セ新人王の2位票「阪神・大山49票」「横浜DeNA浜口27票」を巡りファン疑問

セ新人王の2位票「阪神・大山49票」「横浜DeNA浜口27票」を巡りファン疑問

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  • 更新日:2017/11/26
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新人特別賞を贈られた横浜DeNAの浜口だったが、投票では阪神の大山に負けて騒動に(写真・黒田史夫)

プロ野球のNPBアワーズが20日、都内ホテルで開催され、セ、パの新人王が発表された。パは西武の源田壮亮(24)、セは中日の京田陽太(23)が選出。両リーグともに野手が新人王に選ばれるのは1996年のパ・金子誠(日ハム)、セ・仁志敏久(巨人)以来、21年ぶりとなった。

また、京田と新人王を争うと予想されていた1年間ローテーを守り10勝をマークした横浜DeNAの浜口遥大(22)には、2013年以来となる連盟からのセ・リーグ新人特別賞が贈られた。

新人王はプロ野球取材歴5年以上の記者による投票(一人1票)で選出されるが、今回のセの新人王開票結果を受けてネット上では、ちょっとした騒ぎが起きた。

286票の有効投票数のうち208票を獲得した京田に続く2位が、特別表彰を受けた浜口ではなく、阪神・大山悠輔(22)の49票で、浜口の27票を上回っていた件が問題にされたのだ。

SNSやコメント欄に寄せられた意見には、「新人王は京田で納得。でも大山2位はおかしい」、「浜口の票が少なすぎる。10勝しているのに」、「記者の見識を疑う」という疑念を持つものが多かった。

中には「『濱口』の漢字が難しいから記者は大山と書いたのでは」と揶揄するものまであった。

阪神のドラフト1位の大山は後半戦で4番を打つなど、その長打力と粘り強いバッティングで存在感を示したが、1軍昇格したのは6月と出遅れ、75試合、打率.237、7本、38打点の数字で終わっている。
一方、浜口は、22試合、123回2/3に投げ10勝6敗、防御率、3.57の成績。規定投球回数には、19回1/3だけ足りなかった。

新人王の定義は「そのシーズンに最も活躍した優秀な新人に与えられる」というもの。決して数字だけで、計られるものでなく投票記者の主観が多分に含まれるが、京田か、浜口かで意見が分かれるのならまだしも、規定打数にも届かず、そこまで強烈なインパクトを残したわけではない大山が、なぜ2桁勝った浜口よりも22票も上回ったのかという疑問の声がネット上で炎上したのである。

球団新人新記録となる149安打を放ち、盗塁もリーグ2位タイの23盗塁を決め、ほぼ当確だったはずの京田自身も、「浜口はCS、日本シリーズと活躍していたので、正直諦めていました」と、受賞の挨拶で振り返るほど、浜口の活躍は特別表彰に恥じないものだったのだが……投票は違った結果だった。

ちなみに前回、新人特別賞が贈られた2013年のセ・リーグの新人王もハイレベルの争いで16勝4敗、防御率2,93のヤクルトの小川泰弘が252票を獲得して新人王を獲得した。13勝6敗、防御率、3.12の巨人の菅野智之と10勝6敗、防御率、2.75の阪神の藤浪晋太郎に揃って新人特別賞が贈られたが、このとき菅野は13票で藤浪が8票。ファンが疑問に思うような票が他の誰かに入ることはなかったのである。

繰り返すが、新人王に「打者ならこう、投手ならこう」というガイドラインはない。規定打席、規定投球回数のクリアが、一応の目安なのだろうが、それも絶対的なものではなく、毎年、相対的に見て、「最も活躍した選手」を選ぶことになっている。あくまでも、記者それぞれの主観、価値観で選出されるので、価値観の違いで、バラつきが生まれるのは避けられない。

その証拠に過去、新人王の満票は、木田勇(日ハム)、槙原寛己(巨人)、藪恵市(阪神)、和田毅(ソフトバンク)の4人だけで、打率.304、31本を打った1986年の清原和博(西武)、18勝8敗で投手4冠、沢村賞まで獲得した1990年の野茂英雄(近鉄)でさえ満票ではなかった。

今回、浜口に投票したというある記者は、「京田は結果を出したが中日は下位。チーム貢献で言えば3位に入った横浜DeNAの浜口」という投票理由を教えてくれた。これもひとつの価値観。投票締め切りは、日本シリーズ開始までで、あくまでも「シーズンで最も活躍した選手」を選ぶ賞だが、印象度としては、CSでの活躍も加味されたのだろう。
また「トータルの数字より、あの1打、あの1球」という印象度を重要視する向きもある。大山は、最近、球界に、なかなか出てこない和製大砲候補。その部分を「特別」と評価する見方があってもおかしくない。

しかし、それらの価値観のバラつき加減にも許容範囲があるのではないだろうか。

大山の49票と浜口の27票の22票差には、やはり違和感を覚える。

何人かに意見を伺ったが、ある球団のOBは、「大山は大器だが、野球は記録のスポーツ。記録というものをひとつの価値観に置き換えれば、大山の49票はありえない。関西の記者がこぞって入れたのだろう。《自分が普段一番見ている選手の中から選ぶ》という手法は間違っているし、どれだけ真剣に吟味したか、記者の見識を疑う」と怒りをにじませていた。

確かに投票に地元選手を応援するという地域性が見られることも確かだが、今回の49票が本当に関西の記者がこぞって入れたのだろうか、という疑問がある。あくまでも推測に過ぎない。

新人である大山の取材に回される虎番記者は、若い記者が多く、まだ5年以上の投票資格を得ていない。ある虎番記者に聞いてみたが、「まるで49票がすべて虎番、関西記者だろう? みたいな目で見られているが、いい迷惑だ。僕の周囲の記者で大山に入れた人は見当たらない。虎番記者は、逆に厳しい見方を阪神の選手に対してしている」と、虎番記者の組織票説を否定した。

実際、投票権を持っているのは、何もスポーツ新聞の記者だけではなく、一般紙、通信社、放送各社と幅広い。49票=虎番記者の組織票との推測は危険であり、虎番記者に失礼である。

ただ「地元票」「愛情票」というものは存在する。キャンプから取材をしてきて、その頑張りを見てきた担当記者が、「評価に迷うなら地元選手」「選手の励みにしてあげるために1票を入れてあげよう」と投じる票だ。投票は、記名だがオープンではないため、誰が誰に入れたかなどわからない。知らぬうちに、その「地元票」「愛情票」が重なるということもありえないわけではない。

だが、一方で関西のベテラン記者の一人は、「阪神しか取材したことのないテレビの投票資格者や番記者が狭い視野しか持てず大山に入れたということも考えられる。阪神の選手は、関西では過大評価され大きく取り上げられる。ある意味、典型的な地域密着球団だから世界観が閉鎖的になる傾向もある」とも指摘した。

これは阪神に限らず、ソフトバンク、広島、中日、楽天などでも起きている現象だが、地元の局や地元紙が選手を特別扱いして必要以上の形で取り上げることで過大評価されてしまうのだ。

49票の真相のほどは、よくわからない。ただ、前述した球界OBは、「ファンの誤解を招き、賞の権威が揺らぐような投票結果になるのなら、そもそもの選出方法を見直さねばならないのではないか」とも訴えた。

例えば、あまりに根拠の薄い投票をした記者の投票権を見直すとか、東西記者クラブの野球分科会に所属している記者以外にも、投票権を与えて幅を広げるとか、或いは、「自チーム選手に入れない」という条件やプロ年数などで投票資格を絞った上での選手間投票を取り入れるなど改善手段はいくらでもあるだろう。まず今回の投票結果については真剣に議論を交わすべきである。

一番の被害者は予想外の49票で、とんだ騒ぎに巻き込まれた阪神の将来の“真の4番候補”であるドラフト1位なのかもしれないが。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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