ついにファイナルを迎えた暗闇体験イベント『ダイアログ・イン・ザ・ダーク/ファイナルver.』に潜入

ついにファイナルを迎えた暗闇体験イベント『ダイアログ・イン・ザ・ダーク/ファイナルver.』に潜入

  • @DIME
  • 更新日:2017/08/13

■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪

2009年から8年に渡り、渋谷区神宮前で開催されてきた『ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)』の常設会場がこの8月でファイナルを迎えることになった。今回、このDIDのファイナル ver. の先行体験を受ける機会を頂いたので、体験内容の振り返りと合わせて改めてDIDの魅力を紹介していこうと思う。

■DIDとは何か?

DIDを正しく言葉で表現するのはひどく難しい。だが、あえて一言で表現するなら「暗闇の中で行うグループワーク」ということになるだろう。参加者はグループを組んで明かりのない会場に入り、そこで暗闇のエキスパートというべき視覚障がい者のアテンドを受けながら様々な体験をする。完全に光を失った空間での体験は、日常生活とは全く異なる感覚と発見を参加者にもたらしてくれる。

DIDのオリジナルは1988年にドイツで生まれたものであるが、約10年後の1999年に本邦初開催後、渋谷区外苑前の常設会場、グランフロント大阪内「スムフムラボ」での定期開催(「対話のある家」)を中心に活動を展開しており、近年では社員研修としてビジネスパーソン向けのサービスも提供している。

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■DIDでできる体験内容はどのようなものか?

実は私にとっては3回目の体験となった今回の先行体験。当日の流れを振り返りながらDIDで体験できることを紹介していこう。

1.ロビーで事前説明を受ける

DIDは完全予約制を取っているので、予約した時間の15分前には会場に集合することになっている。ちなみに定員は8人で、グループで参加することも可能(ただし1グループ4名まで)だが、もちろん個人でも参加することができる。今回の先行体験は抽選で当たったものなので、集まった8人はいずれも初対面。そんなわけでロビーで集まった誰もがお互いに距離を空けながら時間を待つ感じであった。10分前になると開始前の事前説明を受けるのだが、説明される内容は「荷物はロッカーに預けること」「光るものや落としやすいものは持ち込まないこと」等、これから暗闇での体験をするにあたって必要なことなので、体験する際はよく聞いておこう。

2.白杖の使い方のレクチャーを受ける

本格的に会場に入る前の小部屋で受け取るのが白杖(はくじょう)である。

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視覚障がい者の人が歩行する際に使用しているこの杖、一般の人が手にする機会自体が稀だと思う。持った際の持ち手が自分の胸と腹部の間にくるくらいの長さが適当だそうで、各自で自分にあった白杖を選ぶことを勧められる。なお、この小部屋で参加者は初めて視覚障がい者のアテンドの方と出会い、白杖の使い方のレクチャーを受ける。白杖のレクチャー以外にも「暗闇の中では安全のためお互いに声を掛け合うこと」「手を前に出すときは手の甲側を外に向けると相手も自分も傷つけない」等、暗闇に入るという体験がなければ意識もしないようなアドバイスがあってためになる。

3.暗闇の中を冒険する

さらに1段階明るさを落とした部屋で目を慣らせたあとは、ついに完全な暗闇の中に入っていく。ここからは白杖や手を使った触覚はもちろんのこと、聴覚、嗅覚を使って自分の周りに広がる世界を把握していく。普段視覚に頼っている私達からすると、「何も見えない=何もわからない」と考えてしまいがちだが、全くそんなことはない。白杖や足から伝わってくる情報は地面の硬さや段差の存在を教えてくるし、しゃがみこんで手探りで触れたものを確かめてみると、それがかなりの重さのある石だったり、手すりのない橋であることが判ったりする。視覚情報以外にもこの世界は情報にあふれている、そのことにすぐ気づかされるはずだ。暗闇の空間の中には実に色々なものが存在するのだが、ここで詳しく述べるのは控えておこうと思う。これから体験する人の楽しみを奪ってしまうかもしれないし、そもそもそこに存在するものの全てを私が知っているわけでもないからだ(それ以前に空間の広さがどれだけあるのか参加者には判らない)。

暗闇の中には芝生もある。今回はファイナルver.ということもあり、芝生に座って4人の小グループで各々の「出発」について語り合う時間があった。演劇をやっている人、音楽活動をしている人、色々な参加者がいたがとりわけ印象的だったのは8月にモンゴルに「出発」するという女性。ゲオ(=モンゴルの伝統的住居)に泊まりながら遊牧民の暮らしを取材するのだそうだ。暗闇に入って30分もすると開始前のよそよそしさはすっかりなくなり、互いに名前を呼び合いながら和やかにコミュニケーションできていたのが印象的だった。

暗闇の中にはカフェだってある。暗闇の中にあったドアを開けて中に入り、ロングテーブルの前にあるチェアに腰掛けたら、アルコールを含むドリンクの注文をアテンドとは別の店員の方に伝える仕組みとなっていた。ちなみにこの日はソフトドリンク3種、アルコール飲料3種が提供されていた。当然お金のやり取りも暗闇の中で行われるとのことで、少し意地悪をして「1,000円札を10,000円として出したらどうするか?」と訊いたところ「長さですぐ判る」とのこと。…さすがである。ビールを注文した参加者は瓶ビールが提供されたらしく、みんなグラスに注いでいるビールの量が判らず苦労していたようだ(参加者の1人はグラスの中に指を入れて確かめたとか)。

4.感想を語り合いながら、自分にとって「出発」を用紙に書く

暗闇での体験が終了する前は、再び目を明るさに慣らしていくため、明るさを落とした小部屋でソファに腰掛けながら口々に感想を語る時間があった。もちろん参加者によって感じることは異なるのだが、中に共通している感想もあって、その1つが「安心感」だったように思う。暗闇の中の体験となるとむしろ「不安」の方が来そうだがそうはならないところが面白い。私が思うに、これには「声」の存在が大きいのだと思う。暗闇の中でお互いの存在を伝えるのは「声」である。この声、暗闇の中ではむしろ明るいところよりも雄弁に飛び交うので、不安になることがないのだ。そして互いに姿が見えないこともあってここで語られる言葉の中は、飾り気のないものが多い。そのことがまた私たちを安心させる。

なお、今回はファイナルver.ということもあり、各自が自分にとっての「出発」とは何かを用紙に書く時間があった。

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ここで書いた用紙は、この後ロビーに戻ってから順番に発表した後、壁に貼られたメッセージボードに貼られた。

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私たちは先行体験ということで1組目だったため、まだメッセージボードは空の状態だったがこれから回が進むにつれて賑やかになっていくだろう。

■DIDを体験して感じたこと

私はDIDを3回経験しているが、ここに来るたびに忘れていて感覚を取り戻すような気持ちになる。暗闇に入るとみんな思い思いに探索を始めたり(お互いの声が全然違う方向から聞こえることからそれが判る)、率直に感じたことを口にしたりと、とにかく自由なのだ。そして、それが私たちの本来の姿なのだろうと思う。だからその感覚を思い出したくて何度もこの場所に戻って来てしまう。

■DIDを体験するにはどうすればいいか?

冒頭で述べたように、渋谷区外苑前の常設会場は8月31日で終了とのことで、ファイナルverとなる最後の会期が7月14日から8月31日まで開催されている。7月14日現在、まだ予約に空きがあるのでこの機会に是非体験してもらいたい。今回が現在の常設会場で体験できる最後の機会だ。90分のプログラムで料金は税込み5,000円(別途、学生料金あり)。空き照会・予約はDIDの公式HPから行う。

■DIDは今後どうなるのか?

今後の東京の常設会場については残念ながら現時点で未定とのこと。現在の神宮前の常設会場に代わる場所を東京で探しているとのこと。いつの日か再び東京で常設会場を構えることを待ちたいと思う。その一方、ビジネス向けのプログラムは都内別会場で開催、大阪で定期開催されている「対話のある家」については継続されるそうなので、今後はこちらでの体験も検討してみてはいかがだろうか。開催概要等はDIDの公式HPをチェックしてもらいたい。

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■関連情報
http://www.dialoginthedark.com/

text/Wataru KOUCHI

趣味は合唱、読書、語学、旅行、美術館巡り、雑貨屋探索etc...日本、海外の雑貨やガジェット、デザインコンセプトの中から思わず「それ、いただき!」と言ってしまうモノ達を紹介するライター。

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