多様性の中で暮らす子供たちを見ていて思うこと|のまど看護師のリアルダイバーシティな子育て

多様性の中で暮らす子供たちを見ていて思うこと|のまど看護師のリアルダイバーシティな子育て

  • ヨガジャーナルオンライン
  • 更新日:2023/11/21
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「のまど看護師」として東南アジアやアフリカなどの公衆衛生分野で活動してきた筆者・鈴木真帆が、海外で生活をしてきて感じたことや、医療者的視点をもとに役に立つ情報を紹介。今回は、子育てを通して感じた「ダイバーシティ」について。我が家は私たち夫婦の仕事の都合で、大陸をまたぐ引っ越しを繰り返し、2人の息子たちはそのたびに国を超えた転校をしてきました。現地のインターナショナルスクールへ通い、多様性が当たり前の日常生活の中で育った息子たちを見て感じること。

わが家の子どもたち

私には15歳と19歳の息子がいます。二人とも生まれた時から私たち夫婦の仕事の都合で発展途上国といわれる海外で過ごしてきました。長男は日本人学校に2年間だけ通いましたが、それ以降は基本的には現地のインターナショナルスクールへ通い、今年高校を卒業し、これから海外の大学へ進学します。

インターナショナルスクールと一口に言っても、国がかわるごとにアジア系の生徒が多かったり、アフリカ系の生徒が多かったりと雰囲気が異なり、子どもたちは常に多様性をリアルに感じながら過ごしてきました。

では、本人たちはこのような環境をどう感じているかというと…実は生まれた時から海外にいるので、多様性の中で暮らしているという自覚はあまりないようです。

多様性とは

日本の学校では、髪の毛を染めることやパーマ、ピアスなど華美とされることは禁止されている学校が多いと思いますが、インターナショナルスクールではそもそも地毛が金髪だったり、くるくる巻き毛のアフリカンの先生や生徒もいるので、髪を染めたり、パーマを注意されることはないですし、海外の病院では出生時にピアスの穴を開ける子もいるので、ピアスも禁止されておらず、基本的に服装も自由なので外見や格好を注意されることはほとんどありません。

先日、次男が「友だちが髪を青く染めてきて、あだ名が“スマーフ”になったんだよ。あははっ」なんてことも(スマーフとは、ベルギーのテレビアニメのキャラクター。実際のスマーフは、髪ではなく肌の色が青いのですが…笑)

たとえば、多様性を感じるとき

インターナショナルスクールに通っていると、生徒の一定数にイスラム教を信仰するムスリムの子どもたちがいます。ムスリムの家庭では1年に一度ラマダーン(*注1)とよばれる断食月があり、この期間は日の出から日没まで飲食をしないので、学校のランチタイムで他の生徒が昼食を食べていても、ムスリムの子どもたちは食事をしません。そのほかにも普段から豚肉を食べない、蹄がある動物は食べない、犬は不浄なものなので触れない、日曜日は家族との時間なので外出しない…などなど、子ども同士で過ごす何気ない場面の中で宗教のみではなく、服装、外見、話す言葉、慣習などそれぞれの考え方や価値観の違いを感じる機会が多々あります。

注1)ラマダーン
ムスリムは日の出から日没にかけて、一切の飲食を断つことにより、空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人や平等への共感を育むことを重視する。また親族や友人らと共に苦しい経験を分かち合うことで、ムスリム同士の連帯感を強まり、多くの寄付(ザカート)や施し(イフタール)が行なわれる。(Wikipediaより)

そんなとき。

そんな日常生活の何気ない違いを子どもたちから聞くたびに、私はついつい「どこの国の子なの?」と聞いてしまいますが、息子から返ってくる答えは「ん~、どこの国の子だったかなぁ~。」とのんびりとしたもの。

どっぷり日本で育った私にとって、そうした「違い」は興味津々でどこの国の子なのか気になるのですが、息子たちにとってはこういった違いは当たり前で、どこの国の子かということは関係なく、シンプルに自分とは違うことをする子がいるんだ、と捉えているようです。

彼らは共通言語として英語を使いますが、英語が母国語の人もいれば、我が家のようにそうではない人もいて、髪や肌の色、話す言葉も宗教も慣習も違って当たり前で、違うものは排除するのではなく、自然に受け入れ、自分は自分、人は人と捉えているのです。

多様性は受け入れなければならないもの?

子どもたちの様子を見ていて思うのは、多様性というのは意識して受け入れようとするものではなく、当たり前にあるもの、というとらえ方が大切だと思うのです。日本人か外国人か、ではなく、同じ人間同士として自分と違う人もいると受け止めて共存していくことだと思います。

日本はこれから人口が減っていく中で外国人人材を受け入れ、外国人と共存して生きていく「多文化共生」(*注2)の形成が必要であると言われています。急に社会が変わることは難しいかもしれませんが、息子たちのように多様性をシンプルに受け入れ、優しい社会が広がっていくことを願っています。

注2)多文化共生とは、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと(総務省:多文化共生の推進に関する研究会報告書

鈴木真帆

特定非営利活動法人アイキャン(名古屋本部)代表理事。正看護師。タイ王国チュラロンコン大学にて公衆衛生学修士課程修了。地元北海道の総合病院で看護師として勤務後、パキスタンにて医療系NGOのインターンを経て、主に東南アジアやアフリカにおいて国際NGO、公益財団法人、JICAで国際保健・公衆衛生分野で経験を積む。フィリピンに住んでいた時にアイキャンと出会い、2007年より理事に就任、2021年より現職。現地を知る者として、現地と日本を繋ぎ循環するPay it forward(ペイフォワード)な世界を目指し、日々活動を行なっている。

鈴木真帆

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