社会の「生きづらさ」に向き合いながら生きるためのバイブル10選

社会の「生きづらさ」に向き合いながら生きるためのバイブル10選

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/10/13
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「堂々と間違えろ」

唯一の楽しみが読書。そんな小学校時代を送りました。成人してからも趣味が読書しかなく、長年ずっと傍らに本があって、毎日読み続けてきました。もう食事と同じで、自分の大部分は本でできているような感覚です。

読んでから20年近く、私の中で最高の一冊であり続けているのが、『COTTON100%』です。

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この本を読んだ'98年当時、私は表現者になりたいただのフリーターでした。何かを伝えたいけれどどうしていいかわからないと悩む、モラトリアムの真っ最中。

そんな時に背中を押してくれたのが、世界中を旅し、マルチなアーティスト活動を行うAKIRAさんのアメリカ放浪記でした。グダグダ悩んでいないで、とにかく考える前に行動しよう。そして、「堂々と間違えろ」という強烈なメッセージを受け取ったんです。

この本を読んで数ヵ月後、初めての海外旅行で訪れた先が北朝鮮です。読まなかったら、あんなに危険が満ちた場所に行かなかったと思いますね。

2位の『チャヴ 弱者を敵視する社会』を読んだのはごく最近なのですが、衝撃を受けました。今の世界、そして日本で起きている格差の進行を、こんなにわかりやすく読み解いている本はありません。貧困の問題などの「生きづらさ」は私のテーマでもあり、今後の自分にとって、バイブルになるだろうと感じました。

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イギリスの白人労働者階級は「チャヴ」と呼ばれ、侮蔑されている現状があります。その差別が政治の文脈にも組み込まれて、下流バッシングが起きます。貧しいのは自己責任であるといわれ、社会保障費削減のために利用されているんです。

この問題の背景には30年前のサッチャー政権から推し進められた新自由主義政策があります。そこから、格差が拡大し、様々な産業が空洞化した結果、地方が衰退しているという流れが詳しく解説されています。でもこれは今の日本にもそのまま当てはまると気づくのです。

中曽根政権ぐらいから新自由主義路線が始まり、小泉政権が弱者に対して牙をむき、自己責任化、社会保障費削減、生活保護バッシングにつながるという構図は全く一緒です。日本でもイギリスのような強い下流差別が発生するのではと危惧しています。

3位に選んだのは『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』というストレートなタイトルの本。著名人がプレゼンを披露する人気イベント「TED」で、フェミニストである著者のスピーチをまとめたものです。

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読んで驚いたのが、著者の出身地、ナイジェリアでも、女性が社会で生きる姿は、日本と同じということ。女性のキャリアアップを阻む「ガラスの天井」などジェンダーの問題に皆悩んでおり、その姿は万国共通であることが新鮮でした。

そして、それを訴える彼女のスピーチが世界中で共感を呼んでいるということにまた、すごく勇気をもらいます。

社会問題をどう伝えるか

女性つながりで言うと、4位の『女子をこじらせて』はまた違った視点の一冊。日本で生きる女性の息苦しさなどを、AVライターである筆者が自分の人生を振り返りながら、ぶっちゃけている内容です。いろんなものに対する折り合いの付け方が極端で、それなのに共感を得られる内容になっているんです。

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最近、私も『女子と貧困』という本を書かせていただきましたが、ここ1、2年、世の中のジェンダーに対する意識が変わってきたなと感じます。数年前だったら「フェミニスト」という言葉を何かの媒体で使うだけで罵詈雑言が寄せられるなど攻撃がありましたが、今は以前よりは言いやすくなった気がします。

仕事に通じる本も好きですが、日常を全部切り離して、別世界に連れて行ってくれる本も大好きです。8位の『漂流』は、読んでいる1、2週間の間、自分もずっと漂流していた気分。ものすごく引き込まれました。

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6位の『リンダリンダラバーソール』も夢中になった本。大槻ケンヂさんは中学の頃から好きなミュージシャンで著作もほぼ読破しています。

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バンドブームの頃の狂乱の日々を、舞台裏から私小説風に描いた作品で、なんだかとても切ない。私はファン側でしたが、ミュージシャンも同じ若者で、葛藤があって戸惑っている。まさに少年少女の「ザ・青春」という一冊です。

この本みたいに読み進むのが楽しくて苦にならないくらい、面白おかしく、でも切なく、社会問題をわかりやすく書けたら……。今後の私のテーマかもしれません。

(取材・文/佐藤太志)

▼最近読んだ一冊

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「婚活連続殺人の木嶋佳苗事件をモチーフにしたフィクションで、ものすごく面白い。特に食べ物への貪欲さが上手く書かれていて、食べる描写がまるで官能小説のよう。出てくる料理、全部作ってみたくなりました」

雨宮処凛さんのベスト10冊

第1位『COTTON100% 極上のどん底をゆく旅
AKIRA著 幻冬舎文庫 入手は古書のみ
5年間のアメリカ大陸放浪記。著者のポジティブかつディープな旅の姿勢が'80年代のアメリカを鮮やかに描き出す

第2位『チャヴ 弱者を敵視する社会
オーウェン・ジョーンズ著 依田卓巳訳 海と月社 2400円
「『チャヴ』は人間以下のカテゴリーと見なされているような感覚です。日本も同じ道を歩む可能性はあります」

第3位『男も女もみんなフェミニストでなきゃ
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著 くぼたのぞみ訳 河出書房新社 1200円
「男より成功しちゃいけない、みたいな風潮は日本だけじゃないことに気付けた。特に男性にこそ広く読まれてほしい」

第4位『女子をこじらせて
雨宮まみ著 ポット出版 1500円
「先回りして考えたり、言い訳したり。日本で女として生きることの窮屈さに共感しました」

第5位『夫のちんぽが入らない
こだま著 扶桑社 1300円
「愛情とは、夫婦とは一緒に生きるとは何か。壮絶なのに穏やかさも感じる不思議な小説です」

第6位『リンダリンダラバーソール
大槻ケンヂ著 新潮文庫 入手は古書のみ
「バンドブームを一緒を駆け抜けた若者たちを描いた、ある意味モラトリアム小説」

第7位『バラカ
桐野夏生著 集英社 1850円
「愛読している作家の桐野さんが描く震災の話は物語が面白い方向に暴走しまくります」

第8位『漂流
角幡唯介著 新潮社 1900円
「漂流した漁師を書いたノンフィクション。現実を生きるのが難しくなるくらいハマった」

第9位『殺人犯はそこにいる
清水潔著 新潮文庫 750円
「北関東連続幼女誘拐殺人事件が題材で、著者の取材力と筆力に感嘆し嫉妬もしました」

第10位『フランス ジュネスの反乱
山本三春著 大月書店 2000円
「若者に対する初期雇用契約の法律への反対運動ルポ。世代を超えて連帯する姿が美しい」

『週刊現代』2017年10月14・21日号より

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