犬・猫のマイクロチップ装着、「健康被害は?」「痛くないの?」疑問に獣医師が回答

犬・猫のマイクロチップ装着、「健康被害は?」「痛くないの?」疑問に獣医師が回答

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  • 更新日:2022/06/23
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犬・猫のマイクロチップ装着、「健康被害は?」「痛くないの?」(Ph/イメージマート)

今年6月から、新たに販売される犬や猫に対するマイクロチップの装着が義務化されました。主に、迷子になってしまったペットを飼い主さんの元へ帰しやすくする仕組みです。一方で、マイクロチップに対して「体内に異物を入れるのはかわいそう」「痛い思いをさせたくない」という意見を持つ人も。マイクロチップ装着の実際を知る獣医師の山本昌彦さんにお話をうかがいました。

マイクロチップ装着で飼い主にはどんなメリットが?

今年6月1日、改正動物愛護法によりブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫について、マイクロチップの装着が義務化されました。

マイクロチップは生体適合ガラスで覆われた円筒形の電子標識器具で、ICやコンデンサー、電極コイルを内蔵しています。最近では直径1.4mm、長さ8.2mm程度のサイズが主流になっているようです。

マイクロチップには15ケタの個体識別番号が記録されていて、この番号とデータベースの登録情報を紐づけます。犬や猫が迷子になってもマイクロチップが装着されていれば、専用のリーダー(読み取り機)で番号を読み取ってデータベースに照合することで、飼い主が分かります。

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専用のリーダー(読み取り機)で番号を読み取れる(Ph/イメージマート)

すでに飼っている犬、猫については努力義務

今後は、ブリーダーやペットショップから新たに迎えた犬や猫にはマイクロチップがすでに装着されているので、飼い主は登録情報を事業者のものから自分のものへと書き換える手続きが必要になります(※マイクロチップが装着された犬や猫を譲り受けた場合には、データベースへの登録・変更は義務)。民間の登録制度を既に利用している飼い主は、環境省のデータベースにも情報を登録する必要があり、情報の移行もできます。

事業者ではなく個人から譲り受けた場合や、すでに飼っている犬や猫については、マイクロチップ装着は必須ではなく努力義務となっています。ただし、海外渡航にペットを伴う場合、マイクロチップを装着していないと、入国できない国・地域があります。

環境省は「犬や猫が迷子になったりした場合に、マイクロチップが装着されていると飼い主の元へ返還できる可能性が高まりますので、できるだけ装着を検討いただきたいと考えています」とし、飼い主さん向けのリーフレットなども公開しています

マイクロチップ装着による健康被害の可能性は?

しかし、マイクロチップ装着に対して抵抗感を覚える飼い主さんも少なくないようです。「健康に害を及ぼすのでは?」「痛い思いをさせるのはかわいそう」といった不安や懸念がぬぐえないのだそうです。

山本さんは、こうした不安に対して「マイクロチップ自体は健康に害があるものではないと考えられます」と話します。

「マイクロチップはもともと体内に入れる前提で製作され、動物用の医療機器として農水省に認可されているものです。マイクロチップを埋め込んだことで健康被害があったという報告は、私が知る限りありません」(山本さん・以下同)

義務化以前からたくさんの装着例があるなかで、目立った健康被害が報告されていないのは愛犬家や愛猫家にとって心強い話といえそうです。

装着時の痛みは?和らげる方法はある?

装着時の痛みについては、どうでしょうか。

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装着時の痛みは?(Ph/イメージマート)

「マイクロチップは、頸背部(首の後ろ側)の皮下に装着します。一般的な注射針よりは太い針を刺して注入するので、確かにその瞬間は痛みがあるだろうと思います」とのこと。特に注射が苦手な犬、猫の場合は痛がって鳴くこともあるのだとか。

ただし、「処置は数秒で終わります。装着したあとに『自宅に戻っても痛がっているんですが…』といった相談を受けた例もないですね」と山本さん。痛みや違和感が長く続いている様子は見受けられないといいます。

痛みを抑えて装着する方法も

また、痛みを抑えて装着する方法もあります。

「避妊・去勢の手術をするときに合わせて入れることも多いんですよ。その場合は手術用に麻酔をかけた状態のときに済ませることができるので、犬や猫が痛みを感じている可能性は少ないです」

今後はマイクロチップ装着を目的として来院する飼い主さんも増えそうですが――。

「どうしても痛みが心配な場合には、かかりつけ医に相談するといいでしょう。例えば、鎮静処置などの方法があります。鎮静は麻酔のように完全に眠らせるわけではなく、少しトロンとさせる処置ですが、痛みの感じ方はかなり和らぐはずです」

ただし、麻酔ほどではないものの一定のリスクがあるため、よく考えて判断する必要があります。

最後に、改めてマイクロチップの効果について山本さんに聞きました。

「マイクロチップが装着されていれば、災害などではぐれてしまった犬や猫も飼い主さんの元に戻れる確率が高まります。また、飼い主が明らかになるので、盗難や飼育放棄を防ぐことにもつながるとみられています。装着時の痛みは一瞬のことですので、愛犬や愛猫と安心して暮らし続けるため、装着を検討されてはいかがでしょうか」

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

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獣医師・山本昌彦さん

獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。

取材・文/赤坂麻実

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