検査と除菌が身近になった「ピロリ菌」について知っておきたいこと

検査と除菌が身近になった「ピロリ菌」について知っておきたいこと

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/12

2013年に「ピロリ感染胃炎」(慢性胃炎)が保険適応となり、ピロリ菌外来を設ける医療機関も増え、ピロリ菌の検査・除菌は身近なものとなった。もっとも、「ピロリ菌に感染していると、胃がんの発症率が高くなる」ことは誰もが知っていても、それ以上のことはあまり知られていないのが実情。そこで、ピロリ菌とその除菌について、知っておくべきことを6項目に分けて紹介したい。

No image

その1:食べ物ではピロリ菌は感染しない

ピロリ菌は、人の口から入って胃に感染することは分かっているが、どの感染経路を通じて口に入ってくるのかは、最近までよく分かっていなかった。以前は、日本人の感染者が多いことから、刺身が感染源として疑われたが、後に否定されている。今は、汚染された水を飲んで感染したという説が有力となっている。それで衛生環境の劣悪な戦前から戦後に生まれた世代の感染率が特に高いことの説明がつく。水道が整備された現代の日本では、飲み水からの感染はまず考えらず、スーパーで売られている食品を食べて感染することもないが、唾液にピロリ菌のいる親が、口移しに幼児に食べ物を与えて、感染が広まることはありうる。ちなみに、抵抗力のある大人同士がキスしても感染はしない。

その2:ピロリ菌は胃がん以外の病気にも関与する

ピロリ菌は、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の素因となることがある。特にこうした病気の再発を繰り返す場合、ピロリ菌が原因である可能性は高い。このほかにも、慢性じんましん、糖尿病、アルツハイマー病の発症にも関係しているのではないかと疑われている。

その3:ピロリ菌といっても何種類かある

一口にピロリ菌といっても何種類かいて、東アジア型と欧米型に大別される。東アジア型のほうが毒性が強く、特に日本のピロリ菌は、最も毒性が強くて胃がんを引き起こしやすいタイプ。日本が胃がん大国なのは、ピロリ菌の感染率の高さもあるが、毒性の強いタイプだからというのもある。

その4:除菌すると食道がんのリスクが増大する?

ピロリ菌を除菌すると、食道がんや逆流性食道炎にかかるリスクを心配する人もいる。ピロリ菌の除菌によって胃が正常となり、胃酸の分泌が過多になって、逆流性食道炎になる例は確かにある。しかし、これは一時的なものであり、ごく軽微なものにとどまる。また、食道がんのリスク増大については、実際にはそのようなデータはなく、根拠がないとされている。

その5:ピロリ菌の検査は簡単で迅速

ピロリ菌の有無を調べる検査費用は安く、病院や検査法によっては1,000円程度で済むところもある。内視鏡を用いない簡便な検査法が確立しており、代表的なものに尿素呼気試験法と尿検査がある。前者は、診断薬を服用したのち呼気を集めて判定し、後者は、尿中のピロリ菌の抗体の有無を調べて判定する。どちらも30分程度で、陽性か陰性かの判定結果が出る。

その6:除菌しても胃がんリスクがゼロになるわけでない

ピロリ菌保菌者は、そうでない人よりも胃がんを発症する率が10倍高い。しかし、ピロリ菌を除菌したからといって、胃がんにかかる可能性はゼロになるわけではない。胃がんを引き起こすのは、なにもピロリ菌に限らず、遺伝、喫煙習慣、塩分の高い食習慣など、様々な要因が関与するためである。

No image

参考資料:
『胃がんでいのちを落とさないために』(浅香正博/中央公論新社)
『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(奥田昌子/講談社)
武田薬品工業『ピロリ菌のお話.jp』ウェブサイト
アステラス製薬『なるほど病気ガイド』ウェブサイト
予防医療普及協会ウェブサイト

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。

※記事内のデータ等については取材時のものです。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
嘘みたいだ!顔面酷すぎ少女「整形手術」でとんでもない「美人」に変身!タイで話題に
知らなきゃ良かった!ディズニーランドの従業員における「3つの掟」
消えてしまったけど好きだった飲料ランキング
【衝撃】2万年前の変圧器がコソボで出土! 内部のコイルまではっきり、電力を活用していた超古代文明の最新オーパーツ!
【共感】「男子校の男子ってだいたいこんな感じ」ってイラストがTwitterで話題 / 全体の6割は単なる「〇〇」らしい
  • このエントリーをはてなブックマークに追加