ドイツ連立交渉決裂どうなる、5つのシナリオ

ドイツ連立交渉決裂どうなる、5つのシナリオ

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/11/21
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【ベルリン】ドイツのアンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)、そして緑の党による3党連立交渉が打ち切られた。同国は過去数十年で最も深刻な政治的危機に陥っている。欧州最大の経済大国が安定し、政府が議会の過半数から支持を得て安定した政権運営を行えるようになるまでは数カ月かかる可能性もある。

一方、現在の混沌(こんとん)とした状況の行く末はいくつかのシナリオに絞られるだろうと関係者や専門家は話す。現実的なものから、とっぴなものまで、ドイツで起こり得る5つのシナリオを以下にまとめた。

1.再選挙の実施

ドイツの憲法では、議会の協議がまとまらず新たな首相を選出できない場合に限り、大統領が解散総選挙の判断を下す権利を持つ。この条件を含むさまざまなハードルがあるため、仮に新たな選挙が行われるとしても、実施は早くても年明け以降になる可能性が高い。つまりドイツでは数週間にわたり政府トップの不在が続くことになる。連立交渉にも参加した緑の党の幹部、ユルゲン・トリッティン氏は20日、来年の3月末までに選挙が行われるだろうと述べた。

政局の安定を求めて有権者がメルケル氏支持に回れば、解散選挙でも同氏を中心とする保守派が有利になると考えられる。

世論調査機関フォルサの代表、マンフレート・ゲルナー氏は、「選挙以降もメルケル氏の支持率は驚くほど安定している」と指摘。「連立交渉が打ち切られたことで、有権者が同氏を責めるとはまったく思えない」と続ける。

ただし新たな選挙が実施されたとしても、政局の行き詰まりが解消されるとは限らない。ゲルナー氏によれば、先週末までに行われた世論調査では2カ月前とほぼ同じ議会構成になる予測が出ており、この場合メルケル氏が抱えるジレンマは解消されない。

2.少数与党政権の樹立

議会の過半数を占める勢力が存在しないため、メルケル氏が次の選挙まで少数与党政権を樹立し、時間稼ぎをしつつ支持拡大を狙う可能性もある。この場合、政府は全ての法案について、ひとつひとつ野党側と交渉する必要が生じる。

戦後ドイツでは少数与党政権は例外的に数回発足したが、どれも数週間しか続かなかった。ただしドイツ連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)でねじれが生じている場合、政府が野党に歩み寄り法案への支持を求めることは一般的だ。自由民主党(FDP)と急進的な左派党は20日、ケース・バイ・ケースで少数与党政権を支持する可能性もあると述べている。

https://asset.wsj.net/dynamic-insets/ai2dynamic/1511196573781.json

3.大連立の可能性

メルケル氏が中道左派野党の社会民主党(SPD)に歩み寄り、解消された大連立政権を新たに立ち上げるため参加を求める可能性もある。SPDは今のところそのシナリオを否定しているが、再び選挙が実施される可能性が高まればその考えを改めるかもしれないと話す専門家もいる。これはSPDが2カ月前の選挙で惨敗し、現在も支持率が低迷しているほか、指導部の求心力も弱まっているため、間を置かず再び有権者の判断をあおぎたくないからだ。

4.連立交渉の再開

FDPのクリスチャン・リントナー党首は19日深夜、交渉の場から立ち去った。同氏の固い意志を疑う余地はない。一方でリントナー氏の判断は他の交渉参加者に大きな驚きを持って迎えられたため、中には停滞した交渉を大きく揺さぶるための大胆な策略だとする見方もある。ただしFDPは20日の時点でも連立交渉再開の意志を全く示していない。

5.メルケル氏の党首辞任

メルケル氏は退屈な展開に終わった総選挙で勝利を収めながらも、議会で多数派をまとめることができなかった。これを受けて有権者からの支持が離れていけば、メルケル氏がCDUのトップから降りる選択をするかもしれない。

メルケル氏が党首の座を明け渡し、新たな指導者がSPDに歩み寄って大連立政権を発足させるか、あるいは総選挙に向けて仕切り直すかーー。同党内の保守派議員の中にはそのようなシナリオを描く人もいると、党内のある関係者は明かす。

しかし現時点ではメルケル氏に匹敵するほどの人気を持つ人物が党内に見当たらないため、そのような動きはより大きな賭けになる。

フォルサのゲルナー氏は「何が起こるか予測することは不可能だ」とし、「このような状況に置かれたことは、これまでなかった」と述べた。

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