書店のない自治体が2割に――本との「出会い」はネットや図書館へ

書店のない自治体が2割に――本との「出会い」はネットや図書館へ

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2017/10/13

朝、駅前の本屋さんで雑誌を買ってから電車に乗り込む。家路につく際に今度は単行本を買う――そんな風景はもう見られなくなるのかもしれない。書店がない自治体が全国の2割にのぼっている。2000年に2万1000店あった書店は、2017年には1万2000店程度にまで減少しているのだ。(※アルメディア調べ)

書店が町から姿を消しているのには、いくつかの原因が考えられる。

(1)アマゾンなどネット書店の利用が増え、相対的にリアル書店の利用が減った。
(2)電子書籍・雑誌の利用が増え、紙の本や雑誌を書店で購入する需要が減った。
(3)そもそも人口が特に地方において顕著に減少している。
(4)都市部で大型店舗が存在感を増し、郊外の小さな書店の利用が減った。
(5)古書店や図書館の利用が増え、新刊本そのものの売上が減っている。

全体像から見ていくと、やはり人口減少の影響は将来にわたっても大きい。

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(総務省|平成28年版 情報通信白書|人口減少社会の到来http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.htmlより「我が国の人口の推移」)

このグラフを見ると、65歳以上の高齢者は2060年でも人口は変わらないのだが、15歳~64歳のいわゆる生産年齢人口・14歳以下の子どもの数は1985年をピークにこれからもどんどん減っていく。「読者」が減ってしまうことは避けようがない状況だ。

一方、スマートフォン・タブレットの普及は進み、それらを使った電子書籍・電子雑誌の利用が拡がっている。

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(総務省|平成26年版 情報通信白書|コンテンツ及びサービス利用の変化http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141120.htmlより「電子書籍の利用率」)

日本ではスマホ・タブレットでの電子書籍利用率は海外に比べてまだ少ない。しかし前回の記事(//ddnavi.com/news/398275/a/)でも見たように、読み放題サービスの拡がりもうけて、今後、電子書籍・雑誌を利用したい人の数は増えていくと予想されている。この傾向も、リアル書店にとっては逆風となる。

JADMA(公益社団法人 日本通信販売協会)の調査によると、過去1年間にリアル書店で書籍を利用した人は7割以上なのに対して、ネット通販(電子書籍を除く)は全世代で5割前後に達している。特にシニア世代のネット通販利用経験が4割近くあり、その浸透度の高さが指摘されている。

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(ジャドマ通販研究所http://www.jadma.org/tsuhan-kenkyujo/より「リアル書店とネット書店の利用実態」(1))

大型書店が存在感を増したため、郊外の書店の利用が減ったという点はどうだろうか? 実は2010年頃までは、書店の床面積は増加傾向にあったものの、近年では総坪数も減ってきているというのが実情だ(経産省・商業統計調査より)。たしかに、なかなかニュースにならない小さな書店の閉店に対して、最近では大型書店の閉店、縮小を報じる記事を目にする機会も増えたように思う読者も多いのではないだろうか?

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(南館「紀伊國屋書店 新宿南店」規模縮小と新売場のご案内 | 高島屋http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/excuse/kinokuniya/index.html

こうやって見ていくと、リアル書店の未来はとても暗いようにも感じてしまう。しかし、完全にその未来が閉ざされているわけでもないことには注意が必要だ。そのヒントは「本(知)との出会い」にあると筆者は考えている。

オンラインでの検索や、リコメンデーションには限界がある。検索するためには「そもそも自分が何を知りたいのか?」をキーワードとして入力する必要があるが、本を手に取るとき、明確に目的の本をピックアップすることの方が少ないはずだ。またリコメンデーションばかりに頼っていると、特定の傾向ばかりの情報に触れることになり、刺激もなければ、知的好奇心を満たすのも難しいだろう。そして、スマホの画面は小さく、そこに一度に表示される本の数にはどうしても限りがある。つまり、「偶然の出会い」を演出するには、少なくとも現在の電子書籍やネット通販にはどうしても技術的な制約があるのだ。

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JADMAのレポートによると、リアル書店はライトノベル・小説/ノンフィクション・雑誌の購入によく利用されている。ネット書店では、その比率は落ち、コミックや趣味の本など、「物色の必要が少ない」本が売れているという。検索やリコメンデーションが役立つかどうか、というオンライン/オフラインでの特徴が、この統計にもよく表れている。

リアル書店は、書店員も含めてより専門特化した品揃えにしていくことが、ネット書店・電子書籍とは異なる魅力を備えていくためには必須となっていくと言えそうだ。統計的には引き続き、店舗数や床面積の減少という傾向が続くことが予想されるが、一方で新たに生まれるであろうユニークな取り組みにも注目をしておきたいところだ。

また、本は知(知恵・知識)が体系化されたパッケージでもある。リアル書店が減っていく中、オンラインとは異なる知へのアクセス、出会いを担保する存在として、図書館の重要性はますます高まっていくはずなのだ。リアル書店の減少の一方で、公共図書館の数は、2001年の2681館から、2016年には3280館へと増加している。(日本の図書館統計http://www.jla.or.jp/library/statistics/tabid/94/default.aspx)それに伴い個人への貸出点数も、約5億3万点から約7億点になっている。新刊書籍の売り上げへの影響を指摘する声もあるが、図書館が提供するのは貸出まで待つ必要もある新刊だけではなく、旧刊や郷土資料などオンラインでは出会うことが難しい知へのアクセスそのものなのだ。

インターネット・スマートデバイスの普及によって、たしかに従来書店が果たしてきた機能は置き換えられた。けれども、オンラインでは実現が難しい、偶然の出会い・知へのアクセスといった機能への需要は相対的に増してきているのではないだろうか。模索が続くことになるが、ネット時代のリアル書店・図書館が新しい姿を見いだすことに期待したい。

文=まつもとあつし

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