フォックス・アンブレラの男:好きになってはいけない相手...品川駅に行く度に思い出す9歳年上の上司

フォックス・アンブレラの男:好きになってはいけない相手...品川駅に行く度に思い出す9歳年上の上司

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  • 更新日:2016/11/30

たかが、傘1本。されど、傘1本。

その傘に、男の哲学が宿る。

英国製の紳士淑女のための傘、フォックス・アンブレラ。英国王室御用達で約150年の伝統を持つ、細く巻け、開けている時も美しい、細身傘の代名詞だ。

そんなフォックス・アンブレラを愛する男、克典42歳。傘から垣間見える人間性と、そこで繰り広げられる人間模様。ミステリアスな克典を、傘を通じて様々な女性が振り返る。

前回は、数回デートを重ねたものの、突然、克典と連絡が取れなくなった聖子を紹介した。今回の語り手は...

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社内で一匹狼だった克典

克典さんは、私の会社の上司でした。

私・紗弥香は克典さんより9歳下で、彼は新卒時代に配属された部署の上司でした。その当時の克典さんは凄く怖くて。とは言っても、最近お会いしていないので、今もあのオーラがあるのかどうか分かりませんが。

—社内の一匹狼—

みんな陰でそう言ってました。仕事終わりに誰かと飲みに行くようなこともせず、上司や部下に媚を売ったりもせず。とにかく仕事が出来て、でも冷酷で。どこか寂しそうな目をしていた記憶があります。

「克典さん、飲みに行きませんか?」

「俺が飲みに行かないの知ってるだろ?プライベートはプライベートだから。」

毎回誘っても断られました。私の会社ですか?よくCMで流れている、千代田区にある人材系の会社です。これだけ言えば分かっちゃう人もいますよね(笑)優秀な人が集まるといわれている会社ですが、克典さんは群を抜いていましたね。追随を許さない感じでした。

でもある日のアポ帰りに、そんな孤高の克典さんを、上司としてだけではなく、男として好きになってしまいました。怖くて近づけない雲の上の存在に、惚れてしまったんです。

禁断の社内恋愛。紗弥香が克典に夢中になった、あるキッカケとは...

間接的に感じる、儚さの美学

あの日のことは、忘れもしません。

新卒時代に、新人研修と言いますか、営業回りがあって。その中で、それはそれは大きなミスを犯してしまって...ミスの内容ですか?信用問題に関わるので、言えませんよ(笑)二度と思い出したくもない、本当に致命的なミスでした。

で、クライアントさんは大激怒。先方の品川のオフィスビルまで、克典さんがわざわざ一緒に出向いて下さり謝罪しに行った日のことを、品川に行くたびに昨日のことのように思い出します。

「克典さん、すみません...」

それしか言えなくて。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで、どうしようもなくて。でも、克典さんは一言も怒らず、そっと微笑んでくれたんです。

「紗弥香、仕事って厳しいものだから。でも、そこに楽しさがあるから。」

そしてビルを出た途端に、雨が降り出しました。私の気持ちを反映するかのように、空は厚い雲に覆われていました。

「あー雨だね。紗弥香、どうせ傘とか持ってないんだろ?」

そう言って、バサッと克典さんが広げた傘。それは今まで見た中で一番美しく、濃い紺色をしていて。そして何かハッとするような動作でした。

滑らかに、そして美しくパッと花開く傘。雨の中、克典さんだけ雨に濡れていないような、そんな不思議な幻想的なシーンに見えたことを今でも思い出します。

「俺はこのままタクシーで次向かうから。その傘使っていいよ。」

そう言って、克典さんが私に貸してくれた傘の柄には、木の何とも言えない温かみ、そして克典さんの温もりも残っていました。

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その温もりを感じた途端、ポロポロと涙が溢れてきて...仕事でミスをして泣くなんてみっともない、と思っていましたが涙が止まらなくて。

背筋がピンと伸ばさなければならないような、気品漂う傘でそっと顔を隠し、品川駅近くの歩道橋で、大粒の涙をこぼしました。

大きくて、そして品がありながらも暖かいその傘の中にいると、何だか誰かに包まれているような、不思議な感覚になりました。一人じゃないんだなぁって。

それから、その間接的に感じた温もりが忘れられず、克典さんに会うたびにドキドキするようになってしまいました。煩わしい社内恋愛なんてしたくない、そう思っていたのに、その日以降克典さんに惹かれちゃったんです。

克典さんが既婚者だったかどうか、ですか?

いい所、突っ込みますね(笑)どうなんでしょうか。克典さんの口から、“二人で”いる時に家族のことを聞いたことは一度もありませんでした、とだけ言っておきます。

大人の魅力って、色々なことを経験して初めて醸し出るものですからね。

克典への憧れる思いを募らせていく紗弥香。しかし克典は突然...

女性にとって最大の賛辞を感じる瞬間

「克典さん、この傘不思議ですね。」

ある日会社からの帰り道、二人で傘に入っているときに思わず言った覚えがあります。

「どういう意味だよ(笑)でもこの傘は職人さんの愛情が詰まっているからね...その職人さんの思いを、ちゃんと感じ取れるのは良い女の証拠だな。」

良い男に、“良い女”って言ってもらえる時の嬉しさ、分かりますか?Sクラスだの美女だのなんて言われるより、何だか認められた気分になる“良い女”という言葉。クイーンの称号を手にしたような、自分を高めてくれる言葉です。

「いい女ってどういう女ですか?」

「良い女の定義かぁ...永遠に心の中にいて、忘れられないような女、かな。」

結局、それが克典さんと二人っきりで会った時の最後の会話でした。それから暫くして、克典さんが会社を辞めると聞きました。そして私が長期出張にから帰ってきた時には、もう克典さんは社内にいなくて。

まるで克典さんが存在すらしていなかったような不思議な空気。幻を見ていたのかと思うほど、克典さんがいない社内はいつも通りで、ただ静かに時間が流れていました。

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それから新しい上司になり、忙しい日々の中で克典さんのことを考える時間は短くなりました。でも雨が降り、傘を広げるたびにキュッと胸が締め付けられる思いがします。

そして今でも品川に行く度に、克典さんの傘を思い出します。あの日、涙したこと。そして感じた不思議な温もりとそっと抱きしめられるようなあの気持ち。

克典さんですか?

独立して何か事業をしている、とだけ聞きました。実際に克典さんが会社を辞めてから会った、という人は誰もいません。みんな連絡先も知らないみたいですから。本当、不思議な人ですよね。

でも、きっと大成功されていると思います。
孤独な目をした、一匹狼のままで。

【本日の対談相手】
名前:紗弥香
年齢:33歳
職業:人材派遣会社 営業
克典と出会った時期:10年前

次週12月7日水曜日更新
克典が惚れた女がついに登場!彼女へのプレゼントに隠された克典の人間性とは?

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