take171「羅生門 デジタル完全版」

take171「羅生門 デジタル完全版」

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  • 更新日:2017/09/15

take171「羅生門 デジタル完全版」

言い分が異なる殺人事件から人間の本性が炙り出される!?

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巨匠、黒澤明が芥川龍之介の短編小説「羅生門」「藪の中」を脚色し、映画化。とある殺人事件に関わった複数の人間の視点で語られる異なった供述から、真実のあやふやさと、人間のエゴイズムが炙り出されていく。

モノクロ映像で雨の質量を強調するために使われた墨汁、自然光を生かすためにレフ板を使用せず使われた鏡、太陽を直視するレンズ等々、黒澤が投入した禁じ手とも言える手法は、今も多くの映画や映画人たちに多大な影響を与え続けている。

構成も斬新だ。羅生門で雨宿りするきこり(志村喬)がそこに居合わせた男に語るのは、商売の途中で偶然発見した侍の死体と、現場にいたと思しき人々の異なる供述である。まず、盗賊の多襄丸(三船敏郎)は旅の途中で出くわした美女に心を奪われ、その亭主である侍と戦って勝利し、拘束した上で女を手ごめにするが、気が付くと女は護身用の短刀と共に消えていたという。一方、女は手ごめにされた後、夫に短刀を手渡して殺してくれと懇願したものの無視され、気絶するが、気が付くと夫は短刀で自らを刺して絶命していたという。さらにここで死んだ被害者の侍が巫女を介して登場。侍は雄々しい多襄丸を見上げる妻の顔がかつて見たこともないほど美しかったため、それにショックを受けて妻の短刀で自ら命を絶ったのだという。

三者三様に食い違う証言からは、自分に都合良く平気で真実を作り替えてしまう、人間という生き物の卑しく悲しいありさまが見えてくる。芥川が原作に描き込んだ痛烈なテーマを、映像のフィルターを通して視覚的に見る者の心に届けてみせた巨匠の代表作「羅生門」。配役の中では特に、善悪を超え異性を魅了せずにはいられない三船敏郎の圧倒的な存在感が、物語に底知れぬ深みを与えて圧巻だ!

<映画うわさの真の相> 人呼んで“多元焦点化”その代表作が「羅生門」「桐島~」も同系列

同じ出来事を複数の視点から検証することを“多元焦点化”と呼ぶ。「羅生門」は同形式のパイオニア的作品だ。高校を舞台に姿なきエリートの存在が複数の視点から描かれる近年のスマッシュヒット「桐島、部活やめるってよ」(12)も同じ手法を踏襲したもの。米大統領狙撃事件を解明していく「バンテージ・ポイント」(08)というハリウッド映画も同様だ。

Text=清藤秀人

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