「また使う可能性を否定しません」二度の薬物逮捕からの復帰。『下妻物語』で知られる“乙女のカリスマ”嶽本野ばら、今の心境を告白

「また使う可能性を否定しません」二度の薬物逮捕からの復帰。『下妻物語』で知られる“乙女のカリスマ”嶽本野ばら、今の心境を告白

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2016/10/19
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『落花生』(サイゾー)

“乙女のカリスマ”として多くの女性の心を掴んだ小説家の、二度の薬物による逮捕。その裏側には一体何があったのだろうか。彼は一体今、どのような生活を送っているのだろうか。

その小説家とは、『下妻物語』『ロリヰタ』などの著作で知られる嶽本野ばら氏。2007年には大麻所持、2015年には麻薬成分が含まれた危険ドラッグ所持で、二度逮捕された彼が、今の心境を最新エッセイ『落花生』(サイゾー)に綴っている。

「きっと怒られるでしょうが、僕は君に、三度、薬物を使用しないという誓いを立てません。止めるつもりはしているけれど、また使う可能性を否定しません。二回、逮捕されているような僕が、すっかり心を入れ替えるなんて無理なのです」

嶽本氏のエッセイは、なんと攻撃的なことだろう。だが、過激な文面に比べて、彼の薬物依存の治療のための生活は、非常に穏やか。現在、嶽本氏は、およそ30年ぶりに戻った故郷・京都で母・妹との同居生活を送っている。今は家族に養われている身。作品を執筆する以外は、薬物依存治療のための精神科病院に行くことが、唯一の楽しみだという。

供述調書では、長年の金銭的債務の苦痛から逃避するために薬物を使用したと応えたが、今の嶽本氏に言わせれば、「そんなものは方便」。彼は自身のことを反抗的な人間だと評し、決められたことには、意味なく逆らってしまうのだという。違法だから使いたくなってしまう。二度目の逮捕前、嶽本氏は、ハーブを吸いながら、上野の博物館で開催されている仏像展を観にいっていた。「仏像観ながらラリっていたのだから、バチが当たった」。嶽本氏は独自の視点で、薬物使用当時のこと、そして、留置所での生活を振り返る。

一度目の逮捕時、嶽本氏は、手厚い待遇を受け、9室しか留置房のない警視庁本部に入れられた。そこは全て独房で、幹部クラスのヤクザや重大事件の被疑者など、ちょっとやそっとの悪事を働いた者では入れないところ。「有名人らしいから」という配慮のため、優遇されていたらしい。

だが、二度目 の逮捕の時は、取り調べを受けた上野留置施設にそのまま入れられてしまった。既に先客のいる房に入るように指示されたため、「相部屋では困る、独房にしてください」と頼み込んだ。理由は、「あんな狭いところで、むくつけき男たちと寝起きするなんて嫌だ」と思ったため。そうして見事、1人部屋をゲットしたのだという。だが、次第に監房が混み始め、ほとんどの房が3~4人で寝食をともにするようになると、嶽本氏も段々申し訳なくなってきた。そこで、途中から「相部屋でもいい」と申し出ると、「ここはホテルじゃない!」と逆に叱られてしまったそうだ。

裁判では、つい、裁判官の纏う法服の布地が異なっているのが気になってしまった。尋ねてみると、通常の裁判官よりも、裁判長のほうが高価な布地の法服だということを教えられた。相部屋を嫌がるのも、法服に目がいくのも、なんとも“乙女のカリスマ”嶽本氏らしい。

「『落花生』――字面は美しいが、要はピーナッツだ。でも花言葉は“仲良し”。眼を背けたい自分とも仲良くしてあげる。……そのような想いが込められているかどうかは、各位の想像にお任せしたい」

この作品は、攻撃的な文体に少しヒヤヒヤさせられながらも、女性ならば、彼の豊かな感性に惹き付けられてしまうエッセイ集だ。この本を手にした者は皆、彼が二度と薬物に手を出さないことを切に願ってしまう。そして、これからもどうか乙女たちのために乙女を虜にするような作品を執筆し続けてほしい。

文=アサトーミナミ

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