務用が大幅減

2020年は、新型コロナの影響で家庭用分野では飲用・料理用ともに増加したものの、外食など業務用分野が大きく減少。ただ、今秋冬はアレンジ性を生かした新提案の兆しや、競合の垣根を越えた協働戦略など新たな動きも見られ、需要喚起と裾野拡大に期待が寄せられる。

昆布茶市場はここ十数年、50億円強の規模で安定推移し、2019年も微増となる51億6500万円(日本食糧新聞推定)で着地したもよう。料理向けの大容量が依然増加する構図は変わらないが、飲用向けでも夏場に強い減塩タイプやフレーバータイプなどが好評を得た。これらは飲用需要の活性化の側面で重要であり、通年需要化への鍵を握る。

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家庭用分野では飲用・料理用ともに増加

2020年は上期、新型コロナの影響で家庭用はある程度増加した。一方で業務用は、外食産業の打撃を背景に大きく減少。主流の顆粒(かりゅう)タイプは家庭用・業務用トータルで前年比2割前後の落ち込みとみられ、特に首都圏・観光地では業務用の落ち込み幅が大きい。なお、家庭用での料理用途・飲用需要は総じて好調で、レシピ提案が今秋は加速しそうだ。

原料環境は、2020年、さらに深刻さを増しそうだ。北海道産昆布は長年の生産減で厳しい局面が続き、取引価格も上昇。副資材や流通コスト、加工費・人件費などコストバランスは臨界点に近く、安定供給や新商品上市への影響が危惧される。価格適正化(値上げ)や特に飲用向けでの付加価値訴求はもはや不可欠かつ“待ったなし”の状況で、需要喚起と両立できる活性化策が望まれる。

飲用は夏場のアイス昆布茶提案も

飲用需要は昆布茶本来の消費用途と位置付けられるが、近年は減少傾向が続いている。コーヒーやミルクティーなどプレミックスタイプ飲料の定着に加え、かつての“振る舞い昆布茶”に代表される嗜好飲料としての喫食回数の減少などが主要因で、今世紀から特に顕著化している。

2019年も消費量構成率は45%(容量ベース・日本食糧新聞推定)と依然半数を切るが、昆布茶全体の市場活性化には再興は不可欠となる。2020年は家庭用が新型コロナの影響で魅力が見直され、秋冬での定着に期待したい。

この中で、参入各社ではアイス昆布茶による通年需要の喚起や健康訴求での裾野拡大に取り組んでいる。

熱中症対策を含めた夏場でのアイス昆布茶(梅昆布茶)提案は、近年着実に認知度を拡大し、特に減塩タイプで新需要を獲得した。最大手・玉露園食品を軸にミネラル補給などの健康的価値が徐々に注目され、スポーツドリンクとしての需要喚起が期待される。来年開催予定の東京2020大会を前にスポーツ志向が高まることも予想され、後押ししそうだ。

昆布由来の健康価値にも注目したい。うまみ成分による口中のドライマウス対策や、脳活性・味覚正常化によるダイエット効果などはその筆頭株で、一定の潜在需要を発掘できると思われる。また、好調に動く日東食品工業の食物繊維入りシリーズは、新たな付加価値提案の可能性を示しているといえるだろう。

料理用は「隠し味」から「味付けの主役」へ

昆布茶の料理用途は優れたうまみや水溶性を生かし、鍋料理やパスタなど多彩な料理で「隠し味」や「だし」として特性を発揮するもので、外食分野でも調味料使いが定着している。近年では飲用向けの低迷をカバーする主軸分野に成長しており、消費量ベースで全体をけん引。一方、2020年上期は外食産業の不振の影響を受け、業務用が大きく減少し、家庭用と明暗を分けた。

料理用途は1980年代からカラオケ店やスナックなど簡便性が求められる分野で使用されていたが、1990年代後半から外食全般に拡大。家庭内でも普及し始めたのは2003年ごろからで、その後、レシピブームや口コミなどを背景に広がりを見せている。

日本食糧新聞調べで料理向け消費は数量ベースで2009年に飲用を上回り、2019年も55%の構成比(いずれも日本食糧新聞推定)。特に2015年からはこれまでの「隠し味」や「だし」に加え、“味付けの主役”としての提案が主流になりつつある。

この中で、今秋冬は、不二食品と日東食品工業のコラボ企画がトピックだ。大阪・広島を代表する昆布茶メーカーのレシピキャンペーンで反響は必至。家庭用での底上げに貢献すると思われ、競合の垣根を越えた活性化策として注目だ。

スナック菓子や米菓で反響

加工食品の味付け(日本食糧新聞では昆布茶の「加工用」と定義、一部惣菜向けも含める)としての昆布茶需要は、優れた味覚やうまみをベースに、特にスナック菓子や米菓などで反響を得ている。

菓子向けではポップコーンや米菓、ポテトチップスなどで「昆布茶味(梅昆布茶味)」が定期的に商品化。指名買いのファンも多く、小売からの支持も高い。有力ブランドの期間限定品に採用されることが多く、話題喚起や若者層など裾野拡大にも機能している。

消費層の掘り起こしに重要な機能を果たしている加工用だが、2020年も引き続き一定の規模を確保。惣菜・弁当分野でも昆布茶を調味料として活用する場面が多く、最終市場のレベルアップに一役買っている。

輸出用は潜在需要十分もインバウンド消滅

昆布茶の輸出需要は、「UMAMI(ウマミ)」の国際的な認知度向上を背景に十分な潜在需要を秘める。

昆布が豊富に含有するうま味は、“第6の味覚”として、欧米を中心に活用が進行。一方でこれを後押しする重要なファクターであるインバウンド需要は、2020年上期、新型コロナの影響で大激減を強いられている。

輸出需要は欧米・アジアなどで堅調なものの、定着には至っていない。海外で“KOMBUCHA”は紅茶キノコを意味し、本来から大きく乖離(かいり)したイメージが定着していることも大きい。

2019年、これを払しょくするものとして期待されていたインバウンド需要は東京2020大会などで注目されていたものの、2020年上期現在でほぼ消滅。それだけに現在から活性化策の検討を重ねることが重要であり、長期的な視点での取組みにかじ取りを移す必要があるだろう。

※日本食糧新聞の2020年10月8日号の「昆布茶特集」から一部抜粋しました。

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