これぞニッポンのスクラムハーフ(SH)。類い稀なスピード、判断力で、相手を翻弄する高速アタックを牽引する。
1月16日(土)に開幕するトップリーグ2021で、注目したいスクラムハーフの一人がNTTコミュニケーションズ シャイニングアークスの湯本睦(ゆもと・あつし)だ。
出身の大阪・英田中は、東大阪市花園ラグビー場から最も近い中学校。高校代表、ジュニア・ジャパン、U20代表と、年代別代表の常連として早くから将来を嘱望され、東海大仰星高-東海大でも活躍した。
世代を代表する高速パサーはNTTコミュニケーションズで4年目を迎え、今シーズンは元スコットランド代表キャプテンのSHグレイグ・レイドローも新加入。「非常に勉強になります」と経緯を表しつつ、その呼び名は意外にも…!?
チーム初のトップ4を目指すNTTコミュニケーションズで、活躍が期待される高速SHに新シーズンの展望、プライベートまでを訊いた。

――まずはNTTコミュニケーションズのスタイルを教えてください。
チームとして「キープ・アタッキング・ビッグ・スペース」を掲げています。ボールをキープして大きいスペースにアタックすることが特徴です。観ている人がワクワクするような展開ラグビーができるよう、日々トレーニングをしています。
――展開ラグビーでは、スクラムハーフの役割が重要ですね。
一番ボールに触れる機会が多いポジションで、一つのパスで勝負が決まってくると思っています。良いパスを出すことがチームにとっても必要なことで、そこはすごく意識していますね。
――あらためてご自身の強みを挙げると?
ボールの展開の速さ、テンポのコントロールは強みだと思っています。僕自身がボールを持って走ることもひとつの武器で、テンポを出して味方のアタックをより有効的にすることは意識しています。
――元スコットランド代表のキャプテンであるSHグレイグ・レイドロー選手は競争相手になりますね。
本当にすごい選手が仲間になったなと思います。スコットランド代表の英雄として何年も前から見ていた選手で、練習に取り組む姿勢など、非常に勉強になります。練習が終わってからもいろいろ教えてもらっていますが、一方で負けないように頑張っています。
インタビュー動画
湯本睦選手インタビュー|ラグビー トップリーグ2021 NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス
――レイドロー選手はどんな特徴のあるスクラムハーフですか?
コミュニケーションをすごく大事にしています。あとキックが大きな武器です。キックでエリアをコントロールして自分のペースに持っていくのが彼のスタイルだと思います。
――レイドロー選手はチームでどう呼ばれていますか?
「G」(ジー)と呼ばれていますね。でも、なんで「G」なんですかね(笑)。グレイグ(GRAIG)の「G」ですかね。
僕はたまに「じいじ」と呼んでますね(笑)。遠いところにいると「G!」じゃ反応してもらえない時があるんです。そういう時は「じいじ!」と呼んだら反応してくれます(笑)。
――プライベートですが、クリスマスや年末はどう過ごされていましたか?
クリスマスも正月も家で過ごすことが多かったです。例年であれば休みがあれば大阪に帰っていましたが、帰省が難しい状況もあり、ステイホームをしていました。
――ステイホーム期間でハマったことは?
温泉が好きなのですが、温泉に行くことも難しい状況なので、家でお風呂に入る時間がすごく増えましたね。入浴剤を買ってみたり、音楽を聴きながら半身浴をしてみたり。
これまでと違った形でのリラックス方法を見つけたので、自分のためになったかなと思います。
――ステイホームで海外ラグビーを観る機会がより増えたと思いますが、好きな海外選手はいますか?
同じポジションであるニュージーランド代表のアーロン・スミス選手がすごく好きです。観ている人がワクワクするようなラグビーを展開してくれます。
――スミス選手はどんなスクラムハーフでしょう?
展開力もありますし、リーダーシップもあります。フォワードを指揮する上でもすごく勉強になります。自分でも仕掛けながら、スタンドオフ(SO)とのコミュニケーションも大事にしている選手だなと思います。
――ちなみに国内外で、好きな指導者を挙げるとすると?
日本代表になりますが、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)です。いろいろな工夫で日本代表を2019年W杯でベスト8まで躍進させましたし、スーパーラグビーのハイランダーズ(ニュージーランド)のHC時代から見ていました。
――トップリーグ2021で対戦したいチームはありますか?
パナソニックです。強い相手であることが一番ですが、日本代表選手が多いという点でも対戦したいですね。
パナソニックはチームスタイルとしてもアタックが強みで、シャイニングアークスもアタックが強みです。どこで差をつけるかが勝負の鍵になってくると思います。そういう意味でも対戦したいです。
――では対戦が楽しみな選手は?
パナソニックの松田力也選手ですね。
普段から仲が良く、対戦する機会も大学の時から多かったので(湯本選手は東海大卒、松田選手は帝京大卒)、負けたくない相手ですね。僕が社会人になってから2試合していますが、パナソニックとは1勝1敗です。今年試合をすることがすごく楽しみです。
――ではあらためて、NTTコミュニケーションズの注目点を教えてください。
展開ラグビーでボールをキープし、アタックしてトライを取る、ということが一つのテーマです。15人一体の攻撃をして、観ている人をワクワクさせるようなラグビーをして勝ちたいと思います。
文:村上晃一