氏名の後ろに「san」もアリ?英文ビジネスメール術『宛名の書き方』

氏名の後ろに「san」もアリ?英文ビジネスメール術『宛名の書き方』

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/09/15
No image

洗練されたビジネス英語メールについて、ビジネス英語研修会社Q-Leap代表取締役社長・浅場眞紀子氏が解説。 ※本記事は、書籍『英文Eメールハンドブック』(アルク)より一部を抜粋、再編集したものです。

英語でメールを書くときの「宛名のルール」

メールの書き始めでまず迷うのが「宛名」をどうするかではないでしょうか。特に初めてメールを送る相手の場合には、自分との関係や相手の社会的立場などを考えて手が止まってしまうこともあるでしょう。いざというときに悩むことのないよう、敬称など宛名の基本ルールを身につけましょう。

【宛名の付け方】

◆Hi、Hello、Dear、Toなどの後ろに相手の名(や部署名、チーム名など)を足す。

フルネームを入れる場合と、名前または苗字だけの場合がある

例)Hi Freddie、Dear Freddie May、To all members of the staffなど →A、B(次ページ以降で解説します)

◆相手の氏名のみ分かっていて性別が分からない場合:Mr.やMs.などの敬称は使わず、Dear+フルネームなどが一般的で安全 →C

◆氏名の一部が分かっているが、それが名前か苗字か分からない場合:日本のビジネス文化になじみのある相手なら、日本語の敬称「san(さん)」を使い「分かっている部分+san」にすると便利

例)Freddie(-)san、May(-)sanなど →D

◆相手の氏名がまったく分からない場合:やや古めかしいDear Sir/Madam(複数ならDear Sirs/Madams)、なるべく避けたいがTo whom it may concern →E、F

「相手の氏名・性別がわかっているとき」使える宛名

では、Paul Adamsという人物にメールを出す場合について、宛名として使えるものと使えないものとを考えてみましょう。あなたはいくつ考えることができますか?

Paul Adamsのように、英語圏では一般的に男性名であり、Paulが名前(ファーストネーム)でAdamsが苗字(ラストネーム)であることが分かっている場合は決めやすいはずです。Dear Paulのように、「呼び掛け」の言葉や挨拶と「相手の名(氏名/苗字のみ/名前のみ)」とを組み合わせた宛名を用いるのが一般的です。

A)カジュアル~一般的な呼び掛け

相手との関係性やメールの内容に応じて、次のような「挨拶(salutation)」を用います。

Hi~:最もカジュアルで一般的な呼び掛けです。

Hello~:カジュアルで一般的な呼び掛けです。

Dear~:ややあらたまった印象で親しみを込めた呼び掛けです。

To~:事務的な呼び掛けです。

B)敬称

丁寧な呼び掛けが必要な場合は、相手の苗字(または氏名)の前に「敬称」を付けます。代表的な敬称には次のようなものがあります。

Mr.~:男性一般に使います。

Mrs.~:既婚の女性に使います。

Ms.~:(既婚未婚にかかわらず)女性に使います。現在では既婚女性でもMrs.よりこちらの方が一般的です。

Dr.~:医師や博士に使います。

Sir~:爵位のある人に使います。

Paul Adamsのように判断しやすい名前の場合は、およそ以下のようにルール化できます。

【「相手の氏名・性別が分かっている場合」の宛名ルール】

▲基本的に苗字には敬称を付けるのが礼儀

▲苗字がなく名前のみの場合には敬称不要

▲挨拶(Salutation)の後ろは「敬称+苗字(または氏名)」または「名前のみ」

▲敬称も挨拶もない場合、名前のみは可能

これらのルールを踏まえて、先ほどのPaul Adamsを例に、宛名として使えるもの、使えないものをまとめると[図表]のようになります。

No image

[図表]宛名として使えるもの・使えないもの

「相手の氏名か性別が不確か」だとしたら、どう書くか

世界には男女の区別も、苗字か名前かも分からない人名がたくさんあります。ここでは、そのような相手に初めてメールを出す際の悩みを解決します。ただし、これらはあくまでも緊急措置です。

理想を言えば、事前のリサーチで相手の氏名、男性か女性かなどを確認する努力を惜しまないようにしたいものです。基本はnever assume、つまり「勝手な思い込みで判断するのはやめましょう」ということです。

調べてもどうしても分からない場合の対処法は以下の通りです。

C)氏名すべてが分かっている場合

→「Dear+名前(または敬称+苗字)」が最も一般的で安全

ただし中国や韓国の人名の氏名の順は要注意です。英語に倣って「名前―苗字」としている人もいますが、そうでない人も当然います。大事なメールを送る場合は事前に調べましょう。

例えば中国国家元首の習近平(Xi Jinping)など、英語メディアでも原語のまま「苗字―名前」の順で表記されるケースはあります。また、インドネシアなど、氏名の区別がないというケースもあります。

D)氏名のどちらか一方は分かっているが、それが名前か苗字か分からない場合

→ひねり技として「分かっている部分+san」

氏名の区別や性別が分からない相手でも、日本のビジネス文化になじみがあると想像できる場合には(-)san(日本語の敬称「さん」)を付けるのも1つの解決策です。

sanはジェンダーフリーな上、苗字と名前のどちらにも使えるので非常に便利です。多くの日本企業で海外の担当者や取引先とのやり取りに使われています。

E)氏名がまったく分からない相手にメールを出す場合《1》

→Dear Sir(またはMadam)、Dear Sir/Madam、Dear Sirs/Madams(複数)

やや親近感に欠けるフォーマルな印象の宛名ですが、失礼にはなりません。Dear Sirで男女両方をカバーした時代もありましたが、最近はDear Sir/Madamのように併記した形をよく目にします。ジェンダーの観点からもSirとMadamの両方を書くのが無難です。

F)氏名がまったく分からない人にメールを出す場合《2》

→To whom it may concern

できれば使用を避けたい宛名ですが、info@-----.comのような宛先への事務的な問い合わせ等ならいいかもしれません。それでもHello…;やHi…;の方が、より親切な対応をしてもらえる可能性は高いはずです。To whom it may concernは「誰でもいい」に近いニュアンスがあります。今後ビジネスを深めていきたいと思うような相手には使わない方がいいでしょう。

「Eメールのやりとりはダンス」の真意

Eメールのやり取りはよく「ダンス」に例えられます。つまり「相手に合わせて踊っていれば大きな間違いは起きない」ということです。

相手がフォーマルな呼び掛けを好むのならこちらもフォーマルに、相手がフランクでカジュアルなやり取りを好むのならこちらもそうすると自然なやり取りになります。

フォーマルなやり取りを好む相手にカジュアルに返していると「無礼な人、軽い人」と思われ、逆にフランクなやり取りを好む人にいつまでもフォーマルさを崩さないでいると「親しくなりたくないんだな」と判断されかねません。

「郷に入れば郷に従え」のことわざ通り、英語のコミュニケーションでは英語ルールを基本にすれば間違いないでしょう。

ただ、多国籍なビジネス環境で親近感を増すために、お互いの文化や言語を尊重して取り入れるのは素晴らしいことだと思います。日本語の敬称「(-)san」(XXXさん)が好んで使われるのも、そのような背景によるものですね。

浅場 眞紀子

ビジネス英語研修会社Q-Leap 代表取締役社長

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加