バランスが崩れていくクラブと代表チームの日程のかみ合わせ【アジアの「サッカーカレンダー改革」は何をもたらすのか】(2)

バランスが崩れていくクラブと代表チームの日程のかみ合わせ【アジアの「サッカーカレンダー改革」は何をもたらすのか】(2)

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  • 更新日:2022/08/07
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スリリングなW杯予選はもう見られない? 撮影:中地拓也

アジアのサッカーカレンダーが大きく変わる。ACL、そしてワールドカップ予選と、フォーマットが別物に変わったと言っていい。この改革は、アジアの地殻変動につながるのか。サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。

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■ACLよりも大きな変化

さて、ワールドカップ予選には、ACLよりさらに大きな変化がある。こちらは、2026年大会(アメリカ、カナダ、メキシコの共同開催)から出場チームが48に増やされるためだ。アジアの出場枠は、これまでの「4.5枠」から「8.5枠」へと大幅に拡大される。そのため2022年大会まで6チーム×2組で行われていた「3次予選」、通称「アジア最終予選」は、6チーム×3組となり、各組の上位2チーム、計6チームがこの時点で出場権を獲得する。

これでダメでもまだだいじょうぶ。各組3位と4位の計6チームには、「アジア・プレーオフ」が用意されている。3チームずつ2組に分け、1回戦総当たりのリーグを行い、両組の1位は出場権獲得。最後に2位同士で対戦し、勝ったチームは「インターコンチネンタル・プレーオフ」に出場して最後の1座を目指す。

それぞれのラウンドのシード分けは、そのときどきのFIFAランキングで決まる。すなわち、2次予選には、アジアの1位から9位がトップシードとなり、これらのチーム同士は同組にはならない。ちなみに、最新のランキング(6月23日発表)では、アジアの1位はイラン、以下2位日本、3位韓国、4位オーストラリア、5位カタール、6位サウジアラビア、7位UAE、8位イラク、9位オマーンとなっている。

■スリルのないW杯予選

ついでに「第2シード」となる10位から18位は、ウズベキスタン、中国、バーレーン、ヨルダン、シリア、パレスチナ、キルギス、ベトナム、そしてレバノンである。レバノンのFIFAランキングはちょうど100位。「第3シード」と「第4シード」にはそれ以下のチームがはいることになるのだから、日本にとって2位以内にはいるのが困難になるとは思えない。

予選が行われる2024年や25年にどんな情勢になっているかはわからないが、現在のアジアのサッカーでは、ランキング6位までのチームが他を引き離している。

2022年大会の3次予選では、ワールドカップ開催国のカタールが出場せず、「トップ6」のうち5チームが2組に分かれた。そしてA組にはいったのが韓国とイランの2か国で、B組にはサウジアラビア、日本、オーストラリアがはいった。A組が早々と決着が着いたのに対し、B組が最後までもつれたのは、「3強」がしのぎを削り合ったからだ。

2026年大会の3次予選では、「6強」が3グループに分かれ、各組で2位にはいれば出場権が得られるのだから、3組ともが今回のA組のような様相になる可能性が十分ある。4.5枠から8.5枠へと2倍近くに出場枠が広がるのだから当然だが、日本にとってワールドカップ予選はよりスリルの少ないものとなるだろう。

■プレーオフまで救済策は万全

2026年大会のアジア予選に出場するのは、47チームになると予定されている。北マリアナ諸島はFIFA未加盟のため、現在のFIFAランキングにはAFCから46チームしかはいっていないが、AFCの計画では北マリアナ諸島を加え、ランキングで26位から47位の22チームが「1次予選」に出場する。このラウンドでは、2チームずつ組み合わせ、ホームアンドアウェーで戦って勝者11チームが「2次予選」に進出する。

「2次予選」は、ランキング25位までの25チームと、1次予選を勝ち抜いた11チーム、計36チーム。これを4チームずつ9組に分けて行う。日本はこの段階から加わることになるはずだ。ホームアンドアウェー形式で2023年の11月にスタートし、2024年の6月までに終了する。(【表2】参照)

そして各組上位2チームが「最終予選」に当たる「3次予選」に進出。計18チームを6チームずつ3組に分け、これもホームアンドアウェー形式で行われる。開幕は2024年9月。すべてFIFAの「国際試合カレンダー」を利用し、10月、11月、さらに2025年の3月、6月まで1か月に2試合ずつ、各組全10節を行う。

「アジア・プレーオフ」は2025年の9月から10月にかけて。残りの2座を争う最初のリーグも、「インターコンチネンタル・プレーオフ」出場権をかけた試合も1戦制なので、中立地での集中開催になる可能性が高い。

■果たしてバランスは正しいのか

さて、AFCは「クラブとナショナルチームの日程をよりバランスよく組み合わせることができる」と説明するが、ACLとワールドカップ予選を並べてみると、果たしてそうだろうかと、大きな疑問が沸いてくる。

これまで、ACLのグループステージは2月から5月にかけて行われてきた。ACLで準決勝、決勝と勝ち上がったチームは秋も大変だったが、そうでなければ9月から12月にかけてのJリーグの後半戦に集中することができた。2023年以降は、その時期、Jリーグの優勝争いの佳境の時期にACLのグループステージを戦わなければならなくなる。そして2024年のその時期は、ワールドカップ3次予選の序盤から中盤にも重なるのだ。

2024/25シーズンのACLの日程は発表されていないから、2023/24シーズンの日程を参考にして考えると、2024年の9月から11月の3か月間、ワールドカップの3次予選が毎月2試合ずつ行われるのだが、同時にACLのグループステージも9月にスタートし、9月は1節だけだが、10月と11月は2節ずつ組まれる。すなわち、10月から11月、Jリーグの終盤の時期に、最多4つのクラブの選手が、Jリーグとは別にACL2試合とワールドカップ予選2試合をこなさなければならない状態となるのだ。

これが「クラブとナショナルチームの日程をよりバランスよく組み合わせることができる」状況なのか、疑問に感じずにはいられない。

日程が大きく変わるACL、強豪が分散し、さらに「勝って当然」の状態になるワールドカップ予選。アジアのサッカーの変化は、日本のサッカーに少なからぬ影響を与えそうだ。

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大住良之

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