柴犬のルーツ、島根にいた 約90年前に生まれた石州犬

柴犬のルーツ、島根にいた 約90年前に生まれた石州犬

  • sippo
  • 更新日:2019/03/22
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柴犬のルーツである石州犬「石」=日本犬保存会提供

柴犬(しばいぬ)のルーツが島根に――。いまや世界中で愛される柴犬のルーツは、約90年前に現在の益田市で生まれた一頭のオスの石州(せきしゅう)犬(県西部の地犬)「石(いし)」に行き着くという。そんな知られざる柴犬と石州犬の関係をPRし、地域振興につなげようとする活動も展開されている。

1936年に血統登録

1928年に創設された国内で最古の犬種団体、公益社団法人「日本犬保存会」(東京都)によると、「柴犬」は、「美濃柴犬」「信州柴犬」「山陰柴犬」など、地方ごとに固有の呼び名があった小型犬のうち、日本犬の気質や体の特徴を満たす個体をまとめたものという。日本犬を将来にわたり保存することを目的に、同会が32年10月から日本各地の犬について、詳細な血統書をつくる事業を始めた中でまとめられ、36年には国の天然記念物にも指定された。

石が血統登録されたのは36年。柴犬として登録されたのは石が初めてではないが、同会の井上実事務局長(65)は「石は多くの子孫を繁栄させた。石以前に登録された父系の血統はすでに途絶えており、現在、保存会で毎年新たに登録する3万頭弱の柴犬はすべて、父系の血統をさかのぼると石に行き着く」と説明する。石の両親の血統書は残っていないという。

石は30年に二川村(現・益田市)で生まれた猟犬だった。「石州犬研究室」(江津市)によると、県出身の日本犬保存会の会員で、東京で歯科医院を営んでいた故・中村鶴吉さんが、優秀な日本犬を探す中で石を見いだし、36年に東京に連れて帰ったという。石は同年、血統登録され、日本犬保存会の展覧会でも入賞を果たしている。

その後、石は39年にオス犬「アカ」を残した。「アカ」は鳥取県産の柴犬と、山梨県産の柴犬の間にそれぞれオスとメスの子をもうけた。この2匹の間に48年に生まれたオス犬「中(なか)」は、「戦後柴犬中興の祖犬」と呼ばれ、種犬として優秀な子孫を多く残したという。

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「石州犬研究室」代表の河部真弓さんと、愛犬の山陰柴犬「サニー」=江津市桜江町

石州犬のPRソング制作

石州犬研究室は、石を中心に、石州犬の歴史を調査研究し、地域振興につなげようと活動する。代表の河部真弓さん(61)が自宅を研究室として2017年に立ち上げた。ホームページを通して、石州犬の歴史を紹介するほか、石州犬のPRソング「石州犬ISHI」も作詞・作曲し、「この世界に生きる 60万頭の SHIBA」「ルーツ探れば 石見の国のISHI」などと歌う。

きっかけは、河部さんが16年12月に石州犬の血を引く山陰柴犬の「サニー」を飼い始めたことだという。「山陰柴犬について調べる中で、石の存在を知った。島根に柴犬のルーツが? と最初は信じられなかった」と振り返る。石州犬の歴史を詳しく調べるために多数の文献に当たり、国立国会図書館(東京都)にも赴いた。詳しい人たちへの聞き取り調査も重ねたという。

河部さんは「中村鶴吉さんが石を見いだして東京に連れて行ったからこそ、今の柴犬がいる。今後は石、アカ、中ら『石ファミリー』のドラマをより深く調査し、全国に発信したい」と意気込む。「世界で愛される柴犬のルーツが島根にあることは地元の人でさえあまり知らない。より多くの人に知ってもらうことで地域の活性化にも貢献できれば」
(浪間新太)

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