米国からサイバー攻撃があったら...日本は“丸裸の赤子”同然?

米国からサイバー攻撃があったら...日本は“丸裸の赤子”同然?

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  • 更新日:2017/12/07
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大手IT企業「日商エレクトロニクス」の監視センター。顧客が受けているサイバー攻撃の状況を365日、24時間監視している(撮影/伊ケ崎忍)

個人や企業はもちろん、国にとっても大きな脅威となりうるサイバー攻撃。しかしそのための情報武装に関して、日本は場合によっては“丸裸の赤子”同然とも言える状態だ。

【日本はどの位あった?11月29日に観測した国別サイバー攻撃の数はこちら】

サイバー空間の病勢はこうしている今も進行している。11月下旬、ライドシェア(相乗り)大手のウーバー・テクノロジーズがサイバー攻撃で顧客とドライバーのあわせて5700万人分の個人情報を流出させていた事実が判明。少し前にはロシアがトランプ氏を米大統領選に勝たせるため、クリントン陣営のメールを奪取した上で内部告発サイト「ウィキリークス」に提供し、クリントン氏が不利になる状況をつくり出していたことが疑惑として浮上し、実際、当時のオバマ大統領は、その報復措置としてロシアの外交官など35人を国外追放した。

国家間をまたいだ国際問題となると、多くの人々にとって雲の上の話に聞こえるが、国際政治の舞台で駆使されるサイバー攻撃も、企業や個人の情報(銀行口座番号やクレジットカード番号)を奪うサイバー攻撃も根は同じだ。盗んだ情報を政治的に利用するか、金銭に換えるか、その目的が異なるだけで、やっていることは変わらない。

悪意を持って侵入するブラックハッカーの男はこう言う。

「ブラックハッカーが悪いと非難するのは勝手だが、表向きまっとうなサービスを提供している企業でも、裏では、えぐいことをやっているよ」

その言葉を裏打ちするように、例えば最近では、グーグルが「アンドロイド」スマホでユーザーの位置情報を無断で常時収集していたことが発覚。非難の的になったほか、GMOインターネットから流出した個人情報がアマゾンジャパンの「キンドルストア」で販売されていたことも判明し、両社のチェック体制の甘さが問われている。

一方で、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」はインターネット経由で日々アップグレードを行っている。利便性向上、セキュリティー向上が目的のサービスで、利用者から文句が出ることもないのだろうが、ネット経由でパソコンやスマホに入り込むわけだから、技術的な手法だけ見れば、ブラックハッカーが実践する“サイバー攻撃”と同じだ。

実はこれらの企業には共通点がある。GMOインターネット以外は米国IT企業なのだ。

現状の日米関係はかつてなく良好で、対立する雰囲気はない。だが、仮に関係がぎくしゃくして敵対しようものなら、日本のあらゆる情報はこうしたIT企業を経由して米国に渡る。というより、すでにすべて吸い取られている、と考えるのが妥当だ。情報武装において日本は“丸裸の赤子”同然なのだ。

なぜこんな事態に陥っているのか。それは日本独自のIT技術が育たなかったためだ。これは、平時は気にならなくても、いざという時は大変な問題になる。この問題について、サイバーセキュリティーの研究などを行うFFRIの鵜飼裕司社長はこう話していた。

「私が米国企業に勤めていた時、日本でサイバー攻撃に関するある脅威が発生した。しかし、日本には基礎技術がないので、どうにもできない。私の勤めていた会社にはその脅威に対抗する技術があったので、『何とか助けられないか』と提案したが、『日本市場は米国の10分の1しかないので無理だ』とすげなく断られた。この時、何かあった時のためにも、自分たちで対処できる技術を持たなければならないと痛感した」

ただ、日本に技術力がないわけではない。実は、かつては米国よりも進んでいた。

例えば、日の丸OS「TRON」。開発がスタートしたのは1984年でウィンドウズの先を行く技術だった。複雑な経緯から広く普及するに及ばなかったが、このような技術が国内に定着していれば、日本のIT産業やインターネットの状況は今とは全く異なる風景になっていたかもしれない。要はサイバー攻撃の脅威は変わらないとしても、“情報武装”はもっとましなものになり、日本の機密情報や個人情報がこれほどあられもなく扱われることはなかったのではないか、ということだ。(電経新聞編集長・北島圭)

※AERA 2017年12月11日号より抜粋

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