工藤監督 3年目に実った勝利と育成の両立...原点は広岡イズム「俺はうるさいオヤジで」

工藤監督 3年目に実った勝利と育成の両立...原点は広岡イズム「俺はうるさいオヤジで」

  • スポニチアネックス
  • 更新日:2017/09/17

◇パ・リーグ ソフトバンク7―3西武(2017年9月16日 メットライフドーム)

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<ソフトバンク祝勝会>水を浴びる工藤監督

ソフトバンクは16日、西武を下し、2年ぶり18度目のパ・リーグ優勝(1リーグ時代を含めると20度目)を決めた。就任3年目の工藤公康監督(54)は最大11・5ゲーム差をつけながら逆転された昨季の雪辱を果たし、男泣き。1年目の15年に記録したリーグ最速優勝を1日更新した指揮官は、スポニチ本紙にファンへ向けた感謝の手紙を寄せた。

背中に伝わる選手たちの手は2年前より温かかった。「工藤公康」の原点をつくった、かつての本拠地のマウンド付近で7度舞った。見えるのは現役時代の空ではなく無機質な屋根。ただ喜びの感情はどの優勝より、心に幸福が広がった。

「今は正直、ホッとしています。CSに負けてから1年弱、このことだけを思い1年間、やってきました」

声を詰まらせ、瞳からこぼれた涙を拭う。15年9月17日を1日上回るリーグ最速優勝の喜びではなく、昨季、日本ハムに最大11・5ゲーム差を逆転された苦しみから解き放たれた感情だった。

「景色は540度変わった。1周半だよ」。昨季は終盤に左肘違和感の和田、柳田の右手薬指骨折などで失速。今季もスアレスが右肘手術、武田は右肩違和感、千賀も背中の張りとWBC組に故障者が出た。5月には和田が左肘手術。台所事情は火の車だった。

「自分が退いても遺産を残したい」。就任当初から掲げた勝利と育成の両立が、3年目に実った。15年1勝だった東浜はリーグトップの16勝目、千賀は連続2桁勝利。岩崎は39ホールドと今や8回の番人だ。「頂上を目指しているのに6、7合目で満足か?」と1年目から強化指定し、厳しい練習を課してきた工藤チルドレンたちがこの窮地を支えた。

「またやんのかよ~」。そんな声が聞こえるようだったが、緩めなかった。自分もそうだった。「(82~85年、西武)広岡監督の4年間は厳しかった。そこが俺の基本。だからそれ以下の練習はしなかった。広岡さんが辞められて、凄さが分かった。今の選手には35歳くらいになった時、やってよかったと思えばいい。俺は“うるさいオヤジ”でいいんだ」。追い込み、鍛え、体に張りがあるまま、マウンドへと送った。

自らも変わった。「チームが一つになる。それが反省だった」。自分の考えに従わせるだけでなく、選手にはコーチを介し、伝えるようにし、当たりをやわらげた。口を出すのは1年目の4分の1。森浩之スコアラーを作戦コーチに昇格させサイン、作戦を任せた。2年間、ほぼ一人で背負った仕事を分業。「風通しはよくなったね」。選手、コーチの働きやすさを心掛けた。

ブルペンの負担が増えた5月に「俺が言うまでは(肩を)つくらなくていい」と決断。中継ぎが何度も肩をつくることを禁止し、負担を減らした。投手交代は難しいが、作戦の負担が減った分、勝負勘はさえた。6回終了時でリードした試合は74勝1敗。右膝打撲の柳田ら不安を抱える選手も迷わず途中交代させ、試合平均起用人数は昨季の14・9人から15・7人に増えた。

孫正義オーナーは巨人のV9を超える10連覇を掲げる。指揮官も「連覇したい」と言った。ゴールではなく、再出発。優勝を記念した色紙に書いたのは「夢」だ。「(夢を)与えるのは僕たちの仕事。かなえればファンは喜んでくれる」。本当のゴールである日本一へ。夢は終わらない。 (福浦 健太郎)

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