「20時閉店よりも私語禁止に」独自のコロナ感染対策をするカフェの工夫

「20時閉店よりも私語禁止に」独自のコロナ感染対策をするカフェの工夫

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2021/01/13

新型コロナウイルスの感染が再び猛威を振るうなか、1月7日、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)で緊急事態宣言が発令された。飲食店には、20時までの営業時間短縮が要請されている。その直前、1月5日に高円寺カフェ「yummy」のFacebookに投稿された内容がツイッターにも転載され共感の声が集まった。

<きっかり「20時閉店」にするが、その時間までなら今まで通り店内で飲食するのがいいかというと、それも疑問。問題は飲食時にマスクを外しておしゃべりすること>

そこで、私語禁止のJAZZ喫茶スタイルにて営業すると決めたというのだ。大胆にも思える喫茶店の「私語禁止」。

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“私語禁止”と書かれた看板(提供写真、以下同)

なぜそのようなスタイルにしたのか、実際のお客さんの反応はどうだったのか。店主に話を聞いた。

◆“20時までなら今まで通りでOK”と時間で決めるのは違う

店長の羽根真紀さんは「私語禁止」スタイルを思いついた経緯についてこう話す。

「お店をオープンした当初にお店に特色を持たせるために好きだったオーディオ類にこだわり、ちょっといいものを揃えたんです。とはいえ、音楽カフェとしてオープンしたわけではないのでこれまでずっと一般的なカフェとして営業していました。

前回の緊急事態宣言の際にテイクアウトのみでの営業をしていたのですが、『私はこんなことがやりたくて店を始めたわけではないのに』というモヤモヤがありました。そのとき、もし次に緊急事態宣言が出た場合には安全に店内営業をしたい、そのためにはどうすればいいのか……とずっと構想を練っていました」(羽根真紀さん、以下同)

そして1月頭、また緊急事態宣言が出そうだと話題になり、羽根さんは一気に構想を形にする。

「どうしても飲食をするときにはマスクを外さないといけないですけど、同時におしゃべりをすれば飛沫感染のリスクが増します。そこでおしゃべりの方を禁止したらいいんじゃないかな、と思いつきました。でもそれだけでは面白みがないので、せっかく店内に揃えた良いオーディオで大きめに音楽を流すことでお客様に楽しんでもらえたらと思ったんです」

◆大きな反響に驚いた

今回、この投稿は大きな反響を呼んだ。しかし羽根さんは「おもしろい」とか「珍しい」などのリアクションがあるとは思いも寄らなかったという。

「あれだけ“会食をすると飛沫感染が……”と言われているのに、私語禁止に驚かれるのは意外でした。20時までなら今まで通り飲食していいと、時間で制限されてしまうのは違うと思ったんです。

もともと私語禁止の店はあったはずで、たとえばJAZZを聴くためのライブハウスはいわずもがな私語禁止の場所です。もともと私語を話す場所ではないのに『ライブハウス』というくくり全体でイメージが悪くなってしまうのは悲しいですね。換気さえしっかりしていればいい場合もあるのに。なので、私の発信によって反響が得られるのなら、もっとそうした業態のお店についても知ってもらえたら嬉しいです」

◆「しゃべれないのは困る」と帰ってしまう客もいたが……

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オーディオ類にこだわった店内の様子

そうして「私語禁止スタイル」を告知したFacebookの投稿には大きな反響があった。普段「SNSはそんなにマメにやらない」という羽根さんだが、今回の投稿には親しい人からの応援も含め、たくさんのコメントがついた。さらにその内容はTwitterにも転載され、多くの人の目に触れることとなったのは想定外だったという。そして、この「私語禁止」営業は2021年の営業初日である1月7日から開始された。

「前からお客さんとして来てくださっていた方の中には『私語禁止スタイル』に変えたことを知らずに来た方も多く、2~3人で来たのに『話せないのは困るなぁ』と帰られる方もいました。だけど事情をご説明したところ『じゃあ今度は音楽を聴きに来るよ』と言ってくださいましたね。

ほかにも、新たにTwitterで私語禁止の取り組みを知ってご来店されたらしい方もいらっしゃいました。SNSを見て来たと言われたわけではないのですが、帰り際に『応援しています』とボソっと言ってくださったのでそうなのかな、と。

ただ、SNSの影響で著しく客数が増えたということはありません。あの投稿を共感してくださったのは恐らくコロナへの危機感の強い人。わざわざ遠方から足を運ぶことはないと思うんです。だから、たまたま近くに住んでいた人が来てくれたのかなと。私もあの投稿で売上を上げたいとか集客したい、と思っているわけではないので、緊急事態宣言の間はこのくらいの状況が続けばいいなという感じです」

◆実際に苦労してるのは飲食店の取引先

コロナ禍では飲食店ばかりが振り回されている印象を受ける。しかし羽根さんは「飲食店ばかりが取り上げられ目立っているように見えるだけ」と指摘する。

「実際に苦労してるのは飲食店の取引先だと思っています。個人店では国からの協力金で十分成り立つところもありますが、仕入先は店の休業や営業時間短縮の影響をモロに受けて困っているところが多いです。高円寺エリアは規模の小さい個人店が多いので、なんとか共に乗り越えていきたいですね」

感染リスクを抑えながら経済をまわすために、工夫を凝らしながら営業スタイルを模索するお店は多い。客である私たちも可能な範囲でできることをしていきたい。<取材・文/松本果歩>

【松本果歩】

恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter:@KA_HO_MA

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