子どもに「なぜ勉強しないといけないの」と聞かれたら、お金持ちの親はどう答えるか

子どもに「なぜ勉強しないといけないの」と聞かれたら、お金持ちの親はどう答えるか

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2020/03/26

子どもたちが春休みに突入するこの時期、ダラダラ過ごしているのを見て「勉強しなさい」と言いたくなるのが親というもの。子どもが「なぜ勉強しなきゃいけないの!」と言ってきたら、返す答えをもっていますか?

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※写真はイメージです(写真=iStock.com/Hakase_)

なぜ富裕層の子は高学歴になるのか

よく「親の所得が高い家庭では子の学力も高い」「親の所得格差が子どもの教育格差につながる」などと言われます。

確かに、高学歴な親の子は高学歴であることが多いし、富裕層は子弟の教育に強い関心を持ち高度な教育を受けさせようとします。

ただ、私が周囲の富裕層とその子どもたちの関係性を見て感じるのは、親の所得格差と子の教育格差の関連性は、半分正解で半分間違いということです。

半分正解というのは、親の所得が高ければ、たとえば一緒に海外旅行をして見聞を広めるなど、普通ではできない経験をして視野を広げることができるからです。

また、塾や予備校、あるいは私立の中高一貫校や留学といった教育の選択肢だけでなく、趣味やスポーツなどに没頭できる環境を、お金の力で整備することができるからです(没頭する経験は集中力と想像力を養い、ほかのすべての分野で応用が利く土台となります)。

むろん、没頭する経験や視野を広げる経験は、お金がなくてもできるものはありますが、たとえばフィギュアスケートがうまくなりたいと思ったら、リンクを借りる費用、コーチに教わる費用、リンクへの送迎、道具や衣装に遠征費など、家族の経済的・時間的負担は大変なものがありますから、ある程度の所得がないとやはり難しいでしょう。

なぜ東大生は「勉強しろ」と言われて育った子が少ないか

そして半分間違いというのは、親の子に接する態度や言葉がけによって子の学習意欲や進学意欲は大きく変わるものであり、親の所得そのものは直接関係ない部分もあるからです。

高学歴になる子の家庭では、たとえば親はテレビではなく読書など勉強する姿を見せることがあります。子に親の価値観や理不尽なルールを押し付けたりせず、自主性を重んじます。子の挑戦をたたえ、失敗を許容します。

そういう親の態度に毎日毎日、何年間も接して育てば、子どもも親と同じような思考パターンや行動パターンを受け継いでいきます。そして適切な自己肯定感が育ち、「自分は大丈夫」「やればできる」という自尊心や「もっと知りたい」という知的好奇心が養われます。

そのため、「勉強しろ」などと直接言わなくても、日々の会話の中から、親の論理的な考え方や勉強することの大切さが子に伝わっているのです。

だからなのか、東大に合格した学生のほとんどは、子どものころから一度も親に「勉強しろ」などと言われたことがないそうです。

そしてこれは親の所得に関係なくできることであり、半分間違いとはそういう意味なのです(しかし悲しいかな、低所得の親に限って反対のことをするのです)。

想像以上に大事な基礎学力

とはいえ、多くの親の悩みは「子どもが勉強しない」ことではないでしょうか。

もちろん人生は学歴や勉強だけではありません。むしろ幼少期こそたくさんのリアルな経験、自然との触れ合いが必要で、それが子の感受性を豊かにしてくれ、「あと伸び」する土台を作ります。

それはそれとして重要なのですが、特に義務教育段階での基礎学力は、その後に身につける知識や教養の土台になりますから、やはりおろそかにはできません。

正確な日本語運用能力や、算数・数学などの計数能力なくしては、高い知性・知能の獲得はできないのです(例外的な人は存在しますが、一般的にという意味で)。

そして多くの親が言われたことがあるかもしれませんが、子から「こんな勉強したって実際の生活では使えない」「こんな勉強、いったい何の役に立つの?」という疑問(というか言い訳)を言ってきたら?

そこで私が考える反論(勉強が大切な理由)をご紹介します。

なぜ勉強する必要があるのか

ひとつは、勉強の中身そのものが役に立つというよりも、勉強する過程で脳が鍛えられ、そうやって形成した強靭な頭脳が土台となって役に立つのです。

たとえばどんなスポーツでも、必ず走る練習をします。卓球のような走らないスポーツでも、弓道のような上半身しか使わないように見えるスポーツも、必ず走る練習が組み込まれます。

それは、足腰の強さはすべての運動能力の土台だからです。持久力、瞬発力、バネ、安定性、バランス、姿勢の制御を高い次元で獲得するには、強靭な足腰が必要です。

ラケットを振る練習だけ、弓を引く練習だけしても強くはならない。強くなるには、一見意味がないとか役に立たないと思える「走り込む」練習をしないといけない。

勉強もそれに似ていて、論理的な思考力や問題解決の筋道の立て方、知識の応用方法を、勉強を通じて身につけていくわけです。

たとえば数学の証明問題も、国語の要約問題も、様々な角度から脳を刺激することで具体と抽象の往復運動をし、視野を拡大させているのです。

暗記もしかりで、子供はまだ脳が成長している時期です。だから幼少期の暗記は、インプットを増やして脳を刺激し、脳のキャパシティを広げる訓練になっています。

学校を卒業したあとの長い長い人生の中で、必要な知識やスキルをその都度習得して活かし、それまで学んだことを組み合わせて応用し、深く緻密に思考できる高性能な脳をつくることに役立っているのです。

だからもし今、無意味だからと勉強しなければ、学校を卒業してもスカスカの頭脳のまま。土台がなければその上には何も作れないし応用が利かない。人生で直面する様々な障壁や課題を乗り越えられない。これでは幸せになれないでしょう。

むろん、学生時代は勉強をまったくしなかった、あるいは不出来だった人が後年成功するという例はありますが、それこそ例外です。いま成功している人のほとんどは高学歴なのです。

自由になるために勉強する

勉強する目的のもうひとつとして、「自由の獲得」が挙げられます。

勉強しなければ、たとえば職業の選択肢が狭まります。もちろん仕事の成果は学業や学歴だけではありませんが、勉強しなければ「受かったところに行く」しかありません。

しかし勉強していれば、頭脳労働の仕事も肉体労働の仕事も、どちらも選べます。就職や転職でも複数の企業から内定をもらえれば、好きな会社を選べます。

仕事を選べる、生き方を選べるという自由。これは個人の幸福に寄与するはずです。

さらに、十分以上のお金を稼ぐこともできます。

勉強して高い知能を獲得しておけばいくらでも応用が利きますから、様々なビジネスモデルを考え出すことも可能です。

先ほど「様々な角度から脳を刺激することで、具体と抽象の往復運動をする」と述べましたが、たとえば知識・情報・経験を組み合わせて成功法則を導き出せるのは、抽象化能力の高さがあってこそです。

「任せるから好きにやって」への対応でわかる非凡度

また、そこから実行に移すには徹底的な具体化能力が求められます。ビジネスモデルは抽象的なものですが、実行計画は具体そのものです。

起業家や経営者はグランドデザイン(戦略)を描き、それを実務に落とし込む。そしてそれらを実践するのが従業員であるように、成功者は具体と抽象を往復する能力が高く、凡人のほとんどは具体の世界でしか生きていない。

凡人は具体的な指示を与えられないと動けないため、たとえば「これ任せるから好きにやって」と言われたら混乱しますが、成功する人は嬉々として取り組むものです。

そして勉強(特に国語と算数・数学)は具体と抽象の往復訓練であることが多く、つまり勉強することは個人を強化し、自由を手にする力を与えてくれるのです。

勉強とは魔法使いになること

もうひとつ、こういう話を聞いたことがあります。「勉強とは魔法使いになること」であると。どういうことか。

たとえばいま40代以上の人が小学生時代にタイムスリップし、友達にスマートフォンを見せたら、皆おったまげるはずです。

昔は、家にはまだダイヤル式の黒い固定電話。大型のラジカセに、カセットテープを入れて好きな音楽を録音して聞いていた。

なのに、スマホの小さなデバイスにすべてが入っていて、ネットもつながるしテキストでチャットもできるし銀行振り込みも株の売買もできる。写真も撮れてその場で見られるし加工もできる、動画を観たり作曲することもできる。

そして友達はこういうでしょう。

「なにそれ魔法の道具じゃん!!」

そしてそのスマホを作ったのはエンジニアやプログラマで、学生時代に勉強してきたからこそ、さらにその上に高度な理論を習得でき、そうした製品の開発につながっているわけです。

勉強をサボっていては、精密機械の実装技術やプログラミング言語などは理解できないでしょう。

それはたとえば、いきなり代数幾何を勉強しても、基礎がなければまったくわからないようなもの。マラソンだって日々の練習という積み重ねがないと走れない。つまり今やっている勉強は、将来魔法使いになれる力をつけているということであると。

……という感じで、私ももし自分の子どもが「勉強したって役に立たないだろ」などと言ってきたら、このように諭そうと思っています。

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午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。
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