“キス報道”ですねにキズもつ橋本聖子新会長の苦悩 迫られる「二つの決断」と「最大の課題」

“キス報道”ですねにキズもつ橋本聖子新会長の苦悩 迫られる「二つの決断」と「最大の課題」

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  • 更新日:2021/02/22
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東京五輪・パラリンピック組織委の新会長に就任し、あいさつする橋本聖子氏。まさに火中の栗を拾った形だ/2月18日、東京都中央区(代表撮影)

辞任した森前会長の後任は、森氏の「政界の娘」を自認する橋本聖子氏に決まった。自身のスキャンダルもちらつく中、立ち向かう課題はあまりにも大きい。AERA 2021年3月1日号では、橋本氏に迫られる「二つの決断」を取り上げた。

【写真】森氏辞任でほくそ笑んでいたのは…

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「大変大きな重責を担わせていただくことになりました。身の引き締まる思いであります」

2月18日に開かれた東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の理事会。森喜朗前会長(83)の女性蔑視発言に端を発した後任会長人事は、五輪担当相の橋本聖子氏(56)の就任が正式に決定し、本人がこのようにあいさつした。

選考過程や、指摘されている官邸による介入など後に検証すべき事柄も残ったが、今は橋本氏をトップに東京大会の運営に走り出さざるを得ないだろう。

まずは、橋本氏の経歴をあらためて紹介したい。

北海道出身。東京五輪があった1964年に生まれ、「聖火」から名付けられた。スピードスケートの選手としては4回の冬季五輪を経験し、自転車競技でも3回の夏季五輪に出場。92年のアルベールビル五輪では銅メダルを獲得し、冬季五輪で日本女性初のメダリストとなった。

参議院議員となったのは95年。自民党幹事長だった森氏の導きで政界進出し、当初は批判もある中で選手との二足のわらじを履き、現職議員としてアトランタ五輪にも出場した。党参院議員会長などを経て、2019年9月に五輪担当相となった。

■迫られる「二つの判断」

森氏の後任に橋本氏が就くのも因縁を感じるが、その橋本氏もすねにキズを持つ。フィギュアスケートの高橋大輔選手に無理やりキスしたと14年に週刊誌で報道された疑惑だ。事実であれば、ジェンダー意識どころか刑事事件の可能性すらある一件だが、当事者らが「強制」ではないと否定している。今回、国内外のメディアがあらためて関心を持って報じている。

今後、橋本氏が大会運営で直面することになる課題は何だろうか。元都職員で、東京五輪招致推進担当課長だった鈴木知幸・国士舘大学客員教授によれば、現状では重要な判断が二つ残されているという。

一つは、競技場の観客をどうするかだ。無観客についての世論や関係者の賛否はなお割れている。そして二つ目が、中止の判断だ。鈴木教授は、その判断があるとすれば、聖火リレーが始まる3月下旬とみている。基本的には国際オリンピック委員会(IOC)が決めるものだが、日本側に判断を委ねる可能性が高いという。こう説明する。

「どのように開催できるかを検討する余地があるのにIOCが独断で中止を決めることはないでしょう。中止なら日本側から提案してくることを待つはずです。これは、1年前に延期を決めたときとまったく一緒です」

これらの判断はもちろん国や東京都との協議を経てということだが、橋本氏も重責を担うことには間違いなさそうだ。

そして、鈴木教授が橋本氏個人に期待される「最大の役割」と指摘するのは、国民の東京大会への“支持率”を上げることだ。朝日新聞やNHKなど開催賛成が10%台となった世論調査もある。鈴木教授はすでに赤信号がともる状態と考える。

「これほど支持の集まらない大会は、過去にありません。森氏の傀儡だとも見られている橋本氏にとっては、非常に厳しい状況であることに間違いはないでしょう」

一方、森氏が依然として影響力を発揮し続けるのではないかという考え方について、スポーツライターの小林信也さんは「森氏の影をどうのこうの言うのは筋違いではないか」と疑問を呈する。

「みなさん、何かに毒されているのでしょうか。政治の世界の裏表をすべて投影しようとしているようですが、これは五輪・パラリンピックの制作運営現場です。国民が納得する形で開催できるかどうかというのが、何より大切でしょう」

※【橋本聖子新体制で浮かび上がった「森vs.菅」の対立 首相が「川淵氏へ禅譲」に激怒した理由】へ続く

(編集部・小田健司、中原一歩)

※AERA 2021年3月1日号より抜粋

小田健司,中原一歩

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