Windows 10の春のアップデート「21H1」がベータプレビュー開始

Windows 10の春のアップデート「21H1」がベータプレビュー開始

  • ASCII.jp
  • 更新日:2021/02/21

Windows 10 Ver.21H1のプレビューがWindows Insider ProgramのBeta Channelで開始された。最初の配布は、OSビルド19043.833で、直前までBeta Channelで配布されていた、20H2の品質アップデートOSビルド19042.833とほぼ同じ番号だ。21H2の最終的なOSビルドはまだわからないが、少なくとも、最初のプレビュー版は、20H2と非常に近い関係にあると考えられる。

No image

Windows 10 Ver.21H1のプレビューの配布がWindows Insider ProgramのBeta Channelで開始された

春のアップデートも段階的更新を採用 更新にかかる時間は短いくなるか

2019年の19H2(Windows 10 Ver.1909)から、Windows 10の秋のアップデートは、毎月の品質アップデートを利用して段階的に進められるようになっている。これをMicrosoftは「サービステクノロジー」による更新と呼んでいる。昨秋のアップデート20H2(Windows 10 Ver.20H2)も同様だったが、2019年・2020年の春のアップデートは、いわゆる「フルアップデート」であり、Windows自体をそっくり入れ替えるものだった。

フルアップデートは、実質的にはWindowsの再インストールである。ダウンロードしたイメージと既存のWindows 10インストールから、Windows Imaging形式(WIM)を作る。ここまではWindows 10のバックグラウンド処理として実行されるので、Windowsを使い続けることができる。その後、Windowsを終了させ、インストーラーがストレージ上のWindowsシステムファイルを作成したWIMファイルを使って書き換える。

その後、新しいWindowsを起動するが、このときに新規インストールと同じく、ハードウェアをスキャンして必要なデバイスドライバーを組み込んでいく。再度スキャンするのは、Windowsの変更とともにデバイスドライバーやドライバー階層なども変更になる可能性があるからだ。

Microsoftの資料によると、このデバイスのスキャンとドライバーの組み込みではドライバー側の都合により何回か再起動があり、一番時間が掛かる処理になっているという。Windows 10の初期では、WIMをWindowsを起動しない「オフライン」状態で作成していたため、アップデートに数時間かかることも普通だったが、現在では大半の処理をオンライン、しかもユーザーがログインしている間にできる。

しかし、Windowsのアップデートは最大限に負荷の重い仕事であり、CPU、メモリ、ストレージの性能に左右されやすい。簡単にいえば、非力なマシンほど時間がかかる。また、システム性能が高くても、たとえばバッテリでの動作中は、最大性能が出せないためにやはりアップデート時間は長くなる。

これに対して、19H2(Ver.1909)から導入されたサービステクノロジーによる機能アップデートでは、毎月のBアップデート(米国太平洋時間の第2火曜日の午前10時に配布されるアップデート)などで、アップデートを分散的にすすめている。

ただし新機能などは抑制された状態になっており、見た目は従来バージョンのまま。そして最後に「イネーブラー」と呼ばれるアップデートがインストールされることで新機能が有効になり、バージョンが切り替わるという仕組みだ。

そのつど有効にしてもいいのではと思うかもしれないが、毎月変更があると、ユーザーサポートは変更前と変更後の両方のユーザーを相手にする必要があり、さらに新機能の評価などの時間が取れないといった問題が出てしまう。このため、新機能などの情報は事前に流し、Windows Insider Programなどでプレビューを評価してもらいつつ、一般ユーザーに関しては、準備が完了するまで前のバージョンと同じものを使い続ける形を取っているわけだ。

21H1プレビュー版に短い時間でアップデート可能なのは 20H1または20H2からの場合

これまでの秋のアップデート(19H2、20H2)で、サービステクノロジーでのアップデートが可能だったのは、直前の春のバージョン(19H1または20H1)がインストールされているマシンだけだった。それ以前のWindows 10からのアップデートは、フルアップデートになっていた。これに対して、今回の21H1では20H1(Ver.2004)または20H2であればサービステクノロジーでのアップデートが可能になるという。

筆者の手元にあるBeta Channelに登録しているマシンでは、20H2であるOSビルド19042.844によるアップデートがなされた状態だが、ここに21H1の最初のプレビューである19043.844が配布された。OSビルド番号が1しか違わず、しかも、リリース後のアップデートを示す小数点以下の番号(レジストリの名称などからUBRと呼ばれる)は同じである。中身的に、この2つは非常に近いものは間違いなさそうだ。実際にこのアップデートでは、青い画面になっている時間は約7分と、毎月のアップデート並に短かった。この時間を計測したマシンは、CPUがCore i7-4650U(1.70GHz、2コア4スレッド)で8GBメモリと現在の視点からするとまずまず非力なマシンである。

なぜ春のアップデートもアップデートの方法を変更したのか?

Microsoftは、昨年公開したWindows 10Xのデモビデオで、Windowsのアップデートが短時間で可能なことをデモした。Windows 10Xの1つの売りなのだと考えられる。それでも現在のサービステクノロジーでは、数秒というわけにはいかない。しかし今後は、アップデートでWindowsが1時間以上も利用できないといったことは減っていくのではないかと考えられる。

19H2、20H2と2回の秋のアップデートだけが先行してサービステクノロジーによる方法が採用されていたのは、おそらくはテストの意味合いもあったのであろう。そのために機能を抑えるなどの制限をかけながら、広く一般ユーサーも含めて、サービステクノロジーによる機能アップデートを評価したのだと思われる。

実際、19H2の変更点は比較的小規模だったが、20H2には多数のアップデート項目があった。これには、すでにDev Channelで新機能がプレビューされており、新機能自体のユーザーの反応などについては、あらためて調査する必要がないということもあるだろう。実際に新機能として登場したものの、最終版になる前に引っ込めたものもいくつかあった。

また、機能アップデート時に起きやすいトラブルに関しては、AIなどを使った予防策が講じられており、問題を発生しそうなハードウェアや環境に対しては、トラブルが解決するまでは、アップデートされないという「安全装置」がある。もっとも、安全装置が効き過ぎて、筆者の手元にあったマシンには、20H1がインストールされないまま20H2のアップデートが始まったものもある。AIによるインストールの自動的な可否判断は、過剰な部分はあるのだろうが、ある程度は事故も防いでいるのだと考えられる。

サービステクノロジーを用いたWindows 10のアップデートの導入を進めてきたのは、いくつかの理由が考えられる。1つは、大規模なWindowsの改修が減ってきたことにある。

19H1と19H2、そして20H1から20H2にかけて、カーネルの変更が緩やかになった。実際、今回の21H1ベータ版のカーネルサイズは、20H2の最新アップデートとカーネルのファイルサイズが同一である。カーネルのファイルサイズは、カーネルのソースコードの変更に応じて変化する。増えることもあれば、減ることもある。しかし、ソースコードに何らかの変更があれば、バイナリのファイルサイズには多少は変化は出るはずだ。

No image

20H1、20H2、21H1のカーネルファイルサイズのグラフ。これらのカーネルサイズは連動しており、ほぼ同じ(サイズ)のカーネルが使われている。21H1のプレビュー版のカーネルも20H2の最新版のカーネルとほぼ同じ

そこでWindows 10のプレビュー版と正式版およびそのアップデートのカーネルサイズを調べて見ると、リリース系列ごとに大まかなグループを形成している。

No image

Windows 10のRS5から21H1、そしてDev Channelのプレビューのカーネルファイルサイズ。グラフは各世代の最初を左端としてプロットしたもので、時間軸に並べたものではない。それぞれで同程度のカーネルファイルサイズであり、グループを作っている。これを見ると、Dev Channelのプレビューは、Beta Channelの特定リリースを想定したプレビューとはまったく違っていることがわかる

2019年のリリース(19H1、19H2)、2020年のリリース(20H1、20H2)および、Dev Channelで公開されている半年ごとのリリース(MN、FE、COの各リリース)は、カーネルサイズの変化をグラフ化すると複数のグループにわかれる。同じ年度のリリースは、春のバージョンと秋のバージョンでアップデートも含めて一定の範囲になる。これは基本的なソースコードが同一で、変更点がさほど大きくないからだが、20H1は、正式版のリリース直後に大きく変動し、そこからの変化は小さくなっている。

また、DevChannelの場合、半期ごとに大きくリリースが異なり、ビルド番号が不連続になる。このグループのカーネルサイズは、2019年、2020年のリリースとも大きく違う。異なったバージョンのカーネルがベースになっていると考えられる。Dev Channelは、特定のリリースには対応しないと言われているが、カーネルサイズの変動は大きく、カーネルに対してさまざまな変更が加えられているようだ。逆に言えば、特定のリリース向けではないため、安定性を求める必要がなく、カーネルの変更が容易なのだと考えられる。

Windowsのアップデートは完全に変わる

これまでの経過からWindows 10のアップデートには大きく3つの方法で行われることになる。1つは、この「サービステクノロジー」による年2回の機能アップデートだ。もう1つは、OS自体とは独立したタイミングで標準機能を更新する「Windows Feature Experience Pack」。こちらもプレビューとしてすでに2回の更新がある。また、標準搭載アプリやフォント、言語パックに関しては、Microsoftストア経由のアップデートがある。

そうなるとイメージ的には、スマートフォンみたいに、「いつもアップデートしてる」という感じになるかもしれない。年に1~2回、使えなくなる時間があるのも問題だが、なんかずっとアップデートしているというのもなにかと面倒だ。現在では、Microsoftストアのアップデートに関しては、ほとんど制御ができないが、ユーザーが曜日を決められるなど、週末の間に勝手にアップデートを済ませておけるというくらいにはなってほしいところだ。

塩田紳二 編集● ASCII

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加