ニットの編み物で認知症患者をケア・・・その名も「認知症マフ」

ニットの編み物で認知症患者をケア・・・その名も「認知症マフ」

  • TUYテレビユー山形
  • 更新日:2023/01/26

「わたしたちのSDGs」きょうはSDGsの目標の3番「すべての人に健康と福祉を」、17番「パートナーシップで目標を達成しよう」に関する話題です。
山形県鶴岡市の鶴岡市立荘内病院では「認知症マフ」というニットの編み物を使い認知症患者の身体拘束を軽減するのに効果を上げています。
利用が増えていて、「認知症マフ」を編むボランティアの輪も広がっているそうです。

【写真を見る】ニットの編み物で認知症患者をケア・・・その名も「認知症マフ」

「認知症マフ」で身体拘束を減らしたい

色とりどりの毛糸で自由なデザインで手編みされた筒状のニット小物。「認知症マフ」です。

ふわふわの感触で、中に握りやすい人形や毛糸の玉などが付けられているのが特徴です。
発祥の地イギリスでは手でいじる筒状の防寒具「トゥイドル・マフ」と呼ばれ、病院や高齢者施設で利用されているそうです。

この「認知症マフ」を山形県内でもいち早く取り入れたのが、鶴岡市立荘内病院です。

鶴岡市立荘内病院認知症看護認定看護師・ 富樫千代美さん「点滴のチューブを触ったり、おしっこの管とか治療に関連するものをやはり触れてしまうということで身体拘束という」

認知症看護認定看護師で浜松医科大学の大学院生でもある富樫千代美さんは認知症患者の身体拘束を減らしたいと鈴木みずえ教授らと研究を行ってきました。

毛糸の鎖編みをベッドの柵につけたり、柔らかな握るものをつくったりして、患者の注意をチューブからそらすことができると考えていたところ、おととし、「認知症マフ」に出会いました。
自分で「マフ」を編んで患者に試してみたということです。

鶴岡市立荘内病院認知症看護認定看護師・富樫千代美さん
「効果はどうかわからないけどもと思って患者さんにお渡ししたんですけども、手編みの物でも十分効果発揮すると。患者さんによってはこの中に絶対手を入れるとかではなく、飾りを触ったり編み目をずっとこう同じ動作を繰り返しているんですけど。認知症の方の落ち着かない手を温かく暖めるというか、そういう感じのグッズかなと思います」

効果があるという感触を得た富樫さん、病院の理解も得て、おととし12月から「認知症マフ」を導入したところ、利用する患者は増えて、今月20日現在、115人に上っているそうです。

丸谷 宏医師「毎朝、回診をするんですけどね。これを一生懸命握ってくれて、にこやかにされている人が増えてきている印象ですので、とても効果があると思っています」

富樫さんの同僚たちも「手芸部」をスタートさせ、休日など利用して「マフ」づくりを行っています。

原田あけみ・副院長兼看護部長「手作りで作るものが現場ですごく有効に使われているという話を聞いて、それは やらない手はないということで、すぐ賛成して取り組み事にしました」

看護師・上野雅恵さん「(編んだマフは)私の子どもだというふうに思うので、使ってもらってうれしいと思います。触って本当に、にこにこしているのが一番癒されます」

看護師・大瀧志保さん「事務の方とか職種をこえて患者さんのために何かしてあげたいという気持ちが『マフ』につながっているんじゃないかなと」

「認知症マフ」を救急車に「酸素マスクを外したがる傷病者の方も…非常に有効かな」

富樫さんは病院以外でも「認知症マフ」を活用できるのではないかと、日本で2番目となる救急車に載せることを鶴岡市消防本部に提案。先月、救急隊員対象の研修会でマフについて説明しました。

鶴岡市立荘内病院認知症看護認定看護師・富樫千代美さん「中に握るものがあるのがミソなんですよ。強制把握(いったんつかむと自分ではなせなくなる状態)がある方が、じっとここを握るので、他に手が行かなくなったり。中にものがあるというのが大事で」

救急隊員でも「認知症マフ」を知らない人が多く、富樫さんの説明に真剣に耳を傾けていました。

隊員の皆さん、興味が湧いたようです。
早速、マフを触って感触を確かめていました。

鶴岡市消防本部の救急隊員「すごく触り心地が良くて、普通の人でも落ち着く感じもあるので非常に使い勝手が良いかなと」
「特に酸素マスクとかどうしても違和感を感じて外したがる傷病者の方もいらっしゃるので、そういう方には非常に有効かなと」

そして先週、20日には荘内病院で救急車に載せる「認知症マフ」の贈呈式が行われました。

贈られたマフは30個。病院の職員やボランティアが心を込めて手編みしたものです。

鶴岡市消防本部・今野伸消防次長兼消防署長「先進的なものを活用できるということで傷病者に寄り添った救急活動ができていくものと思っております」

消防本部では早速、救急車にマフが備え付けられました。
鶴岡市内の救急車8台全てにマフが載せられるようになりました。

こうして「認知症マフ」の活用が広がると、問題はマフの供給です。
富樫さんは今、マフを編むボランティアの輪を広げようと奔走しています。

鶴岡市立荘内病院認知症看護認定看護師・富樫千代美さん「私たち(病院の)スタッフだけでは間に合わないんですね。なので皆さん方の力も 借りられたら」

広がる“マフづくり”「認知症になっても優しい地域を」

鶴岡市ボランティアセンターでもマフづくりが始まりました。
市役所の有志からも毛糸が持ち寄られ、毛糸を編んだ経験がある人も、ない人からも意欲が感じられました。

ボランティア「こんな風にして、思い出しながら楽しみながら編んでいるものが、役に立てるんだったらうれしいなと思って編んでます」

マフづくりを指導する「つるおかオレンジサポートの会」・中嶋悦 代表「皆さん、楽しみながら誰かの役に立てればと思っているので、気持ちが、思いがあるので皆さん、大変いいかなと思います」

一方、こちらは鶴岡市藤島地区で活動するボランティアサークル「ちょボラ場」です。

すでに去年11月から月1回、メンバーが集まり、マフづくりに取り組んでいます。
皆さん、編んだマフを持ち寄ってお互いにほめ合ったり、編み方を教え合ったりしながら、和気あいあいとマフづくりに励んでいます。

ボランティア「なんか私って美術的に向いてないんだなーと思いながら、でもいいかなって感じで少しながら頑張ってみようかなと思っています」

富樫さんの撒いた種は地域のいろんな人たちを巻き込みながら育ち、大きく広がろうとしています。

鶴岡市立荘内病院認知症看護認定看護師・富樫千代美さん「みんな身体拘束はしたくないという思いを抱えていたんだなというのが、編んできてくださる方々のマフを見て心が温かくなる感じがしますね。
本当にみんなで認知症になっても優しい地域というのが実現できていけたらと思います」

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加