世界初のMQA対応ヘッドホンは、なぜゲーミングヘッドセットだったのか?

世界初のMQA対応ヘッドホンは、なぜゲーミングヘッドセットだったのか?

  • ASCII.jp
  • 更新日:2020/09/14
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既報のとおり、9月2日にASUS Republic of Gamers (ROG)の「Meta Buffsオンラインローンチイベント」が開催された。

そこで新しいゲーミングヘッドセット「ASUS Delta S」が発表されている。Delta Sは、いままでのASUS製のゲーミングヘッドセットで最軽量をうたうモデルで、現行の「ASUS Delta」に対して20%軽量の300gだという。またヘッドバンドはステンレス製で剛性が高く、イヤーパッドもより厚く快適性が向上しているという。

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同時発表の「ROG Theta 7.1」などと同様に、ASUSのAIノイズキャンセリングマイク技術を採用しているのも特徴だ。これは声をきれいに保ちながらキーのクリック音をはじめ5000万種類もの背景音を低減できるというもので、ゲーム内のボイスチャットでも声がきれいに伝わることを意味する。

様々な特徴のあるDelta Sだが、オーディオ的に見た最大のポイントは、DAC ICに「ES9281」を採用し、MQAをサポートした初めてのヘッドホンとなったことだ。MQA社もこれに対して公式にコメントを出している。

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MQAの報道資料

DAC ICとは書いたが、ESS TechnologyのES9281は分類すると、CODEC(コーデック) ICとなる。CODECは一般的に“圧縮・伸張アルゴリズム”のことを差すが、ここではA/DコンバーターとD/Aコンバーターの機能を兼ね備えたICのことだ。

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スマートフォンで主に用いられるが、これはマイク(A/D変換)とスピーカー(D/A変換)の両方が必要だからである。また、CODEC ICは、音声処理以外にも用いられるので、特に音声処理用に使うチップを“オーディオCODEC”とも呼ぶこともある。

ES9281は、USBコントローラーとESSのSABRE(セイバー) DAC機能をもったCODEC ICということになるが、2.0Vrms出力と強力なヘッドホンアンプも内蔵している。こうしたワンチップソリーションは小型化が要求されるヘッドセットには最適だ。

それに加えて、ES9281はMQA対応がなされている(MQAレンダラーを内蔵する)。これはAstell&Kernの「A&futura SE200」が採用した「ES9068」の流れをくむものだ。

ただし、MQAレンダラーなので、単体ではMQA対応ができない。前段に「TIDAL」や、アリババの音楽ストリーミングサービスである「Xiami Music」用のストリーミングアプリ、もしくは「Audirvana」「Roon」など、MQAのソフトウェアデコードに対応した、PCソフトウェアを必要とする(MQAデコードの仕組みは過去記事を参照)。

そのため、ゲーミング用途において、MQAの特性を活かすことは難しいかもしれない。

おそらくASUSは、MQA対応をメインの特徴とするためにES9281を採用したのではなく、従来モデルのROG Deltaで「ES9218」を採用していたので、その進化版としてES9281を採用したのではないだろうか。このDACの特徴は4ch出力ができることで、その合算処理によって高いS/N比が得られる(低ノイズ化できる)。DeltaのES9218のS/N比は127dBだったが、最新のES9821Proであれば130dBもの高いS/N比が得られると言われている。

これはASUSが解説しているが、FPSゲームで使うゲーミングヘッドセットにとって、S/N比は重要な仕様である。S/N比が高ければ、敵の足音から敵の位置を正確に把握したり、戦場での銃撃や爆発の場所を絞り込んだりしやすくなるという。

以前紹介した、Audezのゲーミングヘッドセット「Penrose」では、敵の位置を把握するために、3Dサウンドを活かそうとしていたが、ASUSでは同じ目的を達成するためにS/N比を高めようとしたと考えられる。

ゲーミングヘッドセットというと、音質だけでなく、デザイン性やPCと周辺機器でブランドを統一したいなど、さまざまな選び方があるが、こうした点もゲーミングヘッドセットを選びの際に、ちょっと頭をよぎらせてみると面白いのではないだろうか。

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ROG(ASUS)

佐々木喜洋 編集●ASCII

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