菅内閣が発足「国民のために働く」実行力問われる...荒波の船出

菅内閣が発足「国民のために働く」実行力問われる...荒波の船出

  • 西日本新聞
  • 更新日:2020/09/17
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外交・安保 思いやり予算増加圧力

国際情勢はコロナ禍で自国第一主義に拍車が掛かり、米中対立の激化など不安定化の懸念が広がっている。感染抑止の国境措置で世界的に首脳間の往来も途絶えがち。各国首脳と信頼関係を築き、安倍政権から引き継いだ道半ばの外交課題を前に進められるかが試される。

安倍晋三前首相はトランプ米大統領と個人的な関係を築き、安定した日米関係を外交戦略の柱に据えた。菅氏もこうした戦略を引き継ぐ意向で、11月の米大統領選でトランプ氏とバイデン氏のどちらが当選するにせよ、その後に先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されれば、初顔合わせになるとみられる。

焦点は秋以降に本格化する在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を巡る交渉だ。交渉中の在韓米軍駐留経費を巡っては米国が韓国に負担増を迫っており、どちらが米大統領になっても厳しい要求を突き付けられそうだ。

日中関係はコロナ禍で延期された習近平国家主席の国賓訪日が難題になる。中国政府の香港への強硬姿勢で自民党内には訪日反対論が強い。経済力と覇権主義の両方が強まる中国とどう付き合うか、戦略と判断が注目される。

日韓関係は元徴用工訴訟に絡み、被告の日本企業が韓国内に持つ資産の現金化が迫るが、日韓ともに相手に態度の変化を求めるだけ。対北朝鮮も安倍氏が無条件の首脳会談を呼び掛けたものの事態を打開できず、ロシアとの領土交渉も進展は見通せない。

安全保障分野も導入を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替案の検討や、敵のミサイル基地を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」保有を巡る議論など、安倍政権が積み残した課題が横たわる。 (古川幸太郎)

経済 コロナ打撃問われる手腕

菅首相は前政権の経済政策「アベノミクス」の継承を掲げるが、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける経済の立て直しが喫緊の課題。感染拡大を防ぎつつ、経済の正常化につながる政策を打ち出すことが急務となる。

日本経済は危機的な状況だ。4~6月期の国内総生産(GDP)は年率換算で30%近く急落。コロナの影響は長引いており、倒産や失業につながる負の連鎖を断つために追加対策を示せるか、手腕が試される。

経済対策では、観光支援事業「Go To トラベル」のような景気刺激策だけでなく、「ポストコロナ」時代を見据えた産業育成も重要だ。首相は規制改革を目玉に掲げ、地方銀行再編や携帯電話料金値下げに強い意欲を示している。デジタル庁創設は官民の生産性向上につながるとも期待され、具体的な政策とその実効性が問われる。

日銀の大規模金融緩和と積極財政を続けたアベノミクスでは、円安株高が進み、株価や企業業績は回復した。しかし、第2次安倍政権が発足した2012年12月に始まった景気拡大は18年10月に終わり、翌月から後退局面に入った。2%の物価上昇目標は達成できず、地方経済には十分な恩恵が届いていない。

“副作用”も顕在化している。金融緩和の長期化で、地方銀行の経営は大幅に悪化。国と地方の借金は膨張し、基礎的財政収支の黒字化目標は25年度に先送りしたが、コロナの影響でさらに遅れる見通しだ。

コロナ対策では2020年度予算の予備費だけでなく、第3次補正予算案の編成を求める声も上がる。年末にかけて編成される21年度予算案も、歳出圧力が強まるのは必至。当面は経済立て直しを優先するとしても、金融緩和の出口や財政健全化の道筋をどう描くのか、難しい対応を迫られる。 (中野雄策)

西日本新聞

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