【野球】甲子園でのタイブレーク導入...意外に冷静な監督の声

【野球】甲子園でのタイブレーク導入...意外に冷静な監督の声

  • デイリースポーツ online
  • 更新日:2018/01/12
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2016年3月、延長15回引き分け再試合となった高崎健康福祉大高崎-福井工大福井

今春の選抜高校野球大会から、甲子園での延長タイブレークが導入される。夏の全国高校野球選手権でも、地方大会を含めて解禁となることが決まった。これまでは「名勝負がなくなる」といった声や「特に集大成となる夏は、選手の納得がいくまでやらせたい」という意見など、タイブレークには否定的な反応の方も多かった。

記者もその一人だった。息詰まる延長戦の流れが一度途切れてガラリと変わるルールには、違和感を覚えていた。成長期にある高校球児の健康を守らなければならないのは大前提。ただ「本格的な野球は高校が最後」という選手も多い。やはり甲子園につながる大会、特に夏にタイブレークによって敗者となったチームは割り切れないのではないか、という考えがあった。

ところが、昨秋頃から各校の指導者に話を聞いていると、意外と現場は冷静に受け止めていた。夏の県大会で延長十五回を経験したある公立校の監督は「半々ですかね」と苦笑いを浮かべた。希望は「やはりタイブレークなしで、最後までやらせてやりたいという気持ちはあります」と完全決着。ただ、強豪校にも通用する好投手を擁した代では「どうしてもエース一人に頼ってしまう」とし「そういったことを考えると、仕方がないのかな」と健康管理の面に理解を示した。

印象的だったのは、甲子園常連校の指導者たちだ。ある監督は「どちらでもあまり気にしない。戦術的にどうするのかという関心はあります」と淡々としたもの。別の監督も「ルールだから、決まればそれに従っていくだけ。選手交代のタイミングは難しくなってきそう」と感情的な意見は出なかった。どちらも、すでに導入後に目を向けていた。

そんな声に接すると「なるほどな」という気持ちも芽生えてきた。強豪で選手層が厚いという側面があるとはいえ、彼らからは「延長戦の方式が変わっても、ルールの中ですべての力を出し切るということは変わらない」という姿勢が感じられた。普段からの選手の努力も見ていれば、思わぬケガや勝負事ゆえの理不尽があることもわかっている。だからこそ、タイブレークかどうかは大した問題ではないのだろう。タイブレークでも、同点が続く死闘が生まれる可能性だってあるのだ。

また、同じ強豪校の監督は「健康を守るというなら、タイブレークと同時に、投手の球数制限やイニング制限も論議していい」と話す。野球の質が変わる危惧から「個人的にはイニング制限かな」とし「甲子園のベンチ入りも20人にする。選手の健康を守り、交代がしやすくなって、出場機会を確保することにもつながる」と私見を述べた。そこには、感情が先に立たず、あくまで冷静に球児にとっての最良を考える指導者の視点があった。

投手に何らかの制限が設けられれば、部員数が少ない学校が負うハンディは大きくなるかもしれない。だが、タイブレーク導入の理由が「健康への配慮」であるならば、イニング制限などの施策もさらに推し進めるのが道理だろう。

個人的には「タイブレークは春夏の甲子園と春秋の地方大会では導入しても、夏の地方大会だけは導入しない」というのが希望だった。強豪校であれ、初戦突破がままならぬ学校であれ、全国の球児が最大目標とするのは「甲子園出場」。だから、集大成である夏は、道半ばの地方大会はタイブレークは採用せず、聖地でのプレーという夢をかなえた後の甲子園大会ではタイブレークを行うというのが、選手の心情面と健康管理面のバランスを取る方式ではないかと感じていたからだ。

いずれにせよ、春90回、夏100回の甲子園大会で、タイブレークが導入される。最初は違和感を覚えるかもしれない。だが、聖地で何試合かが行われれば、意外とすんなり浸透するのでは-。現場の指導者たちの声を聞き、そんな予感がしている。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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