田原総一朗「菅首相の緊急事態宣言 もう決断先送りは許されない」

田原総一朗「菅首相の緊急事態宣言 もう決断先送りは許されない」

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  • 更新日:2021/01/13
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ジャーナリストの田原総一朗氏(c)朝日新聞社

再び発出された緊急事態宣言。ジャーナリストの田原総一朗氏は、通常国会に提出される予定の新型コロナウイルス対策の特別措置法改正案について、菅首相がどんな決断をするのか注目している。

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菅義偉首相が1月7日、緊急事態宣言を発出した。対象地域は首都圏の1都3県である。

なお、昨年4月に安倍晋三前首相が緊急事態宣言を発出したときには、休校要請などもあったが、今回は小中高への休校要請はせず、飲食店の営業時間などの制限を要請し、大規模イベントでの人数制限などを求めている。

ただ、最も関心を集めているのは、2月初めの成立を目指している特別措置法の改正で、休業・時短営業に応じない飲食店などに罰則を盛り込むか否か、という問題である。そして、盛り込むのであれば、どの程度の罰則を科すのか、という問題だ。

昨年4月の緊急事態宣言時には罰則規定はなかった。日本以外の国は罰則規定を設けていたにもかかわらず、である。

私は安倍首相にインタビューして、「なぜ日本は罰則規定を設けないのか」と問うと、安倍首相は両腕を挙げて「そんなことをしたら大変なことになる」と悲鳴のような声をあげた。そして、そもそも緊急事態宣言を出すこと自体が大変難しかったのだと説明を始めた。

すでに何度も書いているので、詳しくは記さないが、要するに第2次世界大戦に敗北した後、日本は再び戦争はしない、つまり「有事」はない、ということになっていたのだ。だが、欧州の先進国、米国、そしてアジアの国々が、いずれも緊急事態宣言を発しているので、これは新型コロナ禍という「有事」だと判断し、遅ればせながら宣言をした。

しかし、戦後に作った憲法では緊急事態を認めていないので、罰則規定を設けられない、というのである。

昨年12月29日の日本経済新聞が、菅内閣が発足して100日間で、支持率が74%から42%へと、32ポイントも大きく落ちていて、麻生太郎内閣と並び、1987年の調査開始以来最大の低下だと報じている。菅首相のコロナ禍への対応が、国民から強い憤激を受けているのである。

勝負の3週間と強調しながら何の具体策も示さず、12月11日には分科会の尾身茂会長がGo To トラベルを一時停止せよと訴えたのを無視し、13日の毎日新聞の支持率急落報道に慌てて、翌日一時停止を宣言したものの、その後8人での会食に出席して国民をあきれさせた。まったく真剣味がない首相だ、と。

マスメディアは一斉に、2021年秋の任期までもたないと断定し始めた。そのために、菅首相は姿勢を急変させて、緊急事態宣言を出し、特措法の改正まで行うと表明したわけだ。

昭和初期、国家としての日本のあり方を求めすぎて、軍部が突出して敗れる戦争を起こし、それに懲りて、戦後、特に池田勇人首相以後の歴代首相は、「有事」に決断を先送りするのが無難だと捉えてきた。だから、昨年4月に他国に1カ月近く遅れて緊急事態宣言を出した安倍首相は、罰則規定を設けなかった。

だが、菅首相は先送りを認められない事態となっている。先送りをすれば、支持率は下落するばかりである。だからといって麻生内閣のときとは違って、国民の多くが野党政権には期待していない。

そこで菅首相はどのような決断をすべきなのか。

※週刊朝日  2021年1月22日号

■田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

田原総一朗

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