70代の年金生活「貯蓄の切り崩し」ひと月どのくらい?

70代の年金生活「貯蓄の切り崩し」ひと月どのくらい?

  • LIMO
  • 更新日:2021/10/14
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この春にスタートした改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保が各企業に義務付けられました。「いつまで、どんなかたちで働くか」、これからのシニア世代の選択肢は今後も広がっていきそうですね。

かつて主流であった「60歳ジャストで定年退職」は必ずしも多数派ではなくなったようです。多くの方が、65歳、ないしは70歳などを区切りとしてリタイヤを考えているのではないでしょうか。

老後の生活を支える柱となるのが、まず「公的年金」ですね。今回は、70代の年金と貯蓄事情、そして、貯蓄の取り崩しにもフォーカスしていきます。

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70代の「みんなの年金事情」

さいしょに、「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2019年度)」から、70代の平均年金月額を確認していきます。

国民年金の平均年金月額

( )内は受給権者数

70~74歳:5万6697円(837万559人)
75~79歳:5万5922円(676万8205人)

厚生年金保険(第1号)の平均年金月額(※)

(※)厚生年金保険(第1号)の平均年金月額には基礎年金月額を含みます。

( )内は受給権者数

70~74歳:14万6421円(389万2271人)
75~79歳:15万1963円(303万1605人)

70代の人の、平均的なひと月の年金額は、国民年金であれば5万円台、厚生年金であれば14万~15万円ほどとなります。

この平均額で単純計算すると、「70代前半の会社員だった夫と専業主婦だった妻」の夫婦世帯の場合、ひと月年金額は夫婦合算で約20万3000円。

総務省の「家計調査報告(家計収支編)―2020年(令和2年)平均―(二人以上の世帯)」によると、70~74歳の消費支出は24万6656円です。

公的年金収入のみで生活した場合、この夫婦世帯ではひと月約4万3000円の赤字が出ることになります。

これを、仮に貯蓄を切り崩してカバーしていく場合、年間の切り崩し額は「4万3000円×12カ月=51万6000円」となりますね。

現役世代が老後資金の準備をするにあたり、一体いくら必要なのか?と漠然とした疑問を持たれる方も多いはず。

まずは、世帯単位でどのくらいの年金が受け取れそうか、ねんきんネットやねんきん定期便で確認しましょう。いま現在のひと月の生活費がどのくらいカバーできそうでしょうか。

さらに、年金受給開始までの「大きなお金の流れ」も整理してみるとよいでしょう。退職金や相続といった大型収入や、子どもの教育費や自宅の修繕などの大型支出の予定はありそうですか?

年金生活までにどのくらい貯蓄をすればよいか、目標金額をつかむ作業から始めるとよいでしょう。

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「老後の生活」にかかるお金について考える

老後に必要となるお金は日常の生活費だけではありません。

趣味や旅行といったレクリエーションのための支出や、冠婚葬祭のおつきあい費などはできるだけケチりたくない部分でしょう。これらは心を潤す出費でもあると筆者は考えます。

通院や介護が必要になったり、自宅をバリアフリー改修したり・・・といったシニア世代特有の出費が年金世帯の家計に重くのしかかる可能性もありますね。長期入院や老人ホームへの入居、といったことはある程度みなさん想定済かもしれません。

それ以外にも、歳を重ねると思わぬアクシデントが発生します。

詐欺の被害に遭う、認知症のため金銭管理ができなくなり、最悪の場合、金融機関の口座から預貯金がおろせなくなることも……。

よって、ひとくくりで「老後はいくら必要」と言い切ることはできないでしょう。

「備えあれば、憂いなし」まずは貯蓄目標額に向かってコツコツ準備していきたいものですね。

次ではいまどきの70代以上のみなさんが、どのようにお金を貯めて、管理しているのかを見ていきます。老後のお金について考えるうえで、何らかの参考にはなりそうです。

いまどき70代の「貯蓄の中身」

ここからは、いまの70代以上・二人以上世帯の貯蓄の内訳をみていきましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」からの抜粋です。

まず、二人以上世帯(20代~70代以上の全世代)の金融資産保有額は平均1436万円(中央値650万円)、借入金残高は671万円(中央値0万円)です。

※金融資産保有額は20代~70代以上のすべての世代。金融資産非保有世帯を含む。
※借入金残高は「借入金有無回答世帯」のみ

これを「70歳以上」に絞ると、金融資産保有額の平均は1786万円(中央値1000万円)となっています。引き続き、この平均額「1786万円」の内訳をみていきましょう。

70歳以上・二人以上世帯の金融資産保有額

平均・・・1786万円

中央値・・・1000万円

※含:金融資産非保有世帯
※【 】内は60歳代の金額

預貯金(うち運用または将来の備え):921万【959万円】

うち定期性預貯金:723万円【585万円】

金銭信託:4万円【5万円】
生命保険:333万円【286万円】
損害保険:49万円【39万円】
個人年金保険:65万円【134万円】
債権:35万円【45万円】
株式:226万円【144万円】
投資信託:129万円【96万円】
財形貯蓄:14万円【27万円】
その他金融商品:9万円【11万円】

合計:1786万円【1745万円】

70代以上は、60代より多少金融資産が減っていても不思議はありませんが、微減こそすれ、60代世帯と比較しても大きな差はありません。

60代、70代以上ともに最も高い割合を占めるのは「定期性預貯金」です。そしてその金額は70代以上世帯では目減りするどころか増えています。また預貯金以外の金融資産が占める割合は、60代で45%、70代以上47%、ともに約半分です。

この2つの世代のデータを単純比較することはできませんが、大きく貯蓄を取り崩さずに年金収入などで暮らしている世帯が一定数いる、ということが推測されます。

現在の70代は、いわゆるバブル景気のころに現役時代を送った人も多く、お金の面ではイマドキの若者よりも恵まれているというイメージを持たれることも多いですね。

いまどきの若い世代が、遠い将来70代になったときにどのくらいの貯蓄があるかを予想することはできません。しかし、今のシニア世代の「お金の持ち方」をのぞき見ることは、老後を見据えたマネープランを作る上で何らかの参考にはなりそうです。

老後のお金で困らないためには?

厚生労働省が公表した「令和2年(2020年)版厚生労働白書」によると、収入を公的年金や恩給だけに頼る世帯の割合は2018年時点で全体の5割を切っています。

年金の他にも、就労による収入や財産収入(家賃所得や配当など)などを見込める世帯が過半数を超えて存在する、ということですね。

「老後のお金」というと、「リタイヤまでどのくらい・どうやって貯めるか」という準備のプロセスが注目されがちです。しかし、迫り来る長寿時代を見据えたとき、そのお金をどう切り崩すか、どう維持していくか、についても意識していく必要がありそうです。

直前のデータによると、預貯金以外の金融資産が占める割合は、60代で45%、70代以上47%、ともに約半分です。資産寿命を延ばす、という観点から株式や投資信託などを選ぶ割合が増加していることも考えられそうです。

「人生100年時代」、ゆとりある、健康な状態で長寿をまっとうできればそれに越したことはありません。とはいえ、老後資金の準備は、やはり長生きリスクを意識しながら進めていきたいものですね。

健康寿命とともに、資産寿命を延ばすために、資産運用でお金を育てるしくみづくりを検討してもよいでしょう。

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参考資料

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」

厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」

熊谷 良子

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