金より愛子:ハリーウィンストンより、愛!?「お金より愛が勝つ」を現実にする29歳女、現る!

金より愛子:ハリーウィンストンより、愛!?「お金より愛が勝つ」を現実にする29歳女、現る!

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  • 更新日:2017/11/19

結婚に必要なのは、お金or愛?

それは、女にとって永遠のテーマである。

“最後は愛が勝つ”と信じたくてもそれは理想論だということに、女たちは徐々に気づいていくのだ。

しかし「お金より愛が勝つ」と言い切る、ある女がいた。

その名は、愛子。

金に糸目がない女だらけの東京において、愛子は信念を貫き、幸せな結婚生活を勝ちとれるのか?

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子供の頃、冗談まじりで遊んだゲームに、「究極の選択」という遊びがあった。

“お金か愛、ひとつだけ選ぶならどっち?”

その質問に、愛子はこれまで迷うことなく答えてきた。「お金より、愛」だと—。

「お帰り。ちょうどご飯、できたところだよ」

残業が終わり家に帰ると、恋人である知樹の声が、お湯を沸かす音と共にキッチンから聞こえてきた。

愛子は、29歳になるまで、恋人や結婚相手の条件に「年収」を求めたことが一度もない。

しかし周りの女たちは、そうではなかった。たとえば愛子の親友・明日香は、大学生の頃から、日吉キャンパスに溢れかえる男子学生たちには目もくれず、マスコミに就職した先輩や商社マンとの食事会にばかり繰り出していた。

「同い年の男なんて、お金も車もないじゃない」

それが明日香の口癖だった。

その頃巷ではバレンシアガのバッグが大流行していて、ある日、明日香がバレンシアガを持って大学に現れた。社会人の彼氏におねだりして買ってもらったのだという。周りの女の子たちも続々と、親に同じバッグを買ってもらった。

愛子が母親に「みんなバレンシアガ持ってるのに、私だけ持ってないの」とぼやくと、翌日、母が愛子に持ってきたのはカバンではなく、知人の会社のバイトの求人だった。

「愛子、欲しいものがあるなら自分で稼いで買いなさい。自分で努力して手に入れた物の方が何倍も価値があるわよ」

母はそう言って、豪快に笑った。

そんな母のおかげだろうか。愛子には学生の頃から、お金は自分で稼ぐものだという考えが当然のように根付いていた。大学卒業後は、大手広告代理店へ就職した。

愛子の恋人・知樹は、同じ大学を卒業し、国内最大手の通信会社で働いている。知樹の趣味は料理で、その腕前はプロも顔負けだ。一緒に暮らすようになってから、夕食を作るのは知樹で、週末にまとめて掃除をするのが愛子の役目だった。

その日知樹が作った、愛子好みに味付けされた激辛の麻婆豆腐を食べながら、何気なく呟いた。

「私、これからもずーっと、トモくんのお料理食べたいなあ」

すると知樹は笑って言った。

「明日もあさっても、おばあちゃんになっても毎日食べられるよ」

愛子がきょとんとした顔をすると、知樹は続けてこう言ったのだ。

「俺たち、そろそろ結婚しようか」

愛子を驚かせた、親友の婚約指輪とは?

親友の婚約指輪

こうして、愛子と知樹は結婚をすることになった。世の女たちが夢見るような、片膝をついて指輪を差し出すプロポーズとは程遠いが、充分だった。

ところが親友の明日香は、それを聞いて口を尖らせた。

「えーーーっ、ありえない。夕飯のついでにプロポーズされたってこと?愛の告白は?婚約指輪、パカッ!てやつは?」

「いいのいいの。このくらいが、私とトモくんらしいでしょ」

愛子は笑って答えた。

今日は、大学時代の友人たちと『石頭楼』に集合している。胡麻油が香る石鍋を食べながら、友人の一人が羨ましそうにため息をついた。

「それにしても、愛子と明日香、ほぼ同時に結婚が決まるなんてねえ」

明日香の婚約相手は、36歳の医師である。現在は大学病院勤務だが、ゆくゆくは父親の病院の跡取りとなるそうだ。

明日香は両手を頬に当て、うっとりとした目で語る。

「プロポーズされた時は、感動して泣いちゃった。それに私の彼は、ちゃーんとパカッてやつ、やってくれたわよぉ」

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その左手の薬指には目が眩むような大粒のダイヤが光り輝いている。女たちから一気に歓声があがった。

「ちょっと!それ、ハリーウィンストンのマイクロ・パヴェじゃない。ダイヤは1カラット!?」

「ううん、1.28カラット。結婚指輪もマイクロ・パヴェのバンドリングにしようと思うの。重ねづけ、夢だったんだぁ」

みんなで美術品を鑑賞するかのように明日香の指輪をさんざん眺め終えると、一同の視線は突然、愛子の左手に集中した。

「で、愛子の婚約指輪は?」

愛子は困ってしまった。会話の成り行きみたいな勢いで結婚を決めたのもあって、指輪の話はまだしていなかったのだ。

それに正直、婚約指輪というものにはそこまで執着がない。

「婚約指輪かぁ。正直、無くても構わないくらいかも」

愛子がそう言うと、明日香が哀れみの目で愛子を見つめる。

「まあ、中途半端な婚約指輪もらうくらいだったら、無い方がマシだもんね」

そういうつもりで言ったわけではないのだが、反論するのも面倒なので、適当に頷きながらふと考えた。

さすがに明日香ほど高価な物を選ばなかったとしても、婚約指輪はどれも決して安い買い物ではない。

これまであまり気に留めたことはなかったが、愛子の稼ぎは知樹の年収を優に超えている。そんな知樹に大金を使わせることはなんだか忍びない。

それに婚約指輪なんて身につける機会はそう頻繁にないだろうし、だったら新婚生活にかかる必要な出費に回した方がよっぽど賢い気がする。

しかし明日香は、腕組みをしながら愛子に言った。

「愛子はさ、昔から可愛げが足りないのよ。まるで愛子が一家の主みたいに働くんじゃなくて、もっと知樹くんをたててあげないとね。甘えた声でおねだりすればダイヤの一つや二つ、知樹くんだって買ってくれると思うなあ」

愛子は可愛げのない女なのか。知樹の本心は?

可愛げのない女

愛子は、広告代理店で営業を担当している。担当クライアントは大手携帯電話キャリアで、近頃では花形部署のうちのひとつだ。チームメンバーの男たちに揉まれながら、愛子は日々やり甲斐を感じていた。

ある日、愛子は外で素早いランチを済ませ、会社の廊下を歩いていた。身長167cmの愛子がピンヒールを履いて歩くだけで、男たちが思わず怯んでしまうような堂々とした空気感が漂う。

オフィスに入ろうとしたそのとき、部屋の中から同僚の男たちの会話が聞こえてきた。

「知ってるか?あいつ、ついに結婚するらしいぞ」

「本当に?指輪してたか?」

「してなかったな。旦那も自分より年収高い女に宝石買う気になれないだろうなあ。会議で男を言い負かすみたいに、家でも旦那を尻にしいてるのが目に浮かぶよ。俺だったら、いくら美人でも、あんな可愛げのない奥さんは嫌だなあ」

そして男たちは大声で笑っている。

愛子はその日、沈んだ気分で帰宅した。玄関のドアを開けると、味噌汁の良い香りが家中に漂っている。

愛子は食事をしながら、知樹に尋ねた。

「ねえ、トモくんはさ、もっと私に、可愛い奥さんで居てほしいとか思わないの?」

知樹は箸を動かす手を止めて、驚いている。

「たとえば、仕事もセーブして、毎日おいしいご飯を作って待っててくれる、可愛い奥さんで居てほしいとか思わない?」

愛子がぼそぼそと言うと、知樹は笑い出した。

「愛子、カレーしか作れないじゃん。毎日、夕飯がカレーなのはちょっとなあ」

「そういうことじゃないんだってば…」

愛子は大きくため息をついたが、知樹は得意げな顔をする。

「俺、会社で同僚に自慢してるよ。俺の奥さんになる人は、美人な上に自立していて、ものすごくかっこいいんだって」

愛子は鼻の奥がつんとして、慌てて味噌汁を飲み込んだ。知樹は呑気な声で、なんだか無性に愛子のカレーが食べたくなった、と言って笑った。

数日後、愛子が家に帰ると、珍しく知樹の姿が見えない。LINEを開いたら、今日は少し遅くなるという連絡が入っていた。

愛子は気合いを入れて立ち上がり、キッチンに向かった。

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カレーを煮込んでいると、電話が鳴った。明日香からだ。

「もしもし。あの後考えたんだけどさ、婚約指輪の話、愛子が言いにくいなら私から知樹くんに話してあげようか?愛子も強がってるけど、本心ではハリーウィンストンが欲しいんでしょう?」

しかし愛子はきっぱり答えた。

「ううん。私、決めたの。ジュエリーは、独身最後のボーナス使って、自分で買う」

驚いて言葉を失っている明日香に、愛子は言った。

「私がトモくんから貰いたいのは、お金で買えるようなものじゃないもん」

電話を切って、カレーが出来上がった頃にようやく知樹が帰宅した。

「どうしたの。残業?」

愛子が尋ねると、知樹は言葉を濁している。そのとき、パンパンに膨れ上がった知樹のカバンが目に入った。何それ、と聞いても知樹は黙ったままだ。

カバンの中を覗き込むと、中には大量のエンゲージリングのカタログが入っている。

「あーあ…見つかっちゃった」

そう言って頭を掻く知樹の笑顔は、明日香に見せられた1.28カラットのダイヤモンドよりずっと眩しくて、温かかった。

▶Next:11月20日月曜更新予定
高級マンションより、愛!?超豪華な明日香の新居に招待される愛子。

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