なぜ「ゾンビ」が登場する映画が大量に作られるようになったのか?

なぜ「ゾンビ」が登場する映画が大量に作られるようになったのか?

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  • 更新日:2019/08/25
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ゾンビは何らかの理由で死体のままよみがえった人間として知られ、腐ったまま歩き回ったり生きている人間を襲ったりすると考えられています。今や数多くのホラー映画などに登場するメジャーな存在となったゾンビですが、一体どのようにして数多くの映像作品に登場するようになったのかを解説するムービーが、YouTubeで公開されています。

Where Zombies Come From - YouTube

町の中をウロウロと怪しい足取りで歩くのは……

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大量のゾンビたち。もはや多くの映画などでおなじみの光景です。

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そんなゾンビのルーツといえる国が、西インド諸島に位置するハイチです。1915年から1934年までのおよそ20年間、アメリカはハイチを占領していました。

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その時代のアメリカ人が注目したのが、ハイチなどで信仰されているブードゥー教です。

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ブードゥー教は西アフリカの民間信仰や伝承がキリスト教と習合したことにより成立した信仰であり、ハイチや西アフリカのベナンなどに広く信者が存在します。

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そんなブードゥー教は黒人の文化に対する偏見や不安、恐怖、敵意なども相まってアメリカ人にとっては興味の対象となっており……

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アメリカの探検家・ジャーナリストであるウィリアム・シーブルックはハイチに渡り、ブードゥー教の存在をアメリカへと広めました。

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シーブルックがブードゥー教の信者に取材して1929年に著したのが、「The Magic Island」という書物でした。

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未知の不可思議な信仰についての書物は多くの人々の興味を引きましたが、その中でも取り分けて大きな注目を集めた内容がありました。その章タイトルは「DEAD MEN WORKING IN THE CANE FIELD(死んだ男たちがサトウキビ畑で働いている)」というもの。

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この中でシーブルックは「zombie」という言葉を用いて、ゾンビについての説明を行っています。シーブルックによると、ゾンビとは魂のない死体であり、死んでいるにもかかわらず墓から出され、魔術によって機械仕掛けのような生命を与えられるとのこと。

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シーブルックによると、ハイチではこうして作られたゾンビが奴隷として働かされているとされていますが、当時のゾンビは何も飲み食いする必要がない存在とされていました。つまり、よく知られている「人間を襲って肉を食べる」といった性質は、シーブルックの紹介したゾンビにはありませんでした。

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ちょうどシーブルックが「The Magic Island」を出版した直後、ハリウッドでは「魔人ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」といったホラー映画がヒットし、映画界は古典的なモンスターに代わる新たなモンスターを探していました。

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そこで1932年に公開された映画が「恐怖城(原題:White Zombie)」。恐怖城はゾンビをテーマとしたホラー映画の始祖といえる存在です。

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物語はニールとマデリーンという新婚の2人が、結婚式を挙げるためにハイチを訪れるところから始まります。ハイチの大地主であるボーマンという男の屋敷に招かれた2人ですが、実はボーマンは花嫁のマデリーンに横恋慕していました。

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そこでボーマンはブードゥー教の司祭であるルジャンドルの手を借り、マデリーンをゾンビにして自分のものにしようとする物語となっています。

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恐怖城は商業的成功を収めたものの、ゾンビそのものがドラキュラやフランケンシュタインほどの人気を得るには至りませんでした。しかし、その後「ゾンビの反乱」や「私はゾンビと歩いた!」といったゾンビ映画が登場することとなります。ただし、ゾンビ映画自体は次第に下火になっていきます。

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この頃の映画ではあくまでもシーブルックが紹介したような「主の言いつけに従う奴隷」としてゾンビが描かれており、近年のゾンビ映画に見られる無差別に人間を襲うといった性質は持っていませんでした。

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なお、おどろおどろしい見た目のゾンビは1966年公開の「吸血ゾンビ」で登場しましたが、依然としてブードゥー教の影響が強く残るゾンビ像となっています。

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そんなゾンビ映画に転機が訪れたのが1968年。21世紀に至るまでゾンビ映画の第一人者として名を知られているジョージ・A・ロメロ監督により……

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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が製作・公開されました。

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ナイト・オブ・ザ・リビングデッドは近年のゾンビ映画や漫画、TVドラマなどあらゆるゾンビ物に強い影響を与えた一作です。

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ロメロ監督が描くゾンビは主を持たず、人間の言うことなど聞きません。

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奴隷としてのゾンビではなく、単なる本能に従って行動する怪物となっています。

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主な行動原理は「生きている人間を追い求めて襲う」というもので……

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その肉を食べるというカニバリズム的な特性も、ナイト・オブ・ザ・リビングデッドによって浸透したものです。

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動きこそ鈍いものの……

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ゾンビたちは物を使って攻撃をし、容赦がありません。

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弱点は頭を撃ち抜かれるか、燃やされること。

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ひとたびゾンビになってしまっては……

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家族でさえ殺してしまいます。

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ここには、既にブードゥー教のゾンビの面影はありません。

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というのも、ロメロ監督はナイト・オブ・ザ・リビングデッドで描かれた怪物を、「ゾンビ」だと考えていなかったからです。ナイト・オブ・ザ・リビングデッドに登場する動く死者たちは、ゾンビではなくグールの流れをくむものでした。ところがこの後、生きた人間を襲い肉を食べる存在はゾンビと呼ばれるようになっていきます。

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ロメロ監督自身も1978年に「ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)」を製作し……

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ショッピングモール内での立てこもりやゾンビとの戦いを描いています。

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ロメロ監督の作品が後世に強い影響を残した理由として、何よりも映画そのもののクオリティが高い点が挙げられるとのこと。ナイト・オブ・ザ・リビングデッドでは残忍な生きる死体の性質をまざまざと表現し……

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「ゾンビ(Dawn of the Dead)」では、日常生活の中に浸透しているショッピングモールを舞台にゾンビを歩き回らせています。

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映画の中で、ゾンビの行動が人々の行動をグロテスクな鏡のように映しているとのこと。

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近年では映画の中だけでなく……

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ゲームの中でもゾンビは身近な存在です。

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また、ホラー映画だけでなく、コメディ寄りの映画にもゾンビが登場するようになりました。

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始まりはハイチの民間信仰から、長い年月をかけて近年のゾンビ像が作られてきたことがわかるムービーとなっていました。

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