中野信子「両親も必死だっただろうしなと...」 内田也哉子が笑った“中野さんのデスノート”とは

中野信子「両親も必死だっただろうしなと...」 内田也哉子が笑った“中野さんのデスノート”とは

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/05/01

「本木雅弘が苦手な納豆を例に語り始めて…」 内田也哉子、中野信子が明かす“なんで結婚しちゃったのか”の答えから続く

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内田也哉子さんと中野信子さんの共著『なんで家族を続けるの?』(文春新書)の刊行を記念して、4月11日に行われたオンライントークイベント。ZoomウェビナーとYouTubeライブ中継(現在、YouTubeにてアーカイブ動画を公開中)を合わせて1800名超の視聴者を集めたトークの全貌を公開します。(全6回中の5回目。#1#2#3#4#6を読む)

(文:小峰敦子、撮影:山元茂樹/文藝春秋)

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◆◆◆

私にとって唯一救いだったのは…

中野 也哉子さんへの質問も来ていますよ。

Q.【50代女性より】内田さんに質問です。内田裕也さんは、也哉子さんを可愛がっていらっしゃいましたか? 怒鳴ったり叩いたりなどせず、愛情を注がれたのでしょうか? 心の中でもいいのですが、お母様に対する仕打ちなどを含めて、許していらっしゃるのでしょうか?

内田 なるほど。鋭いご質問をいただきました。『なんで家族を続けるの?』のなかでもたびたび触れているように、両親は離婚していないものの、うちは母子家庭だったので、父と過ごした時間は累計して数十時間だったと思うんですね。叩いたり、怒鳴ったりしている姿はさんざん見ましたけど、離れている時間のほうが長かったためか、父から叩かれたことはありません。ただ、会えた時間、ほとんどキレていない瞬間はなかったぐらいなので、怒鳴ったりは確かにありました。お陰で、私の脳はずっと萎縮していました。ただ、私が生まれる前は、両親は取っ組み合いのけんかをして、刃物が欠けたり、大変な流血があったりしたそうですが、私にとって唯一救いだったのが、父が母に手を上げる姿は見たことがないんです。私に危害を加えたこともない。もしかしたら、父の裕也は荒れ狂って怒っているときは何も分からなくなっている、モノも壊すし怒鳴り散らすけども、どこか一線は超えないようにしていたのではないかと思うんですよね。ギリギリセーフだったのではないかな、脳は萎縮したけど。

母に対する仕打ちについては、許すも許さないも、あの夫婦が結局この家族をスタートしたわけで、母は私がお腹にいたときに、「これ以上一緒にいると、どちらかが死んでしまうから、もう出ていってください」と父に別の住まいの鍵を渡して、出ていってもらったんです。

それでもずっと別れなかった夫婦、という事実がある。結局、父が稼ぎを入れなくても、借金を母が肩代わりしても、いろんなガールフレンドがいても、警察にお世話になるようなことがあっても、でもやっぱり母がずっと見放さなかった。それは父にひとかけらの純なものがあるから、自分にとって裕也が必要だからと、一応チラチラと私には話してくれていました。

母が裕也をハナから許していたから

いろいろあって離婚裁判までした夫婦なんだけれども、父が晩年、「まあこうしてみると別れなくてよかったんじゃねえか」と母に言うのを見ることができたから、何十年もかかってようやく少しだけ、心のわだかまりみたいな、しこりみたいなものが溶けていったんですね。

だから、もう何でこんなことをしてくれたんだということを起こすお父さんではあるけれども、この家族をスタートしたのは母と父であって、その母が裕也をハナから許していた。私には計り知れない2人だけの何かがあったわけで。親子といえども私はそこに何か文句を言う筋合いでもないのかなと。

ただ欲を言えば、せっかく親子としてこの世に生まれてきた、出会えたんだから、もう少し父のいいところもちゃんと目で見て感じたかったなと思います。今、亡くした後に、いろいろな人から父の話を聞く機会があって、ああやって怒って酔っ払って怒鳴っているだけが裕也ではなかったんだ、ということを感じつつあるから。

私自身も自分の人生を終えてみないと、この親子、この家族でよかったのか、納得ができないんだろうな。納得させていきたい、よかったことにしていきたいんだけども。でも、いろいろな心のトラウマもあるから、なかなか一筋縄ではいかないですかね。中野さんはそういう意味では、親を許すとか許さないとか、どう思いますか。

中野 そうですね。もう、しかたなかったと言うしかない。両親も必死だっただろうしなと、一定の理解をするという感じですよね。感情というのは蒸発してしまうし、もちろん蘇ってくることもあるけれども、蘇らせてもそんなに価値があるのかどうか。価値があるとしたら、私が物語を書くことがあれば、その体験を使えるかもしれない。でも、もうあまり蒸し返してもな、というのはあるんですよね。

内田 対談のなかで中野さんが披露したメソッドで笑っちゃった、そして目から鱗だったものがあって。

中野 え、何?

お焚き上げをしてスッキリ

内田 中野さんのデスノート!

中野 あ、デスノートつけている、確かに(笑)。

内田 イヤなこととか、何でこうなの?と思うことは、絶対あるじゃないですか。それをノートに書くんですって。それを書いた先からライターでパッと燃やすんですって。

中野 お焚き上げをします。

内田 それでとてもスッキリするんですよね。

中野 スッキリしますよ。

内田 心の問題は心で処理していかなくてはいけないのかと思っていたんですけど、中野さんが実際に書いてみて、ああ、自分はこういうことにこだわっているんだな、イヤだと思っているんだなということを、物理的に燃やすことがとてもヒーリングだったりする。それが、本当に目から鱗でした。そういうことをしてもいいんですよね。

中野 いいですね。何かイヤなことがあったときに「アイツめ」と思い出すより、書いてみると、こういうふうにも言えたんだなと気づくことがあって、実は次に活きるんだということがよく分かったんですよ。

内田 あ、何か編集部の方から指示が来ましたよ。

中野 「ぜひ取り上げて」ですって。

内田 この質問はちょっと、どうなんだろうと思っているんですが、でもせっかくお寄せいただいたので。

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■募集期間 5月5日(水)23:59まで
■形式 Twitterによる投稿
■参加方法 あなたの家族のエピソードを、「#なんで家族を続けるの」をつけて、140字以内でTwitterに投稿してください。(応募エピソードはハッシュタグも含め1ツイートに収めてください。ツリー形式で応募ツイートにコメントを追加していただくことは可能ですが、1ツイート目を応募と見做します。応募ツイートに写真、動画などをつけることも可能です。文藝春秋プロモーション部アカウント(@bunshun_senden)をフォローし、DMにて連絡が取れるようにしてください)
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※優秀作品は各種SNS、ウェブサイト、その他メディアや広告などで、Twitterアカウントとともにご紹介することがあります。また、その他の応募作品についてもTogetterでまとめたり、ご紹介させていただくことがあります。ご了承のうえご応募ください。

※優秀作品は、文藝春秋プロモーション部のTwitterアカウントにて発表いたします。賞品の発送は、日本国内のみとさせていただきます。締切数日後にDMにて送付先を伺います。連絡が取れない場合、当選が無効になることがございます。

内田也哉子
1976年東京都生まれ。樹木希林、内田裕也の一人娘として生まれ、19歳で本木雅弘と結婚する。エッセイ、翻訳、作詞、ナレーションのほか音楽ユニットsighboatでも活動。著書に『会見記』、『BROOCH』(ともにリトルモア)、樹木希林との共著『9月1日 母からのバトン』、翻訳絵本に『ピン! あなたの こころの つたえかた』(ともにポプラ社)、『こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり』(早川書房)、『ママン 世界中の母のきもち』(パイ インターナショナル)などがある。

中野信子
1975年東京都生まれ。脳科学者。東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『サイコパス』、『不倫』、ヤマザキマリとの共著『パンデミックの文明論』(すべて文春新書)、『ペルソナ』、熊澤弘との共著『脳から見るミュージアム』(ともに講談社現代新書)などがある。

「酒盛りしては仕事に行かなかったり、ケンカして死にかけたり…」 中野信子が語る“内田也哉子と又吉直樹”の家族の“共通点”へ続く

(内田 也哉子,中野 信子/週刊文春WOMAN)

内田 也哉子,中野 信子

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