京極夏彦おすすめ小説ランキングトップ6!厚過ぎる!!

京極夏彦おすすめ小説ランキングトップ6!厚過ぎる!!

  • ホンシェルジュ
  • 更新日:2021/11/25
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妖怪研究家としても知られる京極夏彦の小説はその分厚さが特徴です。ボリュームのある彼の小説のおもしろさとはなんでしょうか。彼の小説のおすすめ6作品をランキング形式でご紹介します。

妖怪小説のスター作家・京極夏彦

京極夏彦は、デビュー作の『姑獲鳥の夏』を1994年に講談社ノベルスに持ち込んだことがきっかけで編集者の目にとまり、デビューを果たしました。

余談ですが、この持ち込みがきっかけで森博嗣や西尾維新を排出したメフィスト賞が誕生したのは有名な話です。現在では枚数の制限がされたようですが、当初は枚数の規定がなく、どんな大作でも受付けてくれるこの賞の下地を作った『姑獲鳥の夏』は、やはり結構な厚みがあります。

しかし、その厚さを感じさせない該博な知識と魅力的なキャラクターに彩られた数々の作品は、漫画化、アニメ化、映画化と広くメディア化されています。

デビュー後は、1995年に百鬼夜行シリーズの『鉄鼠の檻』で山本周五郎賞を受賞したのを皮切りに、1996年は『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。1997年には『嗤う伊右衛門』で泉鏡花賞、そして2003年には『巷説百物語シリーズ』の『後巷説百物語』で直木賞を受賞という、破竹の勢いで賞をとり続けています。

また、アートディレクターであった京極夏彦は読みやすさにこだわりを持ち、自らDTPソフトでレイアウトをこなしてから入稿するという徹底ぶりだそう。ページをまたいだ文がないように気をつけているそうで、半信半疑で手持ちの本を確認してみれば本当にその通りでした。千ページにもわたる大作でもきっちりルールを遵守されていて、脱帽の一言、プロ意識の高い作家です。

6位:妖怪ファンは思わずニヤリ。よく似た名前でもフィクションです 『嘘実妖怪百物語』

妖怪専門誌である『怪』編集部のアルバイト、榎木津平太郎は、編集長のお供で妖怪愛好家世界の御大、水木しげるの元へと赴いた。それが全ての始まりであった――。

現実世界の妖怪好き達が実名で登場し、百キロ婆、しょうけら、朧車など古今の妖怪が入り乱れて物語を織りなしていく現代版京極ワールド。おなじみの妖怪、民俗学蘊蓄はもちろん、京極夏彦が親しんできたとおぼしき小説や漫画、映画も実名で紹介されています。妖怪だけでなく、京極夏彦を知るためにも大変興味深い小説です。

虚実妖怪百物語 序 (怪BOOKS)著者京極 夏彦 出版日2016-10-22

この物語はフィクションだと思います、という序文に首をひねり、本文を読んでみれば、納得します。なにせ、荒俣宏やら水木しげるやら、帝都物語やら実在の人物や作品が実名でバンバン登場してきます。関係各所には大丈夫なんだろうかと余計な心配もしてしまいますが、驚くのはこれだけではありません。さらには荒俣宏の執筆した小説『帝都物語』の加藤保憲が復活するという、大胆すぎるクロスオーバーは、2005年に公開された映画『妖怪大戦争』を思いだした方も多いでしょう。帯に「京極版“妖怪大戦争”」と記されているのは伊達ではありません。

また、京極ファンにはおなじみの百鬼夜行シリーズの榎木津の名を持つ青年が主役という、従来の読者にとっても嬉しい驚きが用意されています。また数々の妖怪がモチーフではなく実際に登場する今作は、正統派な妖怪小説として、純粋な妖怪ファンにもお楽しみいただけると思います。

また、京極夏彦の周辺の人物も次々登場してきますので、作者のファンにもオススメ。彼の日常生活が垣間見られるような大変メタな作品でもあります。

現代で妖怪好きがどのような活動をしているか、彼らの日々を知り、まさに虚の妖怪と現実の人間達が混じり合った不思議な世界観に、自分もふと飲み込まれてしまうような読後感が得られます。

5位:かわいい小僧の珍道中!その先にあるものとは…?

豆腐小僧とは江戸時代から語り継がれる盆に載せた豆腐を手に持つ妖怪です。お人好しで気弱なキャラクターとして描かれてきました。ところで、豆腐を手に持っていることがアイデンティティの豆腐小僧は、豆腐がなくなるとただの小僧になってしまうのでしょうか?それとも消えてしまうのでしょうか?

本作はそんな豆腐小僧が、「消えたくない」という強い思いを胸に、豆腐を落とさないように気をつけながら、珍道中をはじめる物語です。

文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし (角川文庫)著者京極 夏彦 出版日2010-10-23

シリーズ第一弾の『豆腐小僧双六道中ふりだし』は472ページ(角川文庫版)と少々ボリュームがありますが、豆腐小僧の絶妙なボケにくすりと笑いながら、妖怪解説本を読むような気分で妖怪に対する見識を深めながら読み進められる作品。

豆腐小僧というキャラクターを通して、人間と妖怪の共存する様を面白おかしく紡ぎ出すその過程には、感服せざるを得ないです。著者の他のシリーズの中に登場する妖怪についての解説も興味深く、妖怪に対する興味と愛着が沸いてきます。

そしてなんといっても豆腐小僧が可愛いのです。

4位:人が生きる意味とは?人間であることを考えさせられる究極のミステリー

なんとも怖いタイトルですね。とある女性の死に関して、その女性の知り合いだという男が女性の関係者に話を聞いていくという本作。それぞれの話につながりはあり、466ページ(講談社文庫版)とそれなりにボリュームがありますが、登場人物ごとに短編を読むように楽しめる作品です。

文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)著者京極 夏彦 出版日2012-11-15

彼女は何故死んだのか?関係者の話を通し、ページを進めると意外な事実が分かって来ます。彼女の話を聞いてまわる「健也」は言葉遣いも悪く、仕事も長続きしない態度の悪い男です。自分でもそれを認めていて、自分を馬鹿でクズと言って憚らないのですが、そんな彼が自分の不遇を嘆くばかりの関係者に対して発する言葉は「死ねばいいのに」。この言葉がキーワードとなり事件の真相が少しずつ分かっていきます。

正直者はいつもバカをみる。生きにくい世の中。現代において 善とは何か。悪とは何か。物語を通し作者自身が問いかけてくる本作、考えさせられます。

3位:新しい視点で描かれたお馴染み怪談物語

古典の怪談を、登場人物などの要素や筋立てを利用し、全く別の作品としてアレンジしたシリーズです。

シリーズ第一作は『嗤う伊右衛門』(374ページ/角川文庫)。夏の怪談話の代名詞である四代目鶴屋南北の東海道四谷怪談をベースに哀しくも美しいな愛情物語として蘇らせています。

妻を裏切った悪人・伊右衛門が、実は非常な妻想いの人であり、か弱く恨みに凝り固まった妻の岩も、実は聡明で愛情深い人で……。

自分を殺した亭主を恨んだ妻が、復讐をするといった内容の有名な怪談話から、夫婦間の愛情溢れる物語へと変貌を遂げています。

嗤う伊右衛門 (角川文庫)著者京極 夏彦 出版日

第二作目は山東京伝の復讐奇談安積沼をベースに描かれた作品『覘き小平次』(414ページ/角川文庫)です。

押入れ棚に引きこもり、わずかの隙間から世間を覗く、売れない幽霊のような役者、小平次と彼を取り巻く人々を描いています。

小平次を軸に繋がっていく彼らの憤りと虚無感を京極夏彦の独特の視点で描いた物語を読み進めると、いつの間にか自分がストーリーの中に入って、木陰や扉の隙間から、誰かを覘いているような、そんな感覚にさせられます。

亡霊であるお菊さんが井戸で皿を数える、あの怪談話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?シリーズ第三作品目の『数えずの井戸』は731ページ(角川文庫版)にも及ぶ超大作です。岡本綺堂の番町皿屋敷を下敷きに、普段人が決して表に出さないけれど共通して抱えている心の闇を描いています。

このように誰もがなんとなく聞いたことのある怪談話が京極夏彦独自の視点でリメイクされており、どこでどんなアレンジがあるのかドキドキさせられる作品が揃っています。

2位:心の闇は妖怪のせい!?

時代は江戸末期、“あちらが立てばこちらが立たぬ”といった困難な問題を金で請負い、妖怪に見立て解決していく小悪党たちの活躍を描いたシリーズです。詐欺師「又市」をはじめ、個性豊かな小悪党が登場します。

角川文庫より出版されている第一弾の『巷説百物語』の収録作品は「小豆洗い」「白蔵主」「舞首」などの七作品からなり、ページ数は518ページと分厚めです。しかし短編一作あたりは70ページ前後と読みやすいため、京極作品は分厚くて読みにくいとお考えの方にもおすすめしたい一冊です。

巷説百物語 (角川文庫)著者京極 夏彦 出版日

本文庫の収録作品の一つ、「小豆洗い」では、川の近くの小屋に閉じ込められた4人と、怪しげな商人や顔色の悪い僧が登場します。

雨の晩、百物語が語られ、その怪談を聞いた僧は小屋を飛び出し、足を滑らせ川に落ち命を落とします。この怪談に隠された意味とは……。

どの作品でも語られる妖怪話が人間の心から産まれることが巧みに表現されています。読者も登場人物に感情移入することで、現実との区別がつかなくなり、作品の世界へ引きずり込まれていくのです。

1位:京極夏彦の代表作!分厚い!けれど読めば読むほどハマる!

妖怪に関連して起こる様々な奇怪な事件を古本屋「京極堂」の中禅寺秋彦が解決する様を描いています。京極堂(中禅寺秋彦のあだ名)の家業は宮司であり、副業は祈祷師の一種である「憑物落とし(つきものおとし)」の「拝み屋」です。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)著者京極 夏彦 出版日1998-09-14

シリーズ一作目の『姑獲鳥の夏』は630ページ(文庫版/講談社発刊)に及ぶ超大作。タイトルの姑獲鳥とは産女、つまり妊婦の妖怪を表しています。

東京・雑司ケ谷の医院に流れた奇妙な噂を聞いた小説家、関口からの依頼で京極堂は事件をひも解いていきます。その噂とは、久遠時家の娘が二十箇月も身籠ったまま、その夫は密室から失踪した、という奇妙なものです。

夫の行方、妊婦の謎、久遠時家の謎、事件にまつわる憑き物を落とすため、京極堂は動きだし、噂は意外な結末へと向かうのです。

「この世には不思議なことなど何もない」というのが彼の口癖であり、作品内では民俗学、論理学など広範にわたる様々な視点から、妖怪の成り立ちが説かれています。

表紙の不気味さも然ることながら、一字一字から目には見えない恐怖が漂ってきます。

以上、6作品をご紹介しました。その分厚さと「妖怪」というテーマの特殊さから、なかなか手に取らないジャンルかもしれません。けれど読み進めると意外とスラスラ読めるそのおもしろさは、分厚い本を手に取った方にこそわかるのです。

本間康太

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