GAPはもうアウト?原宿・渋谷から撤退、アメリカでも絶不調なワケ

GAPはもうアウト?原宿・渋谷から撤退、アメリカでも絶不調なワケ

  • 女子SPA!
  • 更新日:2019/05/24

5月7日、GAPが原宿駅前にあった旗艦店を閉店しました。日本経済新聞によれば、「ネット通販に顧客を奪われる一方、人件費などのコスト負担は増しており、収益改善は難しいと判断した」とのことです。

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2009年11月の開店から9年半、原宿駅前での営業を終わらせた「Gapフラッグシップ原宿」

一時は日本でも大人気だった米大手アパレルブランドですが、たしかに最近あまり話題にならない印象も…。『フォーブス』によると、GAP単体でのグローバルセールスは4年連続で落ち込み、2018年の売上高は前年比5%減。

いったいどういう背景があるのでしょうか?

◆ファストファッションはヨーロッパ強/アメリカ低迷

『最速でおしゃれに見せる方法』など著書多数のファッションバイヤー・MBさんに分析してもらいました。

「ファストファッションはアメリカ勢は不調です。GAPもアメリカンイーグルもアバクロも一時期の盛り上がりはあったものの、長続きせず売上は低迷気味。

ZARAとH&Mから分かる通りファストブランド売上上位はヨーロッパ勢が占めています。結局、餅は餅屋、洋服はヨーロッパのものなのかも…」とMBさん。

ZARAはスペイン・ガリシア州のアパレルメーカーであるインディテックス、H&Mはスウェーデンのエイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツが展開しています。

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ZARAオフィシャルHPより

◆GAPは「トレンド感」が足りない

では、ヨーロッパ勢にあってGAPに足りないものはなんでしょうか?

「GAPのネガティブポイントは、値引きしすぎてブランド価値を低下させていることなどもありますが、私は『トレンド』にあると思っています。

ヨーロッパ勢であるZARA、H&Mはパリミラノの最新トレンドはもちろん、極東の島国である日本のトレンドや韓国のトレンドなどもしっかりとチェックしていてボーダレス。ドレスライクなものもカジュアルなものもトラッドライクなものもデザイナーズライクなものも、『とにかく売れているものは素早くパクる』というフットワークの軽さがポイントです。

ところがGAPはアメリカンカジュアルをベースにあまりブレないモノ作り。トレンドがどのように動こうとも提案するのはいつも同じようなチェックシャツにデニムにチノパンですよね」(MBさん)

「もはやこうしたアメリカンカジュアルは幾多(いくた)の量販店が超激安価格で大量にリリースしており、差別化も目新しさもないのです。

ZARAに行くと『え!?これがZARAなの!?』と思うような予想以上の驚きがありますが、GAPにいくと予想を上回るものは一つもありません。こうした洋服本来の魅力である『トレンド感』が欠如しているGAPが売上低迷するのは、ある種必然ではないかと私は思っています」(MBさん)

日本のトレンドにニブいGAPですが、ここへ来て本国アメリカなど世界規模で閉店が相次いでいるとか。何があったのでしょう?

◆グループ全体では売上増、だけど単体では4年連続の下落

今年2月、業績不振が続いている米GAPは「今後2年間の約230店舗の閉鎖」と「オールドネイビーを別会社として上場させる」という大規模な事業再建計画を発表しました。

『フォーブス Forbes』によると、グループ全体での売上高は伸びているものの、その原因はオールドネイビーをはじめ、バナナ・リパブリックやアスレタなど傘下の他ブランドが好調だったため。

前述のとおり、GAP単体でのグローバルセールスは2018年の5%減、昨年すでに約90店の閉店に追い込まれています。

一方、グループの半分近い収益を占めるオールドネイビーの2018年の売上は3%増。親会社とは対象的に昨年75以上の新店舗をオープンさせています。

傘下のプチプラブランド・オールドネイビーを独立させることにより、染み付いてしまったチープなイメージを払拭したいそうですが、二つの店舗比較をした米国版『ビジネス・インサイダー Business Insider』は、「GAPの方が何もかも高いが、両者のクオリティの差は感じられなかった」とバッサリ。

誰だって品質に差がないなら安い方を買いたくなってしまうのが人情。GAPはまず、クオリティ向上や大胆な路線変更でオールドネイビーとの差別化を図らなければならないようです。

◆「つまらないデザインなのに高い」

1969年にサンフランシスコで創業されたGAPはショッピングモールの建設ブームと共に爆発的に店舗数を増やし、子供から大人まで幅広い層に愛される「アメリカのイケてるブランド」の代表格になりました。

しかし『CNN』によると、徐々にベビーブーマーたちから見放され、ミレニアム世代に至ってはほとんどGAPに関心を示すことなく成長。現在のブランドイメージは「パッとしない」に変わってきています。

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サンフランシスコのGAPフラッグシップ店(C) David Tran

筆者の周囲で聞き込みをしてみると、どの世代のアメリカ人女性からも「平凡なデザインなのに意外と高い。同じ値段ならZARAやH&Mの可愛い服を買いたい」という答えが返ってきました。

「つまらないデザイン」という印象が強い上、傘下のオールドネイビーほど安価でなく、きれい目なデザインの多いバナナ・リパブリックや、アスレジャーに徹したアスレタのような特徴もなく、中途半端な立ち位置になってしまっているのが敗因のようです。

中には、「そんなブランドあったね。最近まったく行ってないや」と存在さえ忘れていた40代主婦や、「僕はバナリパ(バナナ・リパブリック)、彼女はアスレタでよく買い物するけど、GAP着ている子はクラスにまったくいないよ」という男子高校生もいました。

◆アメリカ人はプチプラ依存?オフプライス店にディスカウントショップも

『CNN』ではさらに「オールドネイビーの独立はアメリカ人のプチプラ依存の象徴」とし、有名ブランドの型落ち商品が格安で手に入るTJマックスやマーシャルズといった“オフプライス店”が好調なことに注目。

メイシーズ百貨店が大型店の敷地内にオフプライス専門スペースBackstage(バックステージ)をオープンさせたことや、昨年のホリデーシーズンにノードストローム百貨店の売上が1.6%下落したのに対し、同オフプライス店のノードストローム・ラックは売上を4%伸ばしたことを紹介しました。

今はメットガラに現れたカニエ・ウェストのように、「ターゲット」などディスカウントストアでもトレンドを押さえた服を安く買えてしまう時代。GAPより安くてセンスのいい服を見つけるのは簡単なのです。

また、興味深いのは不調のGAP店の多くが立体駐車場を持つような巨大ショッピングモールに入っており、好調なオールドネイビーやTJ マックス、ターゲットなどは店のすぐ前に車が停められる小規模なモールにある点。

アナリストは「わざわざ巨大なショッピングモールを歩き回るなんて面倒という消費者が増えている」と分析、立地の悪い店舗の多いGAPの閉店はやむを得ない処置だとしています。

売上減少やそれに伴う店舗の閉鎖は、中途半端なブランディングによる誤った価格設定とパッとしないラインアップ。そして、かつて同ブランドの成長を後押しした巨大ショッピングモールから客足が離れていることに原因がありそうです。確かに筆者の住む町にある巨大モールにも、最近、空き店舗が目立つようになっています。

Sources:「Forbes」「CNN」「CNN」「Business Insider」「Business Insider

<文/アメリカ在住・橘エコ>

【橘エコ】

アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。

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