思わず戦慄......平安時代の「性」のこわい話

思わず戦慄......平安時代の「性」のこわい話

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  • 更新日:2017/08/15

名作古典の数々には、実は、日本人の豊かな性生活がユニークな表現で書き記されている。そんな古典の中の性文化を切り口に、日本人の歴史と実相に迫る一書『エロい昔ばなし研究 『古事記』から『完全なる結婚』まで』(下川耿史・著、KKベストセラーズ刊)より、知られざる古典の「性」のエピソードを紹介する。今回取り上げるのは、『今昔物語集』。

◆見知らぬ女に頼まれた届け物、その中身は……

「今は昔……」という語りかけから始まっていることでおなじみの『今昔物語集』。平安時代末期の成立と推定される本書は、天竺(インド)から震旦(中国・朝鮮)、本朝(日本)の話を広範に収集してでき上がった説話集として有名だが、「性」のエピソードもバラエティに富んでいる。その中から、思わず身の毛もよだつ一篇を紹介したい。

美濃国(現岐阜県)に紀藤助という者がいた。藤助が主人の藤原孝範の用達しで京都へ出かけて美濃へ戻る途中、勢田の大橋の上に裾取りしたなまめかしい女がたたずんでいた。

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藤助が通り過ぎようとしたら、「どちらへいらっしゃるお方ですか」と声をかけてきたので、藤助は馬から降りて「美濃へ帰るところです」と応えたところ、女は「こと付けを頼みたいことがございます」といって、絹で包んだ小さな箱を差し出し、「これを美濃の方県(かたがた)郡(現岐阜県本巣・稲葉郡)の収橋のもとにお届けください。西方に女がまっていて受け取る手はずになっております」といった。

藤助は「妙なことを頼まれたな」と思ったものの、女の気配がただごとでないことから引き受けて、「もしもお会いできなかった時の用心に、相手のお名前をうかがっておきたい」といった。すると女は「相手が約束を違えることはありません。むしろ夢にも箱の中をご覧にならないように」といって立ち去った。
だが美濃に帰り着いたものの、この橋のことを忘れて通り過ぎたため、箱を渡すことができなかった。藤助はこれは「すまないことをした」と思ったが、「次の日にでも持って行って尋ねてみよう」と考え、箱を部屋の高いところへ置いた。

ところで藤助の妻は大変嫉妬深い女で、夫が高いところに箱をしまったのを見て、「この箱は女にプレゼントするために、わざわざ京都から買ってきたに違いない」と想像し、藤助が外出した間にこっそり取り出して開けてみた。そこには人間の目玉と、毛の付いた魔羅(男の一物)を切り取ったものが数多く入っていた――。

〈『エロい昔ばなし研究 『古事記』から『完全なる結婚』まで』より構成〉

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