【試乗記】テスラ P90D Ludicrous 、そろそろしゃべっても良い気がする(笑):山田弘樹

【試乗記】テスラ P90D Ludicrous 、そろそろしゃべっても良い気がする(笑):山田弘樹

  • autoblog
  • 更新日:2016/11/30
No image

遠く開けた北陸自動車道の合流。ここぞとばかりにアクセルを強く踏み込むと、不思議な加速感に体中の細胞がじわっと昂揚した。

EVといえば、良く言われるのはその圧倒的なトルク感。内燃機関とは違い、ゼロからいきなりマックストルクを出力できるモーターの特性により、駆動伝達系のロスはあるものの、カタパルト発進のような加速感が得られることをよく取り上げられている。

No image

しかし今回乗った最新版のモデルS「P90D Ludicrous」は、そのアウトプットが洗練されており、相変わらずの圧倒的なトルク感を内包しつつも、その加速が穏やかさに包まれる。聞けばこのモデルはフロントにもマックスパワー262PSのモーターを配置した4WDらしい。

それはまるでリニアモーターカーを自分で運転しているかのような、不思議な加速感なのだ。エンジンがなく、静かな室内環境もそれに拍車を掛けているのだろう。

ちなみに"Ludicrous"という言葉は"ありえない!"みたいな言葉で、映画なんかでよく「ルーディクラス!(馬鹿げてるぜ!)」と役者が叫んでいたりする。その加速感をしてLudicrous!ということなのだろうが、ボクはそこに意外や包容力を感じた。

No image

またこのテスラSというセダンは、速さだけでなく走りのバランスもいい。これは多くのEVにも言えることだが、一番の重量物であり動力の源となるバッテリーを床下配置することで、ロールやピッチングモーメントによる重心移動が最小限に抑えられるからだ。ロールしないでスムーズに曲がってくれる感覚は、やっぱり独特。

またテスラはそのバッテリーセル自体も剛性部材として利用している。遮音性や防振性が高いのか、軽量化を目指したシャシーはアルミ特有の反発や共振が押さえ込まれており、その若々しい軽快さが表に出ている。ここにエアサスの乗り心地が加わると、近未来的な"魔法の絨毯フィール"が味わえる。

No image

ただその柔和な乗り心地に対して、ステアリングのゲインは高い。しかしそれは、EPSだけのせいではないだろう。その車重を支えるべきタイヤとして、普通なら格式的に同じミシュランでもプライマシーLCあたりのコンフォート性を与えそうなはずが、その足下にはスポーツモデルの最上級グレードであるパイロット・スーパースポーツの21インチ!を履かせている。だから無造作にステアすればピピッ!とクルマが過剰反応してしまうのだ。この車重を支えきり、もっと荷重に対して柔らかくグリップが追従する専用タイヤの登場が今後は求められるのではないか。

No image

だからEPS自体は急激な入力を防ぐかのように、適度に重たくセットされている。いわゆるN感(舵角ゼロから10°くらいまでの、よい意味での反応の鈍さ)はない。加えてサスペンションのストロークがそれほどたっぷり取られているようにも見えないのだが(車高が低い!そしてカッコイイ(笑))、落ち着いて運転する限りは近代的なアメ車のソフトライド&ハンドリングをしっかり実現しているのだから面白い。

そんなEPSにおけるN感のなさは、テスラが次世代を睨むオートパイロット機能を着実に現実のものとするためのものだろう。機械がステアリング操作をする上で、入力に対してズレのない反応を示すことは必須である。

No image

そう。このモデルSは、未来のモビリティに向けて歩を進めるために、制御側も進化し続けている。具体的には8台のサラウンドカメラが最長250mまで360°の視界を捕らえるようになり、12個の超音波センサーが、以前の2倍の距離まで検知可能となった。またその情報を解析するハードウエアは登場当初に比べて40倍以上! の処理能力を持たされた。

No image

そしてこれらを制御するソフトウェアが「7.2」から「8.0」へとバージョンアップされたというのである。

No image

実際にひと目を引くのはセンターコンソールに鎮座する17インチの巨大モニターで、その車両情報やモード切り替え、音楽ソースを楽しむインフォテイメント機能やエアコンの調整などが全てここで行えることが楽しさを演出している。新たに加えられたデスティネーションチャージャーが、「スーパーチャージャー」や「CHAdeMO」等の充電ポイントを表示するようになったのも、ただでさえ長い航続距離に加えて嬉しいポイントである(ちなみにこの90Dは、時速80キロ平均で509kmの航続距離)。

No image

しかしドライバーにとって興味深いのは、メーターナセル内のモニターが自車と他車の状況を可視化して、さらには制限速度などの交通情報を細かく教えてくれることだ。目の前には現実空間があるのだが、メーターの中にデジタルで同じ空間が再現されているのは箱庭を見ているようである。そしてその描写能力は、一点を注視しがちなドライバーよりも意外と情報量が多い。

No image

これにオートパイロット機能を組み合わせると、運転は新たなフェーズへと片アシを踏み入れる。前車(のみならず全方位だが)との間合いを読み、かつ自分を安全なところへ置くブレーキ操作や、オートレーンチェンジから一歩先に進んだハンドル操作は、我が子の運転を見守るような気持ちになる。

No image

まだ信号を把握できなかったり、田舎道では薄れた車線の判定ができなかったりする場面はある。またオートパイロットというとどうしても完璧なロボトミー操作を最初から期待してしまうが、現段階で重要なのは注意が散漫になる状況での安全アシスト。特に北米や、日本のように最高速度が極めて低く、慢性的な渋滞に悩まされる地域で事故を防ぐには有効だろう、とボクは理解している。要するにロボトミーとしてはまだまだでも、飛ばせないから注意散漫になり、渋滞するから脇見運転してしまう人々の安全を確保する技術としては意義がある。

No image
No image
No image
No image

【ギャラリー】TESLA (71枚)

No image

今回からモデルSのオートパイロット機能は、ステアリングから手を離すと警告を促し、それでも手を離し続けるとオートステアリングはもちろん、トラフィックアウェア クルーズコントロールもキャンセルするようになった。そしてこれは一端クルマを停めて、パーキングに入れてからでなくては再始動ができない"お仕置き機能"付きである。

No image

その改変は、オートパイロットを過信したユーザーによる事故が原因だろう。ムチャするヤツの尻ぬぐいをしてたら、確かに企業の身がもたない。

だがひとつ注文を付けるとするなら、このときのアラートをもっと工夫するべきだと思う。アラームを大きくすれば不快だし、その方法論はここで即答できないのだが。

たとえばユーザーが男性なら、美しい女性の声で「ダメッ!」なんて言ってくれたら最高! テスラカーは、そろそろしゃべっても良い気がする(笑)。

No image

本筋では、運転中に手を離したり、運転を放棄するドライバーの命を守る運転補助がオートパイロットの序章。現段階における役割で、とにかくハンドルから両手を外させないことが重要。そして徐々に、完全自動運転へと軟着陸して行くことが理想だと思う。矛盾した言い方だがその軟着陸するスピードを早めることが技術の進歩で、いきなり完全を謳うことが正解ではない。

No image

だから我々も、いきなり完全を求めるのではなく、子供の運転を見守ろう。ただこの子は意外や、成長が早いとボクは思う。というのも今回はソフトウェア「6.2」を搭載した初代モデルにも試乗したのだが、そのブレーキアシストや車間距離の取り方などは遙かに洗練されており、乗るなら断然「8.0」と思えたからだ。そしてすでに、電気自動車としての乗り心地の良さや快適性は、当たり前のものとなってしまっている。

No image

この子が良い子になるか、悪い子になるかは親の育て方次第。テスラモーターズが母親なら、ボクたちユーザーは父親のような存在なんじゃないかと思う。

■テスラジャパン 公式サイト

https://www.tesla.com/jp/

No image
No image
No image

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
ムリ言わないでよっ!カレシに求められた「不可能なエッチ」3つ
オシャレな県民ランキング発表! 2位「広島県」1位は?
「定時に帰さないなら 殺す」 職場に無言のプレッシャーを与えるマグカップが話題に
1万4千円の婚約指輪を店員に笑われ......花嫁の返答が話題に
【けしからん】美人だが、あまりに攻めた格好で授業どころではない教師が話題に
  • このエントリーをはてなブックマークに追加