「外で遊べ」と言われても外で遊べない...令和に生きる小学生の日常

「外で遊べ」と言われても外で遊べない...令和に生きる小学生の日常

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/11/20
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ある小学校4年生の男の子の実話である。友人宅のマンションに遊びに行き、部屋で相撲をとっていたら、友人のお母さんに「下の人の迷惑になるから外で遊んでいらっしゃい」と言われたという。確かにドスンドスン音がしてしまうとクレームがくるかもしれない。

そこでマンションの周りでおにごっこをしたら、マンションの住人に「公園へいけ、ここは遊び場じゃない」と怒られた。午後まだ早い時間だったので公園に場所を変えた。大声で走り回ってたら「声がうるさい」「小さい子がいるのに危ない」と言われ、仕方なくボールでリフティングをしたら「ボールを蹴るな」と言われたという。まるでコントのような展開だ。

それでは現代の子どもたちってどうやって遊んでいるのか。そしてそれは「不健康」なのか。自ら小学2年生の男の子の父親である海猫沢めろんさんの実体験から伝えてもらおう。

海猫沢めろんさん原作・ホストの子育てを超リアルだけどあり得ない展開で描いた漫画『キッズファイヤー・ドットコム』試し読みはこちら

「子供を外で遊ばさんといかんで」

先日、インフルエンザの予防接種を受けるために訪れた病院の待合室でのことだった。おとなしくゲームをしていたうちの子供を見て、見知らぬ老人がぼくに話しかけてきた。

「あんた、子供にゲームばっかりやらせとらんで、外で遊ばさんといかんで」

突然の説教口調に戸惑っていると、

「このくらいの歳だとボール遊びとか、かけっことかさせんと」

と続ける。

思わず、「大丈夫です! やってます! ゲームのなかで!」と言いそうになったが、面倒なことになりそうなので、

「いやー、でもおじいちゃん、最近はそういうの難しい時代なんですよ」

とお茶を濁したのだが、よくわからんという顔をされた。

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広い場所と、周囲の理解。それは子どもの外遊びには間違いなく必要なもの Photo by iStock

確かにおじいちゃんの言うことも理解できなくはない……だが、本当に時代が違うのである。

帰ってくるなり玄関にランドセルを投げ捨て、「いってきまーす!」と、元気よく公園に出かけていく子供。その背中に投げかけられる「宿題やったの!?」という母親の言葉もむなしく、日が暮れるまでサッカーや野球や鬼ごっこをしては泥だらけで帰ってきて「もう!こんなに汚して! はやくお風呂に入りなさい! 宿題も終わってないでしょ」なんて怒られながらも、夕食を家族みんなで囲む……。

おじいちゃんの想像する昭和的風景は、おそらくこのようなものだろう。
しかし……残念ながらこんな風景は令和には存在しようがない。

ボール遊びも大声も禁止!

先日このような記事が話題になった。

ボール遊びも大声も禁止…「そして誰もいなくなった」
https://maidonanews.jp/article/12871400

ボール遊びや大声が禁止になった公園についてのツイートをしたところ、いろいろな人からの反響があったという記事だ。どうもコメント欄を読んでいると、多くの人が老人やクレーマーの度を過ぎた神経質な対応に怒りを覚えているらしい。が……都内で子育てしている親ならあまり驚きもしないだろう。ぼくも「なぜ今頃この話題が……」と思った。なぜならもう10年近く前からすでに都内の公園や団地の中庭ではボール遊び禁止のところがあったし、大声がうるさいという苦情もネットでよく出る話だったからだ。

ぼくは4年前に九州のほうに引っ越したが、こちらの公園でも、都内ほどではないにしろボール遊び禁止の公園がある。特に市内。逆に田舎は土地が余っているせいか、おおらかというか無頓着だ。

ともかくいまの子供たちは公園で遊ばないのではなく、遊べないのである。この状況で体を動かそうとすればスイミングスクールやサッカー教室などの習い事に通わせるしかない。しかし、習い事も毎日あるわけではない。それ以外の時に子供たちはどうやって遊んでいるのか? 当然ながらゲームをやるしかない。

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習い事だってお金もかかるし、誰だって行けるものではない。中高生になったら部活で身体を動かすこともできるだろうが、小学生が身体を動かして遊ぶハードルは低くないのだ Photo by iStock

令和に生きる小学生の日常

令和に生きる小学生の日常はこうである。

「ただいまー!」帰って来るなりランドセルを投げ捨て、まずは宿題を終わらせる。塾の宿題は朝終わらせているので夕方は学校の宿題である。それが終わるとマイクつきのヘッドセットをつけてテレビの前の任天堂switchをオン。ネットに接続。ゲームソフトを起動。

「○○くんいるー? きこえるー? 今日はなにする?」

ネットを経由して数人が会話しながらゲームをすすめる。しばらくして、

「あ、そろそろご飯だから切るねーまた明日」

これだ。

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「友達との遊び」中 Photo by iStock

そう、令和の小学生の遊び場はすでにインターネット内のバーチャル空間なのである。我々大人の世代にはフィクションだった光景が今は普通にそこにあるのだ。

試しに「コロコロコミック」を読んでみるといいだろう。今そこでポケモンやカードゲームと同じように特集されているのは、バーチャルレゴブロックとも言える「マインクラフト」や、アメリカのEpic Gamesが作っている無料ゲーム「フォートナイト」である。これはひとつの巨大な島を舞台に100人のプレイヤーが最後の一人になるまで戦うバトル・ロワイヤルで、長くても1ゲーム20分ほど。チームを組んで戦うこともできる。

ぼくの家では休日に親子でアスレチックに行くかわりに2人でフォートナイトをプレイしたり、あるいは友達と公園の砂場で遊ぶかわりに、東京にいる友人親子とぼくら、4人でマインクラフトをマルチプレイすることもある。

おじいちゃんだって外で遊べないのかも

こうした状況が良いのか悪いのか、正直言ってぼくにはわからない。ただ、ぼくらが小学生の頃、大人たちが嫌っていたファミコンや漫画が、いまとなっては立派な日本を代表するコンテンツになっている例を忘れてはいけない。

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ヨーロッパ最大のコンピューターゲームエキジビジョンで、マインクラフトの画面を前にするドイツのメルケル首相。若い人を理解するにはゲームの理解は外せなくなっている Photo by Jasper Juinen/Bloomberg via Getty Images

少なくともぼくは、あのころゲームや漫画を馬鹿した大人への憎しみをいまだに忘れていない。

そんなことを思い出していたらだんだん腹が立ってきて、老人になにか言いたくなってきた。じっと老人を見ていると、ぼくの不穏な空気に気づいたのか、ぼくから目をそらし、ゲームをプレイしている子供の横に座った。そして、おもむろにスマホを取り出し、画面をクリックしはじめる。

さりげなく画面を確認すると、老人はツムツムをプレイしていた。

おじいちゃん……公園でゲートボールやったほうがいいよ……!

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Photo by iStock

そんな言葉がこみあげてきたが、あえてぼくはなにも言わなかった。

そういえば最近は公園でゲートボールする老人も少なくなった。「老人の声がうるさい」と言われ、ぼくの知らないところで彼らも場所を奪われているのかも知れない。ヴァーチャル世界にも現実にも居場所がないとしたら、老人のほうが子供よりも辛い可能性だってあるのだ。老人相手にスマホ教室なんてやってる場合じゃない。孫とコミュニケーションがとりたければ、老人たちはいますぐ「コロコロコミック」を読んで、フォートナイトをやるべきである。

いつか子供とぼくとおじいちゃんでチームを組んでフォートナイトをプレイする未来を夢見て、ぼくらは病院をあとにした。

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