芸能人とクスリ、売人から「シャブ漬け」にされる「知られざる手口」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/11/26
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11月16日、女優の沢尻エリカが警視庁に逮捕されたとの一報が日本列島を駆け巡った。合成麻薬のMDMAを所持していたとして、麻薬取締法違反容疑で逮捕された形である。11月6日には、覚せい剤を所持していた容疑で、元タレントの田代まさしが逮捕されたばかり。ここのところ有名人のドラッグ騒動が後を絶たないが、みずからの身をほろぼすクスリの罠にはまってしまうのはいったいなぜなのか――。「芸能人でも一般人でも変わらない。いつの間にかシャブ漬けにさせられて、離れられなくするんだ」と、あるドラッグ関係者は明かす。日本全体に蔓延するドラッグ中毒、そのヤバすぎる手口に迫った。

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逮捕された沢尻エリカ〔photo〕gettyimages

「クスリと女はワンセット」

11月6日、覚せい剤を所持していた容疑で、薬物事犯では通算5回目の逮捕となった田代まさし。筆者が田代に話を聞こうと直撃取材を試みたのは今から2年前、2017年10月のことだった。

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2017年10月の田代まさし

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当時も田代は薬物依存症患者の更生施設「ダルク」の職員として働いていたが、ある関係者からこんな情報が寄せられたためだ。

「田代がまたおかしくなった。あいつ、他のスタッフに対して急に見下すような態度を取るようになった。出勤時間もぜんぜん守らないし、わけのわからないことを口走ることもある。また警察にマークされているって話だよ」

その頃の田代といえば、二度目の懲役を終えて3年が経ち、ダルクの「広告塔」として全国各地のイベントや講演会に出演するなど、その業界では引っ張りだこの人気タレントになっていた。

やっかみ半分、面白半分のガセネタをつかまされた経験は何度もある。だが、その関係者はさらにこう続けた。

「どうやら田代が女と同棲しているらしいという噂があるんだ。まあ、女がデキたのはいいけど、薬物経験者から言わせてもらえば、クスリと女はワンセット。セックスをするとクスリが欲しくなるし、クスリをやれば女がほしくなる。快感は女のほうが100倍以上って言われるけど、人間は一度シャブセックスの味を知ったら最期、死ぬまで忘れられないんだ」

累犯者もクスリを入手できる

薬物依存から立ち直ろうとしている人物に証拠もなく「またやってるんですか」と聞くわけにはいかないし、まして薬物に関する質問ならば「ダルクを通して」となる。だが、女の話なら別だ。

万が一にも本人が認めれば、小ネタくらいになるだろう。そんな気持ちでダルクの施設前で田代の出勤を待ったのだ……。タレコミ通り、田代が姿を現したのは、出勤するはずの時刻から2時間以上経った昼前のこと。

「田代さん、恋人ができたそうですが」

問いかける筆者と目を合わせることなく、無言でダルクの事務所へ入っていく田代。その後ろ姿からは、芸能マスコミをいっさい受けつけない強い意志を感じたものだった。

当時の様子をまざまざと思い起こさせることになった今回の逮捕劇だが、田代のように何かと疑いの目を向けられる「累犯者」でも、違法薬物を入手できてしまう点に怖さがある。

官僚も人妻もクスリを買う時代

先の関係者が「クスリと女はワンセット」と語っていたように、身近なところでは、パパ活アプリをきっかけに覚醒剤の味を覚えるケースもある。

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photo by iStock

東京霞が関にある東京地方裁判所。ここでは毎日、何十件という薬物犯罪の裁判が行われているが、足しげく通う傍聴マニアの一人はこう語る。

「被告人は覚醒剤取締法違反(使用)に問われた20代の元会社員女性。食事だけで8000円とか1万円ももらえるパパ活アプリで小遣い稼ぎをしていたら、ある紳士から1回のセックスに5万円を提示され、ふたつ返事でOK。それが転落のきっかけでした」

世田谷の高級住宅街で売人と…

その被告人女性はホテルで、男に「媚薬だから」と瓶入りのドリンクをすすめられる。「もしも睡眠薬だったら」という思いがよぎって一度は拒絶したが、男も一緒に服用することと、今後も定期的に高額なチップで会うことを条件に受け入れてしまう。

「セックスについてあまり多くを語りませんでしたが、そのうちパイプで吸引するようになって、ますますのめりこんでいったと証言していました。結果的に親や知人からも借金をしていたことから、シャブの上客になったのは明らか。ちなみに彼女にシャブをすすめた男は捕まっていないようでした」(傍聴マニア)

余談だが、筆者は覚醒剤の所持・使用で逮捕された元セクシー女優の麻生希の公判を傍聴したことがある。

彼女は覚醒剤を使用するようになったきっかけについて、「暴力団の組員に脅されて注射された」と証言したが、検察も弁護側もその組員について追究することはなく、ついに素性が明かされることはなかった。

「覚醒剤で逮捕されるのは特殊な人間」という思い込みは捨てたほうがいい。

「シャブ裁判と聞くと、ヤクザがらみというイメージを抱くかもしれませんが、被告人席に立つのはごく普通の人ばかり。むしろ高給取りの官僚だったり、セレブな人妻さんだったり、金に余裕がある人でなきゃ常習者になれませんからね。

ある人妻はホストからシャブ入りの酒をすすめられたのをきっかけに、世田谷の高級住宅街で堂々と売人から買うまでになったと証言していました」(傍聴マニア)

タレント逮捕で、ますます興味を持たれる

いくら厚生労働省が「ダメ。ゼッタイ。」と違法薬物の乱用防止を訴えても、クスリに手を出す人間は後を絶たない。むしろ最近は薬物へのハードルが低くなったと暴力団関係者は語る。

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photo by iStock

「つい先日、元スノーボード選手が大麻の密輸でパクられたけど、今年に入って、大麻の取引価格が上がっていると聞いた。国内の流通量が減っていることも影響しているけど、需要が増えたのが大きい。

その背景には、元ジャニーズのタレントやミュージシャンが大麻で捕まるたびに、テレビでバンバン放送するだろ。それが抑止につながるどころか、かっこうのコマーシャルになってしまう。かえって興味を持って『やってみたい』って人間が出てくるって話だよ」

シャブで「何十時間も寝ないでゲームに没頭」

大麻や脱法ドラッグは俗にゲートウェイドラッグとも言われる。依存性は低いが、このドラッグを入り口として、コカインや覚醒剤といったハードドラッグに走り、結果、重度の中毒者になってしまうという考え方だ。

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photo by iStock

社会的影響力の強い有名人を重点的に検挙していくマトリの捜査方針が、かえって違法薬物の蔓延に一役買っているという捉え方もできる。

ひと昔前ならば、売人がネットの掲示板で隠語を用いて客を募っていたようだが、今は警察当局の監視が厳しく、これまでにないルートを使って新規の客を開拓しているようだ。

「最近よく耳にするのはスマホのオンラインゲーム。たとえばある中国発のスマホゲームは、日本で爆発的に中毒者が増えているらしいけど、その中のメッセージ機能を使って取引を持ちかけるそうだよ。

確かに、シャブをやれば何十時間も寝ないでゲームに没頭できるからね。もともと中国の企業が日本人を廃人にするために作ったって触れ込みらしいけど、シャブの売人が横行しているとなれば、あながちコンセプト通りになったわけだ」(暴力団関係者)

2020年の東京五輪に向けて、警察当局は取り締まりを強化してきた。それでも田代のような人間の再犯を許してしまう。その気になれば、誰でも違法薬物を入手できる恐ろしさを認識すべきかもしれない。

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