行政代執行の対象となっている熊本市の住宅の解体工事が始まりました。
【写真を見る】行政代執行の対象となっている住宅の解体工事はじまる 住人は建物の一部保存を求めるも「危険」と判断し建物すべてを解体へ 熊本・中央区
「本日から建物の解体工事に着手いたします」
21日あさ、熊本県や熊本市が、熊本市中央区西子飼町にある住宅の解体作業に取り掛かりました。
その作業を見守る2人の女性は、この建物の住人です。
住人の女性「ここまでの解体って約束ですので裏は残して、私たちが住まなければいけないので、建具は残していてください」
女性は、収用対象外の土地にある建物の一部は残してほしいと訴えましたが、行政側は一部だけ残すのは危険と判断し、全てを解体する考えです。
今回の行政代執行は、熊本市が子飼橋から浄行寺交差点付近までの県道およそ550メートルで進める自転車道などの整備に伴うものです。
市は、周辺の住民と土地や建物の明け渡しの交渉を進めてきましたが、女性たちが交渉に応じなかったとして県の収用委員会が土地収用法に基づき、土地の一部を熊本市の所有に変更しました。
10月11日からこれまでに、すでに家具や衣類などが運び出され、電気やガスなどのライフラインも止まっています。
建物は3週間ほどで解体されるということです。
行政代執行…その始まりは意外と最近
(解説)県内で初めて人が住む建物に対し、行政代執行を行うことになったこの事業は、渋滞緩和などのため、15年前の2008年に始まりました。
歩道と自転車道の幅は約3倍に広がったそうです。
--事業はどのぐらい進んでいますか?
進捗率は85%で、熊本市はこれまでに約120区画の土地を買収し、所有者への補償や住宅再建の手助けなどをしたとしています。
一方で今回の件は交渉が出来なかったとして、市は2019年に土地問題を審理する県の収用委員会に解決を求めていました。
--解体した住宅の家財はどこに?
一般的には住宅再建までの間、住民は市が用意した仮住まいに移動し、撤去した家財などは市の施設に保管されるということです。