「必ず覚醒がある」バレー日本代表の絶対的エース石川祐希が明かした世界最高峰の舞台で掴んだ感覚とは?

「必ず覚醒がある」バレー日本代表の絶対的エース石川祐希が明かした世界最高峰の舞台で掴んだ感覚とは?

  • THE DIGEST
  • 更新日:2022/05/14
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プロバレーボールプレーヤー、石川祐希。主戦場とするイタリアでのここ2年間のミラノでの活躍を、出場全79試合を通して報じてきた本メディアの現地記者が、世界最高峰リーグの第一線で存在感を放つ日本代表の絶対的エースに単独取材を行った。

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石川は、所属先パワーバレー・ミラノでの2シーズン目(イタリア通算7シーズン)を終えたことを、日本時間5月11日のオンライン会見で1時間にわたり現地から報告。その直後で疲れもあったはずだが、終始にこやかな表情でインタビューに応えてくれた。

セリエAで自己最高となる5位の結果を残して終えた今シーズンは、コッパ・イタリアでもクラブ史上初のベスト4入りを達成。プレーオフでは準決勝進出こそ叶わなかったが、バレーボール界の頂点と呼ばれるリーグの中で、不動の先発メンバーとしてチームを牽引した。

最終戦からちょうど1週間が経過したこの日。まずは近況をたずねてみた。

「今はもうそれほど疲れていませんね。この後、代表に合流するので3日前からウェイトトレーニングとランニングを始めたところです。まだ、ボールには触っていません」

「残っているチームメートと市街地でショッピングをしたり、夕食に出かけたりもしていますよ」

休養と合わせ、代表合流を視野にコンディションを調整しながらリラックスした日常を送っていると言う。

リーグはスクデットをかけたプレーオフ決勝が佳境に入っていた。突出したダイナミズムでバレーボール界を席巻する面々がコートに並ぶモデナに敗れ、ミラノは準決勝進出ならず。自らも認めるシーズンベストパフォーマンスで強豪を追い詰めながら、最後の2点を取り切れず惜敗した第2戦を、今シーズン一番、脳裏に残っている試合と会見では明かしていた。

立つことができなかった舞台で躍動する勝者。その戦いぶりをどんな思いで観戦したのか?「準決勝は目標だったので、それを阻んで勝ち進んだモデナの試合はかなり悔しさを感じながら観ていました」と明かした。

第1戦で惨敗を喫したことで窮地に立たされた第2戦。一抹の不安を抱えながらミラノ本拠地へ取材に向かった。だが、背番号14にそんな心配は無用だった。スター軍団を唖然とさせる打球を叩き込んだと思えば、オフィシャル席に激突する身を挺した守備でチームを奮い立たせる。7日間で何をしたらあそこまで変われたのか?と問うと、こんな答えが返ってきた。

「やるしかなかった。東京五輪のイラン戦(3-2で日本が勝利し、29年ぶりに決勝トーナメントへ)も同じ状況でした。(今回)土壇場であれだけのプレーができたことで、自分にはこんなにも大きなポテンシャルがあるんだと気づかされました。成長の余地がまだまたあることを確信できました」

【関連記事】バレー元日本代表主将・清水邦広、再婚相手は「一緒にいて居心地がいい」という女子アナ。良きパートナーを得て“伝道師”として邁進気持ちを前面に出して饒舌に語る姿からは、つい先日シーズンを終えたばかりの疲労感どころか、みなぎるエネルギーさえ感じられた。それは、何かを目一杯に詰め込まれて最大限に膨らみ破裂する寸前の風船のような……いったい何だろう? この感覚をどう表現していいのか分からず、感じたままをなんとか言葉にして投げかけてみた。

「今の心境としてはまさにそんな感じです。小さなきっかけで弾けた時、確実に大きな変化が起きると思っています」

【PHOTO】しなやかに舞う! 日本男子バレーが誇る”エース”石川祐希の厳選メモリアルフォトを一挙公開!その答えを聞いて、霧が晴れた。溜め込んだものは、やりたかったこと、やれたはずのこと。それが一気に爆発する瞬間、飛躍的なレベルアップが沸き起こる。兼ねてから欲している勝利がもたらす経験値こそが起爆剤であると理解しているのは誰よりも自分自身だろう。歓声に包まれたイタリアのパラッツェット(体育館)で、それとも胸に日の丸を付したユニフォーム姿で立つコート上になるのか……その日が近いことを肌で感じている26歳は、「必ず覚醒がある」と断言してくれた。

会見で数えきれないほど発していた“悔しい”を携えて、来シーズンもイタリアで戦うことになるだろう。メディアで取り上げられる度に登場する“イタリア挑戦”という単語。8シーズン目を控え、その言葉をどう捉えているのか聞いてみたくなった。

「僕は自分が掲げた目標を達成するための挑戦を続けているだけです。イタリアリーグ(でプレーすること)に挑んでいるわけではないんです。僕にとってここは単にバレーボールをする上での舞台。世界トッププレーヤーを目指して歩み続ける道の途中で、今いる場所がセリエAだということなんです」

居場所は関係ない。頂上を極めるまで、そして極めた後も飽くなき挑戦は続いていくのだろう。

2021-21シーズンは、前哨戦から直ぐに東京五輪、さらにアジア選手権を日本代表の主将として、エースとして戦い切った。連戦に次ぐ連戦の負担は大きく、フィジカルとメンタルが悲鳴を上げたままクラブへ帰還。良好とは言い難いコンディションで突入したリーグ戦は中盤までアップダウンに苦しんだ。けれど、決して順風満帆でなかったからこそ得た収穫があった。

「安定したパフォーマンスを維持できなければトップに行き着くことは難しいと実感しました。相手にとって脅威になりたい」 代表合流に向け、来週には日本への帰路に就くと言う。パリ五輪の出場権獲得を狙い6月から始まるネーションズリーグ(VNL)と秋に開催予定の世界選手権に挑む。主将を任されてから幾度も口にしてきた“責任”と言う言葉。その意味を知りたかった。

「勝ちへの責任はもちろんですが、監督、チームメートや周囲から見られる存在なので、それに相応しい行動をすべきだと思っています。コート上はもちろんコートの外でも信頼される存在であるべきだと。チームはキャプテンのようなチームになる。自分の責任を行動で示すことで選手一人ひとりの考えに影響を及ぼし、結果として個々が責任を負えるチームになりたいんです」

この思いをチームに浸透させる効果的な方法はないか? 頭の中で考えを巡らせた末に会見で口を突いて出た“あと1、2人リーダーがいても”。そう発言した真意はここにあった。

コート上の石川を追いながら、昨シーズンよりも格段にたくましくなったと感じていた。それは、話し方や佇まいにも顕著に表れていた。“大きく一歩を踏み出そうとしている” その直前の熱量を浴びながらのインタビューだった。

最後に聞いてみた。今シーズンは大好きなバレーボールを楽しめたか?

「不完全燃焼な部分もありますね。それでも、きちんと結果を出せたと思っています。諸々ありますが、シーズンを通して振り返ると……バレーボールを楽しむことができました」

海外で躍進を続ける石川をもっとたくさんの人に知ってほしい。そんな気持ちになって取材を終えた。

代表シーズンは、ミラノの指揮官、ロベルト・ピアッツァ監督が率いるオランダ代表との対戦(VNL/開催地ブラジル)で幕を開ける。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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