阿部寛、自身の20代を振り返っての現在地「若い子たちとしゃべるのは面白い」

阿部寛、自身の20代を振り返っての現在地「若い子たちとしゃべるのは面白い」

  • bizSPA!フレッシュ
  • 更新日:2022/09/23

ドラマに映画に日本を代表する俳優の阿部寛さん(58歳)が、ディズニープラス「スター」の日本発オリジナルドラマシリーズ『すべて忘れてしまうから』で、配信ドラマに初出演、初主演を務めています。

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阿部寛さん

燃え殻さんの同名エッセイを原案に、阿部さん演じるミステリー作家“M”の、失踪した恋人探しを軸に、何気ない日常の会話で日々を紡いでいく本作。久々のラブストーリーに挑んだ阿部さんに話を聞きました。また50代に入ってから、役者として役が狭まるのを感じているという阿部さんが、そうした年代の「役の幅をどんどん広げたい」と語ってくれました。

普段の言葉で紡ぐ挑戦的なドラマ

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『すべて忘れてしまうから』(C) 2022 Disney

――『まだ結婚できない男』(2019)以来のラブストーリーですね。

阿部寛(以下、阿部):ラブストーリーといってもちょっと異色でミステリーの要素のほうが強いんじゃないかな。でもラブストーリーって、やっぱり面白い。内面を濃く探りあって傷ついて。そういうのは真剣にやればやるほど傍から見るとコミカルだったりしますし。

――本作のトーンにはどんなことを感じましたか?

阿部:セリフが、セリフセリフしていない、本当に日常の言葉でドラマのセリフって、やっぱりたいていがセリフ的で、そうした言葉をきっかけに展開が大きく変わっていったりするんだけど、今回の作品にはそれがあまり感じられない。ちょっとした言葉で、人を傷つけるようなセリフじゃないのに、それを聞いて寂しい思いをしたり。

そうした普段の言葉が反映されているストーリーなので、逆に挑戦的なんです。最近僕は「強い男の役」を多くやってきてきた。なのでこういう役は久しぶりですし。すごく新鮮な気持ちで挑戦させていただきました。

監督からの細かな演出が嬉しかった

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『すべて忘れてしまうから』(C) 2022 Disney

――岨手由貴子監督(『あのこは貴族』)の演出はいかがでしたか?

阿部:今回、監督に委ねる気持ちでやりました。一度テストをやったときから、「今のはこうだけど、こういうふうにしましょう」と、細かい演出がありました。この歳になると、なかなか細かい演出って受けないんです。だから嬉しかったですね。

――配信作品には、どんな印象を持っていますか?

阿部:いろんな世界が広がるんだろうなと。いつどこでも観られるし、もちろん世界中に観ていただける。日本人の精神性がどうやって受け入れられるかなというのは、興味があります。

全部世界に認めてもらいたい

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――阿部さん自身、普段、配信作品は観ますか?

阿部:『イカゲーム』はつい最近観ました。いや、面白い。アジアの古い遊びからああいう作品作りをして、世界にアジアの文化をも広げるあたりは発想が良かった。

――世界といえば、今年の阿部さんは、ニューヨーク・アジアン映画祭、トロントのラバッツァ映画祭と、立て続けに世界からの賞を受賞されています。特に世界の方は阿部さんに強い男のイメージを持たれているかもしれません。

阿部:そうですね。でもそういうイメージがあるのであれば、今回のようなものは意外に思ってくれるだろうし、いろんなことができるんだなと思っていただけるのは光栄です。僕としてはもちろん世界も意識したい。ただ日本の作品を持って、それで作品ごと監督ごと全部世界に認めてもらえたらなお最高です。今回ふたつの作品(『異動辞令は音楽隊!』『とんび』)を持って行って、喜んでいただいて、評価してくださったのは本当に嬉しいです。

大人の年代の役の幅を僕が広げたい

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『すべて忘れてしまうから』(C) 2022 Disney

――『異動辞令は音楽隊!』でお話をうかがったときに、「50代に入ってから、役者として役が狭まるのを感じた。だからこそこれからも挑戦を重ねていきたい」とお話されていて、阿部さんでもそうなのかとすごく驚いたのですが、今回のような日常の言葉を積み重ねた、大人の物語での主演というのは、さらに貴重かもしれません。

阿部:そうですね。普通に考えると、30代とか40代の話かもしれない。たしかに貴重ではありますね。

――日本は大人のラブストーリーが少ないと言いますし。

阿部:外国の作品だと50代や60代の恋愛とか結構ありますよね。でも日本だとあまり印象にないですいよね。ラブストーリーに限らず、漫画原作のものが最近多いなと感じています。

――そこを変えていきたいという思いはありますか?

阿部:変えるということを自分でできるかどうかは分からないですけど、役の幅は広げたいとは思います。そういう年代の役の幅がどんどん広がっていけばいいなと。そのためにはいろんな作品をやって、この年代で「こういうのも、こういうのもある」ということを、広めていければいいなとは思います。もちろん先輩方もそうやってきたと思いますが、自分もできたらいいですね。

若い子たちとしゃべるのは面白い

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――世代といえば、本作ではバーでの若い世代とのやりとりも面白かったです。

阿部:自分たち世代がああでもこうでもないともめていると、若い子の刺さるような一言で「確かに……」と大人は元も子もなくなってしまうみたいな。

――阿部さんご自身が、若い人から影響を受けることはありますか?

阿部:もちろんあります。みんな頑張っているし、本当に器用にこなしますよね。俳優でも番宣番組に出たりしても、そういうのもしっかりと責任を持ってるし。昔は番宣とか出ない人が多かったけど、今の子たちはそういうのも責任持ってやっていて。僕自身、番宣はさほど得意じゃないですけど、現場でも現場じゃなくても見習うべきものは多々ある。

20代のころは先輩がめっちゃ怖かった

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『すべて忘れてしまうから』(C) 2022 Disney

――意識的に周囲とお話されるのですか?

阿部:僕なんかの年齢だと、若い子からはしゃべりづらいだろうから、話しかけたりします。逆に話しかけてもらうのも嬉しいですよ。でも勇気がいるだろうな。自分が20代前半のころは、50歳を過ぎた俳優さんって、正直、めっちゃ怖かったです(苦笑)。

できるだけ近づかないで、その時間が終わればいいなと思ってました(笑)。今の子もそういう気持ちがあるかもしれないけど、先輩俳優のほうは、話しかけてもらえるのは嬉しいものですよ。

とても贅沢に作られたドラマ

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――最後にメッセージをお願いします。

阿部:今回の『すべて忘れてしまうから』の場合は、世界にだけじゃなく、日本でもちょっと変わった作品なので、どんな反応があるのか楽しみです。1話ごと、それぞれ10人のミュージシャンがエンディング曲を担当して締めるという変わった挑戦をしているし、今回の現場は、本当に時間もお金もかかっています。セットなんて本当に素晴らしかった。特にあのバー。こんなにリアルに作っていいのかなと思うくらいでした。

――あれは完全にセットなんですか?

阿部:完全にセットです。細かいところまでちゃんと作ってありました。食事もおいしかったし、演出も照明もゆっくり時間をかけて、本当にこだわって作品を作っていると実感しました。参加できて幸せでした。とても贅沢に作られた作品だと思います。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

【望月ふみ】

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異Twitter:@mochi_fumi

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